アメリカの名門校を蹴ってICUに進学した榑林さんの夢とは? | バイリンガルへの道

アメリカの名門校を蹴ってICUに進学した榑林さんの夢とは?

アメリカの名門校を蹴ってICUに進学した榑林さんの夢とは?

ICUに進学した榑林(くればやし)さんのバイリンガルストーリー!子どもたちの未来のために、環境問題を解決したいという夢をもつ榑林さんは、どのようにして英語力を身につけたのでしょうか。お話をうかがってみました。

現地の高校4年生[senior]の時、高校時代によく遊んだ仲間と。前列右から3番目が榑林さん

現地の高校4年生[senior]の時、高校時代によく遊んだ仲間と。前列右から3番目が榑林さん

榑林(くればやし)さんの海外歴と学校歴

0歳〜18歳 アメリカ ニューヨーク州ブルックリン
18歳〜現在 日本 国際基督教大学

英語の所持資格

TOEIC 975点・TOEFL iBT 107点

アメリカで生活していた時、日本語が嫌いだった

私は生まれと育ちがアメリカなので、特に英語に苦労した覚えはそこまでないですが、日本人学校(補習校)に毎週土曜日に通っていて、中学に上がるまでは日本語が嫌いでした。

その理由としては現地校での勉強、日本語が苦手な中補習校の宿題もあったので、その両立が大変だったからです。土曜日は現地校の友達とも遊べなくて、かなりストレスを感じていました。

幼少のころから現地校で英語を学び、自宅では日本語を学ぶという環境で育ったので、それが影響で小学校の頃、一時的に英語力が衰えてしまいました。結果的に小学校2年生の時に留年をしてしまい、そのころから英語を学ぶ努力をしましたが、逆に日本語を学ぶことがストレスとして感じていました。

アメリカの名門校を蹴って、ICU(国際基督教大学)に進学した理由

生まれから大学に入学するまでずっとアメリカでした。大学を選ぶ際、最初はアメリカの大学のみに絞って選んでいましたが、最終的に日本に住んでみたいという意思が強かったです。結果としてアメリカのボストン大学やニューヨーク州立大学にも合格しましたが、日本の大学は慶應義塾大学SFC、早稲田大学SILS、及びICU(国際基督教大学)に受かりました。

最終的には学費も安く、新しい環境に住めて、「日本人」としてのアイデンティティを掴むために日本に行くことを決断し、英語で授業が行われるICUが一番環境的に勉強を出来て、落ちついて生活できる場所だと思って、ICUに進学することにしました。

2012年、東京フロストバレーYMCAパートナーシップ サマーキャンプでリーダーをしたとき。一番左が榑林さん。

2012年、東京フロストバレーYMCAパートナーシップ サマーキャンプでリーダーをしたとき。一番左が榑林さん。

日本に帰国後、英語力が衰えなかった理由

私にとってアメリカが実家なので日本に来る時は、「帰国」という認識は全くありません。日本に来る時、「英語力を維持するにはどうしたらいいのだろう?」と確かに自分に問いかけました。今ではICUでの英語で開講されている授業や、英語塾キャタルの教師として英語を使うことによって英語力を維持しています。

“本を読むこと”が英語力を伸ばす

小学校2年で一度留年をしてから多くの本を読むことになりました。今振り返ると、本を読むことによって英語力を磨き、現地校でも苦労しなくなりました。

子どもが英語を好きになる、おすすめの洋書

Harry Potter series

A Series of Unfortunate Events series

Eragon series

Magic Tree House series

Alex Rider series

Roald Dahl series

 

英語も日本語も教えられるのが、バイリンガルの魅力!

日本の子供達に英語を教えられることが一番大きいですね。それから、日本に来て、初めて英語を話せることがどれほど有利かを実感しました。ニューヨークでは誰でも英語が話せますが、日本に来ることによって逆に英語が使えることのメリットを感じます。

知り合いも増え、仕事の幅も増え、友だちも増え、日本からアメリカを見る面白さを実感しています。今まで英語が話せるのが当たり前な社会からそうでない社会に移って、国際社会を見る視野が広がりました。アメリカと日本に住んだことがあるバイリンガルだからこそ見える世界を発見できました。

具体的な例を1つあげます。私はアメリカではYMCAという公益団体に所属しており、特にフロストバレーというキャンプ場で活動していました。そこでは東京YMCAとのパートナーシップがあり、アメリカで日本人の子どもたち向けの青少年キャンプを行っております。

私はそこで日本語が好きになったという面も強いですが、2013年の夏のキャンプで10人の子どもたちのリーダーとして4週間一緒に過ごしました。このキャンプに参加する多くの子どもたちは、親の転勤でアメリカにいることが多く、英語が苦手な子どもが多いのですが、私が受け持った子どもたちは、全員私と同様に英語が上手で日本語が苦手でした。

このキャンプでは、日本語を話すという暗黙のルールがあります。そこで私は、日本語のライティングが苦手な子どもたちに「日本語を教えたい」と強く思い、あいうえおの表を印刷して一人一人に配り、夜書く日記の指導をしました。

指導のポイントは、楽しく、笑顔でやることと、子どもの関心にそって進めていくことでした。

アメリカでは、日本語のライティングを学ぶための場所が不足していますが、日本語と英語が使えると、将来の可能性が拓ける、という話を子どもたちと熱心に語り合ったのを今でも鮮明に覚えています。

フロストバレーの仲間と。一番左が榑林さん。

フロストバレーの仲間と。一番左が榑林さん。

子どもたちのために環境を破壊したくない!という夢の原点

将来の夢は、「環境問題を解決して子どもたちが将来幸せに暮らせる社会を作る」ことです。私は大きく2つのことに強い関心を持っています。まずは子供です。子どもたちと長年付き合い、英語塾キャタルやYMCAに所属して子供たちに触れ合っています。子どもたちからは不思議にパワーをもらうことが多いです。子供の純粋さに引かれるのだと思います。

2つ目は、環境です。環境問題に感心を持ち始めたのは、小学生の頃、祖父母がいる鹿児島の徳之島という小さな島でサンゴ礁の死骸や猛暑に耐えられず死んで浮いていた小魚を目にしたことがきっかけです。その後、Al Goreの著書「An Inconvenient Truth」を学校で見て、環境問題は深刻だと強く思い、大学では環境に関する勉強をしたいと思っていました。将来子どもたちが、私が見かけた自然の破壊を見ないように、今の自然が壊されないように、子どもたちが地球の美しさをきちんと見えるような社会を作りたいと思っています。

夢は大きく言えばこのような感じですが、やり方としてはかなり電子機器や自動車の面、エコテクノロジーに着目していくつもりです。その理由は、今後科学技術が発展していくと思いますので、どのように今後の新しいテクノロジーが環境にやさしいのか、再生可能エネルギーを作り出すのか、その技術に力を入れたいです。子供たちの幸せとは間接的になるかもしれませんが、子どもたちのために環境問題に取り組むことが私の夢です。

現在英語を学んでいる子どもたちへのアドバイス

英語を学ばれている、学ぶか迷っている皆さん!言語を習得するのは簡単なことではありませんが、長い年月と努力の重なりが結果を生みます。しかし、私はそれ以上にその言語の「楽しさ」を学ぶことが一番重要だと私は信じています。

私はアメリカで育ったため、逆に日本語の習得に苦労しました。日本語を習得するための勉強だけでは、絶対ここまで日本語を扱うことはできなかったと思います。ここまで日本語が上達したのは、同じバックグラウンドを持つ仲間に出会えたからです。彼らに出会い、「日本語を話すのが楽しい!」と思えたのです。英語も同じように、「英語を話すのが楽しい!」と思える経験をたくさんつくってみてください。

英語に関しては自分の好きなジャンルの本を読んでいました。ファンタジーにのめり込み現実とは全く違う世界に没頭できるのが楽しくてしかたがなかったです。だから、私からのアドバイスは是非、英語を学ぶ際、堅苦しい文法やライティングだけを通して英語を学ぶのではなく、「楽しく」学んでみてください!