鈴木さんの生い立ちと海外歴を教えてください。
日本で生まれて3ヶ月ぐらいでアメリカのニューヨークに引っ越しました。 その後、2歳から高校3年の18歳までニュージャージーに住んでいました。
母親が「まず日本語をしっかりと身につける」という考えを持っていたので、小学生の時は、日本人学校に通いました。この時は、ほとんど英語は話せませんでした。
父がアメリカ人で少しだけ日本語が話せるので、小学生の時は、父とも日本語で話していましたが、中学生になってからは、家で父とは英語、母とは日本語でコミュニケーションをとるようになりました。
中学、高校はニュージャージーの公立の学校に通って、大学は日本の慶應義塾大学の経済学部に進学しました。生まれて3ヶ月でアメリカに引っ越ししたので、日本に住んでみたいという気持ちが強くて日本の大学を選びました。
最初、英語はどうやって勉強したのですか?
中学校から現地の公立に入ったので、授業がすべて英語になって初めは戸惑いました。1番苦手だったのがライティングでしたが、エッセイの宿題があったので、書いている間にだんだん得意になっていきましたね。
日本人学校からアメリカの現地校に進学して、英語の壁をどうやって乗り越えたのですか?
分からないことが多かったのですが、はじめは質問するのが恥ずかしくて、できなかったんです。ある時から、「分からないまま、ずっと席に座っていても意味がないな」って思って、恥ずかしさを捨てて、授業が終わった後に先生に質問するようになりました。そうしたら、先生が優しく説明してくれたのでそこから変わっていきましたね。
聞けば聞くほど、恥ずかしさもなくなってきて、授業中でも分からないことがあったら質問できるようになりました。
それから、当時は単語力が圧倒的に低かったので、分からない単語は、とにかく書いて覚えました。見ているだけでは覚えられなかったので、単語を10回くらいノートに書いて、意味も5回くらい書いていきました。すると、自然と頭に単語が入ってきたんです。
慶應義塾大学の経済学部に進学されますが、帰国入試はどんな内容でしたか?
一次審査は、高校の成績、TOEFL、SAT、志望動機で審査されました。2次審査は、慶應のキャンパスで日本語の小論文と面接でした。
面接は、法学部では2対1で、経済学部は3対1でした。経済学部は、かなりハードな面接で周りの人たちもめちゃめちゃにされたと言っていましたね。例えば、「震災の時に、一番被害を受けた県を東京に近い順で言ってください」といった地理的、時事的な問題は、帰国子女には難しいこともあると思います。
アメリカ版センター試験と言われるSAT(大学進学適性試験)で2100点という高得点を取っていますが、どうやって勉強されたのですか?
SATのテスト形式は、「数学」、「読解」、「文法+エッセイ」で構成されていて、各800点満点、で合計2400点が満点です。
enaという塾でSAT対策をしましたね。このエッセイは、自分の頭で考えて書くものなので、毎週塾からトピックが与えられて、とにかく書いて、先生からフィードバックをもらうことを繰り返しました。現地校のアメリカ人の友達の一人に、エッセイが上手な子がいて、見せてもらってあまりの違いに驚きました。でも良いエッセイに触れるのは大切だと思います。そういったことを繰り返しているうちに上達していきました。あとは過去問題をたくさん解きましたね。
アメリカ人の父親と日本人の母親の間に生まれて、2つの国で生活してきて、ご自身のアイデンティティをどう捉えていますか?
アイデンティティは、子供の頃からバランスが取れていたと思います。
家の中でも、英語と日本語を使い分けていたし、友達も日本人とアメリカ人が両方とも多いです。アメリカ人といる時はアメリカ人になって、日本人といる時は日本人になる感じですね。ちょうどハーフなのかなって思っています。
だから、大きなカルチャーショックはあまり受けたことがないです。その点は、親に感謝すべきことかもしれません。
将来はどんなことをしたいと思っていますか?
言語はもちろんですが、日本とアメリカという文化的なバランス感覚もあるので、そういったことを生かして活動していきたいですね。
最後に、子供の英語学習におすすめの本を教えてください。
The Great Gatsby「華麗なるギャツビー」
日本でも映画化された人気の小説です。
元軍人で無一文の青年が、1920年代の繁栄するアメリカの中で成功をおさめ、巨万の富を得て、昔の恋人の愛を取り戻そうとする物語です。
Romeo and Juliet(ロミオとジュリエット)
シェイクスピアの4大悲劇の1つです。お互いを仇だと思っていがみ合っていた両家のロミオとジュリエットが舞踏会で出会い、恋に落ちる物語。その後の悲劇は、ぜひ小説を読んでみてください。
HOOT
カバーに可愛いフクロウがチョンと載っていたので、読んでみよう!と思って手に取りました。読者を環境問題がらみのミステリーに引き込む内容で、絶滅の危機に瀕した小型のフクロウ、フクロウたちの巣穴の上に建設予定のパンケーキハウス、フクロウを助けるために大人に立ち向かっていく子供達が登場する物語です。