帰国子女が多い啓明学園から早稲田理工に進学した河野さんに学ぶ、夢やビジョンの描き方 | バイリンガルへの道

帰国子女が多い啓明学園から早稲田理工に進学した河野さんに学ぶ、夢やビジョンの描き方

帰国子女が多い啓明学園から早稲田理工に進学した河野さんに学ぶ、夢やビジョンの描き方

画像①6歳の時、所属していたサッカーチームのパーティーで。(一番右が河野くん)

バイリンガルになって良かったことは何ですか?

東京の昭島にある、小中高一貫校の啓明学園という帰国子女が多い学校に通っていたので、高校までは自分がバイリンガルであることを意識したことがほとんどありませんでした。3ヶ国語話せる生徒もいたので、バイリンガルのアドバンテージを感じなかったんですね。
早稲田大学の先進理工学部に進学した時に、自分がバイリンガルであることを実感しました。いわゆる文法を中心とした従来の英語教育を受けてきた人たちとは、スピーキングやライティングで違いを感じました。
就職活動でも、会社からは英語力が求められますし、TOEICの基準も年々上がっていると聞きます。僕は、そこから発展させて、TOEICのスコアでは測れないような、深いコミュニケーションやディスカッションができるという価値を提供していけると感じました。

7歳まで海外で生活していたので、海外に行くことへの抵抗感はないですし、「どこに行っても自分は生きていける」という自信を持つことができました。
英語ができれば、世界の多くの人たちとコミュニケーションが取れますし、友達にもなれますし、可能性が広がっていくと感じます。
誰でも小さい頃は、「何にでもなれる、夢はどんな事でも出来る」って教わって、中学校、高校と大きくなるにつれて、どんどん夢が狭まっていくと感じる人は多いと思います。
僕は、英語が使えることによって、夢が狭まるどころか、可能性がどんどん広がっていくと思うんです。

河野くんの海外歴を教えてください。

僕は、日本で生まれて、2歳の時に父親の転勤で、アメリカのオハイオ州に移りました。1年後にテネシー州に移って、そこで7歳まで過ごしました。オハイオもテネシーも田舎の郊外だったので、日本人コミュニティは限られていて、周りはアメリカ人ばかりでしたね。ですので、僕のアメリカ生活は、幼稚園から小学校2年生までの5年間だけです。
日本に帰国してからは、東京の昭島市にある、小中高一貫の啓明学園に入りました。

啓明学園について、詳しく教えて頂けますか?

啓明学園の特徴は、生徒の3分の1以上が帰国子女であることです。僕もその1人として、帰国枠で入りました。入試は、ネイティブの人との面接と国語の試験でした。
啓明学園は、英語教育に力を入れている学校です。英語に関しては、一般受験で入ってきた生徒と、帰国枠で入った生徒では、クラスが分かれています。帰国生に対しては、ネイティブの先生が担当して、みんなで英語の本を読んだり、エッセイを書いたり、ディスカッションをする授業でした。
一般受験で入ってきた生徒たちも、英語の能力が認められれば、帰国枠の生徒と同じ、国際学級に編入することも可能でした。

啓明学園の英語の授業について、詳しく教えてください。

小学校は、アメリカの先生と遊んで、英語で話すことがメインでした。アメリカのテキストを用いた文法問題もありましたね。
中学校に入ると、毎学期、1冊の洋書を渡されるんです。1学期かけて、みんなで読み進めて、ディスカッションをしたり、エッセイを書いたりしていました。
中学の時に読んだ本は、英語で「おばさん」という日系人が書いた変わった本や、「ベルジャー」、「ザ・ギバー」を読みました。
高校に入ると、レベルが上がって、「フランケンシュタイン」、「キャッチャー・イン・ザ・ライ」を読みました。

CIMG200522歳、大学のサークル(オーケストラサークル)の人たちと。

学校の英語以外は、英語に触れる機会がなかったようですが、どうやって英語力を伸ばしていきましたか?

特に、英語の塾に通ったことはありませんでした。
啓明学園は、英語の授業が毎日1時間あるので、そこでは完全に英語で話すことが求められました。英語の授業以外でも、帰国生とか留学生が多かったので、自然と英語で会話をしていましたね。
啓明学園の中では、英語も日本語も中国語も飛び交っていて、ある意味海外にいるような環境でした。

河野さんが普段意識している英語の勉強法について教えてください。

ただ英語の本を読むだけでなく、「なぜ作者はそう思っているのか?」物語の背景をインターネットなどで調べて、プレゼンテーションをする授業がありました。
僕が意識していたのは、ディスカッションの授業の時は、全部英語で聞いて、英語で書いて、英語で読んで、英語で話すことを心がけていました。日本にいても、英語で全てやることを一番心掛けていたと思います。
逆に、日本語で考えて、話してばかりいると、どんどん脳が日本語化してしまうと思います。

CIMG373424歳、アメリカでの親友の家族と、15年ぶりにアメリカで再会した時。

幼児や小学生におすすめの英語の本を教えてください。

小学生の時に読んでいたのは、「リトルハウス・オン・プレーリー」、「ホールズ」、「ハリー・ポッター」、カール・エリックの「はらぺこあおむし」ですね。

難易度は上がりますが、高校の時に読んで一番好きだった本は、「フランケンシュタイン」です。内面の苦しみなど、人の気持ちをよく捉えているところや、科学と哲学に関するテーマが非常に面白かったです。
フランケンシュタインは、単なるホラーではなく、元々医者の話で、医学が神の領域に近づいたらどうなるのか、といったことにいついても書かれているので、化学が好きな僕の興味をそそりましたね。

中学の時に読んだ、「ザ・ギバー」もすごくおすすめです。主人公は、今までの人類の出来事を次の世代に伝えるという役目を与えられます。過去の悲しみや苦しみを受け継いで、伝えなきゃいけないっていう彼の苦悩が描かれていたり、人の生と死にも非常に深く突っ込んでいる話です。

「フランケンシュタイン」と「ザ・ギバー」は特におすすめですね。

これから社会人になる河野くんの夢を聞かせてください。

経済産業省の下部組織の独立行政法人で資源、エネルギー関係の仕事に就きます。
日本は、石油や天然ガスが非常に乏しい国ですよね。原発の問題もあり、エネルギーにおいて日本は厳しい状況に立たされていると思います。

将来の夢は、世界と交渉して、日本に新しいエネルギーを持ってきたり、日本で新しいエネルギーを開発する、といったことに貢献したいです。僕が就職するところは、そういった活動の中心を担う可能性があるので、英語力を活かして、多様な価値観を持った人たちともコミュニケーションを取り、海外の人たちをまとめるくらいのリーダーシップを発揮していきたいと思っています。

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