近年、英語学習において「4技能」という言葉がよく使われるようになりました。4技能とは、リーディング・ライティング・リスニング・スピーキングのこと。今まで日本の英語教育は、リーディング・リスニングの「インプット」がメインでしたが、最近になってライティング・スピーキングの「アウトプット」が重視されてきました。やはり、なかなか実際に書いたり話したりする機会がないと、ライティングやスピーキングは上達しにくいと感じられます。
一方、今年から海外の大学に進学する生徒さんに、「英語の4技能の中で最も必要だと感じているのは?」と聞いたところ、彼女は即答で「リスニング」と答えました。彼女は今までずっと日本に住んでいましたが、海外に語学留学し、海外の大学に向けて受験勉強を進めた経験から、アウトプットのライティング・スピーキングではなく、インプットの「リスニング」が最も大事だと感じたようです。
これは一体どういうことでしょう。
リスニングがコミュニケーションの根本
その生徒さんは、こう言いました。
「相手の言っていることが聞けないと、何も答えられない。相手の言っていることがわかっていればいろいろ言えるとけど、わかっていないと何も始まらない。だから、4技能の中ではリスニングが最も大事だと思います。」
なるほど、どれほどリーディング・ライティング・スピーキングが出来ても、リスニングが弱ければ、英語でのコミュニケーションが成り立たない、ということですね。
では、日本の英語教育では、リスニング力は十分に高まらないのでしょうか。授業でネイティブの先生が教えたり、英語に触れる機会は年々増えています。しかし、触れるだけではリスニング力が高まるわけではありません。聞こえてくる音をちゃんと「単語」として認識する力が大事となってきます。
リスニング力が上がる練習法とは
では、どのようにすれば、そのリスニング力が身につくのでしょうか。リスニング力を身につけるためには、たくさん聞き、その聞こえてきた音を単語として認識できているか確認することです。その方法は3つあります。
音読(オーバーラッピング)
音読とは、文章(スクリプト)を声に出して読むことです。キャタルでは、音読をする際に必ずCDなどの音源と一緒にマネをしながら読むことを推奨しています。(これをオーバーラッピングと言います)
音源と一緒に読むことで、自分がわからない発音を確認することができます。音読できないということは、それは自分が聞き取れていない、あるいはわかっていない単語だということです。リスニング力が高ければ高いほど、より音源と一緒に音読できるようになるということです。
ディクテーション
さらに効果的な練習は「ディクテーション」です。ディクテーションとは、音源を聞き、聞こえてきた単語を書き写すアクティビティです。かなり集中力を要する練習なので、一度に10分間など、時間を決めて行いましょう。
ここで、正しく書き写せていない単語がある場合、その単語が聞き取れていない、あるいは話の流れからその単語を予測できない、などの原因が考えられます。つまり、リスニング力が高ければ高いほど、よりディクテーションでの正確さが増すということです。
冒頭の生徒さんも、一番役に立った練習は「ディクテーション」だと答えていました。やはり効果があるのですね。
シャドーイング
そして、少しレベルアップした練習方法がシャドーイングです。英語を聞きながらマネして発音する通訳訓練法のことです。その名の通り、スクリプトなしで、聞いた英文を影のように瞬時に発音します。シャドーイングは「聞いたものを話す」ということを瞬間的に行う必要があるため、音読(オーバーラッピング)よりもレベルの高い方向けの学習方法となります。
シャドーイングで音をマネして口から出すことで、聞ける音も増えていきます。しかも瞬時にマネをしようとするわけなので、聞き取るスピードも上がっていきます。リスニング力が高ければ高いほど、よりシャドーイングのスピードや正確さが増していきます。
練習の連鎖で4技能を総合的に身につけよう
かと言って、リスニング以外は大事ではない、というわけではもちろんありません。リーディングもライティングもスピーキングも、全てを総合的に身につけることで、初めて英語が使えると言えるでしょう。
しかし、スキルを「一つずつ」磨いていく必要もありません。
例えば、ディクテーションをすればリスニングが高まりますが、同時に書いているわけなので、ライティング力も強化できます。さらに、同じ音源を何度も何度も聞くと、その内容への理解も深まり、読解力もつきます。また、一緒に音読もすれば、スピーキング力も上がります。このように、全てが連鎖して4技能を全体的に身につけられるのです。
まずは、毎日10分間のディクテーションから初めてみませんか?