4技能試験に対応した教育方法を考える_ライティング添削が最重要! | バイリンガルへの道

4技能試験に対応した教育方法を考える_ライティング添削が最重要!

ライティング添削が最重要!4技能試験に対応した教育方法を考える

英語の大学入試は、2020年度から英語の4技能、リーディング、リスニング、スピーキング、ライティングのすべてが大学入試で評価されるようになります。学校教育で鍛えることが難しい、スピーキングとライティングの技能を高める秘訣は、まずライティング技能を高めることです。ライティングの技能を高めるためには、繰り返し添削を受けて正しく自然なライティングを身に付ける必要があります。
この記事では、そもそも4技能試験とは何か、ライティングの重要性、そして保護者が知っておくべき重要なポイントについて解説していきます。

4技能試験とは

リーディング、リスニング、スピーキング、ライティングの4つの技能を合わせて、英語の4技能と呼びます。現在の高等学校指導要領においても、4つの技能を総合的に育成することが目標として掲げられています。しかし調査の結果、スピーキングとライティングの技能が不十分であることが分かっています。スピーキング、ライティングの技能を高めるために、2020年度から、文部科学省の主導のもとで、大学入試で4技能を評価する取り組みが始まります。この取り組みの中には、入試で民間の資格・検定試験を活用することも含まれています。外部試験を活用する理由は、現行の試験では受験者約50万人のスピーキングとライティングを一斉に評価することは、日程的にも人員的にも極めて困難なためです。

大学入試といえばセンター試験を思い浮かべる方も多いと思います。
しかし、そのセンター試験が2020年に廃止され、それに代わる新しい入試形式の導入が「英語教育の在り方に関する有識者会議」で議論 されています。特に英語については、4技能を総合的に評価できる問題の出題(例えば記述式問題など)や民間の資格・検定試験の活用が考えられています。
ここで注目されているのが総合的な英語力を評価するための「4技能試験」です。
今回は4つの「4技能試験」について紹介したいと思います。

TEAP(Test of English for Academic Purposes)

試験の特徴

TEAP(ティープ)とは、上智大学と公益財団法人 日本英語検定協会が共同で開発した、大学で学習・研究する際に必要とされるアカデミックな場面での英語運用力(英語で資料や文献を読む、英語で講義を受ける、英語で意見を述べる、英語で文章を書くなど)をより正確に測定するテストです。 テスト形式は総合的な英語力を正確に把握することができるよう「読む」「聞く」「書く」「話す」の4技能で構成しています。

試験の構成

TEAPは「聞く」「話す」「読む」「書く」の4つのセクションから構成されています。

  • Listening test :マークシートによる択一選択方式(時間:約50分)
  • Speaking test:1対1の面接方式(時間:約10分)
  • Reading test :マークシートによる択一選択方式(時間:70分)
  • Writing test:解答用紙への記述方式(時間:70分)

英語力測定基準

英語力を「スコア」および「バンド」でフィードバックします。

  • スコア
    4技能のスコアは項目反応理論(IRT:Item Response Theory) に基づいて標準化されたものを表示しています。
    ※項目反応理論とは(参照:https://www.knowledgewing.com/kw/blog/2013/03/201303210900.html)
  • バンド
    4技能とも、CEFR (Common European Framework of Reference for Languages) による6段階のバンドのうちA2~B2までの力を測定し、世界的に利用されている英語力の基準でどのレベルに位置するのかを知る目安となります。

受験機会

年3回実施。実施時期の目途は7月、9月、12月。

利用するメリット

TEAPを外部試験として利用する大学が増加。2015年度一般入試では、上智大学が他大学に先駆けてTEAP利用型入試を導入。また、立教大学、関西大学、立命館アジア太平洋大学、中央大学でTEAPの採用を決定。

 TOEFL® iBT(Test of English as a Foreign Language)

試験の特徴

TOEFLは、1964年に英語を母国語としない人々の英語力を測るテストとして、米国非営利教育団体であるEducational Testing Service(ETS)により開発されました。
日本で実施されているTOEFL iBT®(インターネット版TOEFLテスト)は、英語をどれだけ「知っている」かではなく、「使える」かに焦点をあて、より実生活に即したコミュニケーション能力を測定するテストです。

試験の構成

「聞く」「話す」「読む」「書く」の4セクションで構成。テストセンターで1人1台のコンピューターが割り当てられ、全セクションをコンピューター上で受験します。

  • Listeningセクション:マイク付きヘッドセット・マウスを使用(時間:60~90分)
  • Speakingセクション:マイク付きヘッドセットを使用(時間:20分)
  • Readingセクション:マウスを使用(時間:60~80分)
  • Writingセクション:キーボードでのタイプ入力(時間:50分)
    ※SpeakingとWritingのセクションには、同時に複数の技能を測定する問題(Integrated Task) がある

英語力測定基準

英語力を「スコア」でフィードバックします。

  • スコア
    Listening:0~30
    Speaking:0~30
    Reading:0~30
    Writing:0~30
    TOEFL iBT トータルスコア:0~120

受験機会

月に3~4回実施。月に複数回の受験が可能です。

利用するメリット

TOEFLテストは、世界中で受験されている、英語運用能力テストのリーダー的存在です。アメリカ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、カナダのほぼ全ての大学をはじめとした、130か国9,000以上の機関が、TOEFLテストスコアを英語能力の証明、入学や推薦入学、奨学金、卒業の基準として利用しています。

英語4技能試験TOEFLの特徴やレベル、勉強法を解説!目指すべき点数、合格ラインは?英語4技能試験TOEFLの特徴やレベル、勉強法を解説!目指すべき点数、合格ラインは?

IELTS(International English Language Testing System)

試験の特徴

IELTS(アイエルツ)は、海外留学や研修のために英語力を証明する必要のある方、イギリス、オーストラリア、カナダなどへ海外移住申請される方に最適なテストです。イギリス、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドのほぼすべての高等教育機関で認められており、アメリカでも、アイビー・リーグを含む3,000以上の教育機関で採用されています。
日本国内では、公益財団法人日本英語検定協会とブリティッシュ・カウンシルが共同で運営を行っています。

試験の構成

IELTSには、「アカデミック・モジュール」と「ジェネラル・トレーニング・モジュール」の2種類があります。リスニング、スピーキング、リーディング、ライティングの4つのセクションで構成されています。記述中心のテストで、スピーキングは面接形式となっています。

「アカデミック・モジュール」
受験生の英語力が、英語で授業を行う大学や大学院に入学できるレベルに達しているかどうかを評価するものです。イギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド等、英語圏の大学や大学院では、アカデミック・モジュールでの試験結果が入学許可の判断の基準となっています。

「ジェネラル・トレーニング・モジュール」
英語圏で学業以外の研修を考えている方や、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドへの移住申請をされる方が受験します。

  • リスニング:筆記試験(時間:40分)
  • リーディング:筆記試験(時間:60分)
  • ライティング:筆記試験(時間:60分)
  • スピーキング:面接試験(時間:11~14分)
    ※スピーキングテストはIELTSの世界的な規定により、筆記試験の前後6日以内に行われます。

英語力測定基準

1.0から9.0まで0.5刻みのバンドスコアで示されます。各セクションごとの英語力がバンドスコアで示される他に、総合評価としてオーバーオール・バンドスコアが与えられます。

受験機会

IELTSはほぼ毎週実施しており、受験機会は年間最大48回あります。

利用するメリット

イギリス、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドのほぼ全ての高等教育機関で認められており、アメリカでも入学審査の際に採用する教育機関が3,000を超え、世界中で受験者が増え続けています。

 GTEC CBT(Global Test of English Communication)

試験の特徴

「聞く」「話す」「読む」「書く」という英語の4技能が多角的に測定できる英語力テストです。GTEC CBT はCBT(Computer Based Testing)という名のとおり、コンピューターを利用して受検します。大学入学後やその先でも求められる英語力を測定できる「新しい時代の英語力検定」です。

試験の構成

リスニング・スピーキング・リーディング・ライティングの4技能の英語力を、スコア型の絶対評価で測定します。また、スピーキングとライティングは、「英語話者の視点」による採点を行っています。

  • Listening:マウスクリック形式による選択(時間:約35分)
  • Speaking:マイク付きイヤホンでの音声録音による解答(時間:約20分)
  • Reading:マウスクリック形式による選択(時間:約55分)
  • Writing:キーボードでのタイプ入力(時間:約65分)
    ※コンピューターによる実施のため、試験時間は受検者によって異なります。

英語力測定基準

現在の英語力をスコアおよびグレードでフィードバックします。

  • スコア
    項目反応理論(IRT:Item Response Theory) に基づいてスコアを算出しています。
  • グレード
    リスニング・スピーキング・リーディング・ライティングの評価が9段階で設定されます。

受験機会

年に3回実施(年度内2回まで受検可能)。

利用するメリット

全国の大学でGTEC CBTのスコアの活用が導入・検討されています。

4技能試験への対応の決め手はライティング技能の育成

結論から言えば、4技能試験への対応の中で、もっとも力を入れるべきポイントはライティング技能の育成です。なぜライティングが重要なのか、そしてライティングのスキルアップには添削指導がキーであることをご紹介します。

ライティングが決め手となる理由

英語の4技能とは、リーディング、リスニング、スピーキング、ライティングの4つです。リーディングとリスニングの技能は、正しい参考書とリスニング教材を活用した自学自習、つまり現状の教育で伸ばすことができます。新たに対応する必要があるのは、スピーキングとライティングです。
スピーキング技能を育成するためには、自分のスピーキングを良い指導者にその場で何度も修正してもらい、もう一度言い直すような学習が必要です。ライティングも同様の学習が必要です。ライティングの学習は、スピーキングの学習と比較すると、修正や改善、理解といった学習プロセスがすべて可視化されているという利点があります。繰り返し添削を受けてライティング技能を確かなものにすることは、スピーキングの技能を高めるうえでの基盤となります。

添削指導がライティングのもっとも効果的な教育方法

ただし、書きっぱなしでは、ライティングの技能は伸びません。誤った文章や、不自然な文章を繰り返し書いていれば、むしろライティング技能が損なわれてしまうでしょう。きちんと能力を伸ばすためには、自分で書いた作文を指導者に見てもらう必要があるため、ライティングの学習は自学自習だけでは十分ではありません。
それではライティングを伸ばすためには何をすれば良いのでしょうか。ライティング技能を伸ばすために効果的な方法は、添削指導を受けることです。ライティング技能を伸ばすためには、書く作業とともに、書いたものを正しく自然な文章になるように修正してもらい、両者を見比べ、自分でどこに問題があったのかを理解したうえで、正しく自然な文章をもう一度書き直す訓練が必要です。これは、添削指導を受けることに他なりません。

英語教育について、保護者が知っておくべき重要なポイントとは?

すでに述べたように、ライティングの添削指導は、学校まかせでは受けられません。保護者は英語教育の現状と4技能を伸ばす方法について理解し、ライティング指導を受けられる塾や学校を探す必要があります。

教育格差問題が起きる

世界がグローバル化する今日、外国の情報を受け止める技能としての、リーディング、リスニング技能だけではなく、自らグローバルな世界とコミュニケーションを取るための、スピーキング、ライティング技能の必要性が広く認識されています。4技能入試もまた、このような認識から出てきたものです。問題は、現状の学校教育が、スピーキング、ライティング技能の育成に対応できていないことです。学校教育体制が不十分なままに、大学入試に4技能評価を取り入れているので、地域や保護者の教育力によって、教育格差が広がる可能性は非常に高いでしょう。多くの教育関係者が、強い懸念を抱くもの当然のことです。

保護者の理論武装が必要

学校の英語教育体制が不十分なままで、4技能入試に突入していくことは、すでに決まっています。現実の問題として、4技能入試への対応は、保護者の選択に委ねられています。意欲のある保護者は、現状をチャンスと捉えましょう。保護者の責任で、適切な英語学習環境を用意できれば、大学入試で有利になるためです。保護者はこうした現状をよく理解する必要があります。また同時に、4技能入試への対応の決め手がライティングであることも理解する必要があります。

ライティングの添削指導ができる塾探しが大切

仮に、30人5クラスを担当している英語教師が、150人の生徒を添削すると仮定してみましょう。1人の添削に30分かかるとすれば、150人全員を添削するのには75時間かかります。先生が毎日8時間、ライティングの添削だけをしていたとしても9日かけても終わりません。この体制では、この学校の生徒は毎週1回の添削指導を受けることはできないでしょう。
通常の学校教育の範囲では、適切なライティングの添削指導は受けられません。丁寧にライティングの添削をするには、あまりに教師の時間が足りないためです。保護者は塾を探す際、ライティングを指導する体制を詳しく確認し、確実にライティングを指導してもらえるかどうかを見極める必要があります。

将来的には、TOEFLとTOEIC、どれを受けるべきなのか?

保護者の方からよくある相談です。

「今、子どもは英検しか取っていないのですが、これからTOEFLやTOEICは必要になってくるでしょうか?」

まず、それぞれのテストの概要を確認していきましょう。
TOEICは、比較的、社会人向けのテストで、「Test of English for International Communication」の頭文字をとってTOEICですね。TOEFLは「Test of English as a Foreign Language」の頭文字をとってTOEFLです。TOEFLは、アメリカや英語圏の大学に入るために、語学力を判断するためのテストです。留学生が受ける共通一次、センター試験にも近いイメージですね。

この2つのテストの大きな違いは、TOEFLは4技能均等型といって、ReadingとListening、このInput系の2技能に加えて、Writing、SpeakingというOutput系の技能もしっかりと均等に判断するテストである点です。つまり、英語で書いたり、話すことができないと高得点を取れないのがTOEFLです。
これに対してTOEICはListening と Readingの2技能だけを評価するInput型のテストです。最近は、TOEICが4技能のうち2技能しか評価できない点に課題があるという意見が出てきています。
たとえば、TOEIC900点というと、かなりの高得点ですが、ReadingとListeningだけしかテストに出ないので、900点取れても英語が話せない人がいる、というケースがあるわけです。文部科学省は、こういった課題を解決するために、2020年から入試英語が4技能型に変えていく、という方針を打ち出しています。

ここで、「英検しかもっていないのにTOEFL、TOEICが必要ですか?」という質問に戻りますね。将来、お子さまの留学や海外でのキャリアを開いていきたいと考えている方は、英検だけではなく、最終的にはTOEFLを目指していただきたいです。2020年からは、大学入試も4技能になるので、今から準備しておくとよいですね。ぜひTOEFLを受けることを目標にして、4技能をバランスよく磨いていってください。

まとめ

2020年度から大学入試での英語の4技能評価が始まります。新たに評価されることになったスピーキングとライティングの技能を高めるためには、ライティング技能を高めることが基盤となります。通常の学校では、適切な添削指導を行う体制が整っていません。ライティング技能を高める最良の方法は、良い指導者に添削指導を受けることです。適切な添削指導を受けるためにも、塾選びは慎重に行うことが大切です。
参考URL
・文部科学省:大学入試英語ポータルサイト