僕がMITに行く理由 英語塾キャタル代表 三石 郷史 | バイリンガルへの道

僕がMITに行く理由 英語塾キャタル代表 三石 郷史

僕がMITに行く理由 英語塾キャタル代表 三石 郷史

この記事では、英語塾キャタルの代表三石がキャタルの学習法で勉強し、実際にTOEFL100点以上を実現するまでの道のりをご紹介します。また、世界最先端のテクノロ ジーを誇るMIT(マサチューセッツ工科大学)を留学先に選んだ理由や、「教育×ビジネス×テクノロジー」で日本の英語教育の課題解決に挑むにいたったエピソードをご紹介します。

TOEFL100点が絶対条件

この9月から、アメリカのボストンにあるMIT(マサチューセッツ工科大学)の大学院、EMBAに通います。
MBAはMaster of Business Administrationの略で、日本語では経営学修士と訳されます。今回僕が合格したEMBAの頭文字EはExecutiveを意味し、現役の経営者や経営幹部など実際にキャリアを持つ企業人が、その経験を活かしながら学びあい、切磋琢磨することでさらに高めていこう、という大学院です。2年間のコースで、プログラムは月に2回ほど、週末を使って行われます。僕も日本からボストンへ通学します。

TOEFL100点が絶対条件

英語でチャンスを掴めなかったコンプレックス

実は、MBAを目指したのはこれが初めてではありません。 社会人になって2、3年目に、キャリアチェンジをしたいと思った時、そのために僕もアメリカの大学に留学したいという気持ちが膨らんできました。大学、社会人と、周りに帰国子女がたくさんいる環境で過ごし、彼らのように海外で勉強するというチャンスをつかむことができなかったことが、自分の中で大きなコンプレックスになっていたのです。

TOEFL100点は絶対条件

実際に仕事をしながら大学院を目指しても、まずTOEFLにつまづきました。海外のMBAに行くには、TOEFL100点が絶対条件です。当時通っていたTOEFLの塾で「三石さんの今の英語力なら、2年くらい勉強すればTOEFLでいい点を取れるようになるでしょう。その後1年でGMAT(入学適正テスト)対策をやる、という3年計画で頑張りましょう」と言われました。3年もかけて勉強しても、その時に自分がどうなっているのかもわからないし、3年 という年月が永遠のように感じました。そして自分には無理だと諦めてしまったのです。

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僕は英語塾キャタルを作りました

周りの帰国子女たちだけが、出世したり、MBAに行ったりする姿を見て、幼少期にどういう英語との関わり方をしてきたかによって、こんなに差がつくのかということを目の当たりにしてきました。自分は諦めたけれども、「下の世代にはそういう思いをさせたくない」「もっと早い時期から、TOEFLのことも準備できるような塾があったらいいな」という思いでキャタルを設立し、子どもたちの英語力を上げることをサポートし続けてきました。2015年に転機がありました。ノーベル生理学賞を受賞されて、今はMITで脳科学の研究をされている利根川進教授にインタビューをさせていただく機会があり、実際にボストンに飛んでMITを訪れました。

利根川教授と立花隆さんが書かれた「精神と物質」という本を読んで感銘を受けていましたので、僕にとっては大ヒーローの利根川教授に実際にお会いしてお話できたということは感動的でした。そして帰り際に、MITの有名な景色でもある、広い芝生とその中央にドームがあるという広場に立った時に、ふと「ここで勉強したい」と思ったのです。
もちろん、利根川教授がいらっしゃることも大きな理由ですし、振り返ってみると、一番好きな映画の「グッドウィルハンティング」はMITが舞台だし、小学校3年生の時に、父親が出張のついでに立ち寄ったMITの写真を僕に見せてくれて「郷史もこういう大学に行って将来は科学者になるのもいいな」と言われたことなど、いろんな思い出が一気に頭をかけめぐって、もう一度目指してみよう、と決心しました。

TOEFL74点。100点に及ばず

でもやはり、TOEFLの点数を上げることが壁になりました。当時TOEICも受けていて、それはほとんど勉強しないで930点くらいでしたので、TOEFLも80とか90点くらいは取れると思っていましたが、最初に受けた時は74点。あまりに悪かったので、社員にもTOEFLを受けたことさえ言えませんでした。そこからTOEFLの勉強を本格的に始めました。英語塾キャタルは「ABCからTOEFL100点まで」というビジョンを掲げていますが、僕自身がTOEFL100点を取れていませんでした。何回も諦めそうになりましたが、僕がここで諦めたら、苦しくなった時に生徒たちも諦めてしまう、と思って頑張りました。

100点取れなかったら坊主にします!

ある時、僕がやっているラジオ番組の中で「今年じゅうにTOEFL100点を取れなかったら坊主にします」と宣言しました。でも11月のテストで94点だったのです。まずいなーと思って勉強法を見直して、たくさん「書く」ことに力を入れました。リーディングとリスニングに関してはほぼ完成されていたので、やはりもっとアウトプットをやらなければ、と思い、ライティングの過去問を解きまくって、なるべくたくさんの人に見てもらいながらフィードバックをもらう、というトレーニングをしました。最後、12月16日に受けたTOEFLの結果が12月30日に来て、102点でした。年末ギリギリで、僕は坊主にならずに済みました。

英語塾キャタル代表三石が実践した「4技能別TOEFL対策」英語塾キャタル代表三石が実践した「4技能別TOEFL対策」

日本の英語教育の問題を解決したい

前半は、キャタルの学習法で勉強しTOEFL100点以上を実現するまでの道のりをご紹介しました。
後半は、世界最先端のテクノロ ジーを誇るMIT(マサチューセッツ工科大学)を留学先に選んだ理由をお伝えします。いよいよ「教育×ビジネス×テクノロジー」で日本の英語教育の課題解決に挑みます。

「教育×ビジネス×テクノロジー」で日本の英語教育の課題解決に挑む

MITからの合格通知

ここからが本当のアメリカの受験体験でした。大学時代の学校の成績と、TOEFLの点数と、ステイトメントオブパーパス(志望理由書)、「あなたが興したイノベーションについて」「あなたが興した組織の変化について」というテーマでエッセイを2本、推薦状を3通、これらを提出して一次の書類選考を通過しました。4月の上旬、雪の降るボストンに呼ばれて二次面接、2週間後に合格通知をもらいました。またこれについては、次回以降ゆっくり書きます。

4技能を教えられる先生が足りない

こうして、MITで学ぶ機会を得ることになりましたが、ただ憧れだけではなく、世界のテクノロジーの最先端であるMITだからこそ、そこで解決策を見出したい課題がたくさんあるのです。今、日本の教育が大きく変わろうとしている中、ビジネスとしても、大きな変化が必要となってきています。2020年から、毎年50万人の生徒が4技能試験で大学を受験します。小学校3年生から勉強を始めると仮定すると対象は10学年、つまり500万人の生徒に対して4技能を教えることになります。仮に一人の先生が50人の生徒を見るとしても、10万人の「4技能が教えられる先生」が必要になりますが、今の日本には量・質ともに充分な先生がいないのは明らかです。

ライティングの解決にテクノロジーが使える?

この問題をどのように解決していけばいいのでしょうか。10万人の英語ができる人たちを海外から連れてくるのでしょうか。連れてこなくても、何らかのテクノロジーを使えば、解決できるかもしれません。スピーキングに関しては、レアジョブやDMMがやっているオンライン英会話に期待が集まっています。一方で、ライティングに関しては、解決策がいまだ見つかっていません。自分がTOEFLで苦しんだのでよくわかるのですが、ライティングは自分が書いた英文に対して、いかに質の良いフィードバックを受けることができるかが大切です。それをどうやってテクノロジーで解決できるか、手段を探ることが一つの大きなテーマです。

EdTechが抱える問題点

同時に、教育(education)とテクノロジー(technology)をつなげ た分野が大きくなりつつあり、それはEdTech(エドテック)と呼ばれ ています。エドテックが抱えている問題の一つに、教育現場とビジネスとテクノロジーの3者をしっかりと理解してつなげられる人が足りていないという現実があります。例えば学校の先生は現場のこと はよくわかっているけれど、ビジネスやテクノロジーについては距離があります。
同じように、エンジニアは現場やビジネスに距離があり、経営者は現場やテクノロジーに距離があります。そのため、目の前にある大きな問題を、昔の古いやり方で解決しようとしてしまっているのです。

テクノロジーを使うだけでは問題解決にならない

アインシュタインの言葉に、”We can not solve our problems with the same thinking we used when we created them.”
「問題を作り出した時と同じ考え方では、問題を解決することができない」というものがあります。日本の教育界は今まさにこのズレが生じていると言えるでしょう。例えばせっかくテクノロジーを採用して授業にiPadを導入させても、それはドリルの解答を自動的にやってくれるだけだったり、電子教科書が導入されても、教科書の本文 を自動で読み上げてくれるだけだったりします。それはテクノロジーを使わなくても、今までどおり巻末の解答を見れば自分でできるし、CD音源を再生すれば教科書の本文を聴くことができます。つまり、最先端の機器を使っても、やっていることが昔のままであれば、問題の解決にはなりません。

日本の教育の問題を解決したい

本当の問題は、英語が楽しいってどうして思えないのか、やる気がある子も英語力が伸びないのは何故なのか、どうして適切な指導ができていないのか、解決すべきところはそこなのです。それをきちんと次の次元から考えて、解決策を提示できるような思考が必要です。教育現場・ビジネス・テクノロジーの全てをバランスよく理解して、リーダーシップを持って教育を良くしていきたいし、新しいチャンスを広げていきたいです。もう一つ、一昨年にテキサスでSXSW(サウスバイサウスウエスト)という、世界最大の教育とテクノロジーのシンポジウムに参加しました。その際、アメリカにはテクノロジーがふんだんにありながら、アジア人が語学を学ぶ機会に対して十分に対応できておらず、このギャップを埋める必要があるな、と感じました。このように、日本の教育界にテクノロジーを使って新しい可能性を見出すことと、アメリカのビジネスと教育の世界にあるこのようなチャンスにテクノロジーをどう活かしていくかを探ること、両方の立場に立つ者として橋渡しの役割をしたいと考えています。そしてそれを実現するためには、世界のテクノロジーをけん引している最高機関に身をおくべきだ、と考えて、MITを選びました。

学ぶことの楽しさを伝えたい

Sloan Schoolは、MITで数多く作り出すテクノロジーを世の中に出していくという、非常に大きな責任を持っています。その一員として世界に挑戦していきたいですし、一方で、一人の大学院生として、学ぶことの楽しさを自分自身で味わって、それをキャタルの生徒たちに伝えていきたいです。