樋口さんの海外歴と学校歴
1歳〜2歳 | ラオス |
2歳〜9歳 | 日本 千葉県 |
9歳〜12歳 | ニュージーランド ウェリントン(現地校) |
12歳〜15歳 | ネパール カトマンズ(インターナショナルスクール) |
15歳〜18歳 | アメリカ メリーランド州(現地校) |
18歳〜22歳 | 日本(上智大学国際教養学部 2014年9月卒) |
英語の所持資格
英検1級 ・ TOEIC 960点 ・ TOEFL iBT 104点 |
ジェスチャーから始まり、自然に英語が話せるようになった
-海外で苦労したこと、そのエピソードは?
海外で一番苦労したことは、やはり「言葉の壁」です。9歳までほとんど英語をやってこなかったので、最初にニュージーランドに行った時は一言も話せませんでした。学校の初日にテストがあったのですが、鉛筆を忘れてしまい、「貸してほしい」と英語で言えず、自分の意志をどうやって伝えたらよいのか分からず、テストで0点を取ったのを覚えています。
英語を書いたこともなかったので、自分の名前すらあやふやで、スペルを聞かれて固まってしまったこともあり、とても悔しかったです。
学校には日本人がいなかったため、私のサポートをしてくれる生徒をバディとして先生がつけてくれて、聞き方もわからない中でジェスチャーから始まり、最後は一緒に遊べるようになりました。
リーディングも最初は難しかったので、家庭教師をつけてもらいながら、分からない単語を調べながら読む、ということを繰り返していきました。
-ニュージーランドはどんな国ですか?
ニュージーランドの温かい国民性だと思いますが、差別を受けたこともなく、みんなフレンドリーで楽しい思い出ばかりです。人よりも羊が多くて、自然がいっぱいで、みんなおっとりしていますね。
ストレートチルドレンとの出会い
-ネパールで体験した、人生を変えたエピソードは?
ネパールは自然が美しい国ですが、発展途上国であるため、貧困が問題になっています。空港からホテルに行く途中の出来事で、2週間ほどホテルから出られない体験がありました。
それはストリートチルドレンとの出会いです。信号で止まった車に、まだ小さな子供たちが群がり、お金をせがまれた時は衝撃でした。同じ地球にいながら、なにも知らない自分が情けなくなりました。日本だけで過ごしていたら知らない世界だったと思います。
その体験が、大学生になってからボランティアに積極的に参加するようになったきっかけです。世界で起こっていることを、自分から調べて、できる一歩を踏み出すことで、自らの価値観を広げる大切さを学んだような気がします。
人生で一番勉強に打ち込んだアメリカの高校生活
-なぜアメリカの高校時代、勉強のモチベーションが上がったのですか?
転校先のアメリカの高校は、非常に教育レベルが高い場所でした。ネパールでは英語を話せると感じていたのに、アメリカの高校の授業はレベルが高くて、ESL (English as a Second Language)に入らなければならなかったのです。
しかし、「卒業するまでオールAをとる!」という目標を掲げたことで、勉強への意欲がグングン上がっていきました。自分に合う勉強法を思考錯誤して、教科書は何回も音読したり、ノートに要約したり、オリジナル単語テストを作ったり、自分でテスト前に予備テストを作ったり、学力が遅れていた分、人の倍の量をやることにしました。
少しでもわからない事は先生に放課後に聞きに行きました。「またお前か」と思われていたとは思いますが、目標を達成するためだと腹をくくり、先生と仲良くなって、放課後に通いつめました。
世界から学生が集まる上智大学
-なぜ上智大学を選びましたか?
英語に力を入れている大学に入りたかったので、上智大学の国際教養学部を選びました。授業がすべて英語なので、英語力維持につながるのと、留学生も多く、多様な人が集まっているので刺激になると思いました。
-日本に帰国後、どうやって英語力を維持していますか?
大学の授業はすべて英語でしたが、それ以外にも、洋書を読んだり、英字新聞をノートに写して、わからない単語は辞書で調べて覚えるようにしています。
多様な国籍の人たちと意見を交わし、自分を高める
-バイリンガルでよかったと思えた瞬間とは?
身近な事で言えば、映画や洋書など、原作がそのまま楽しめることです。翻訳だと微妙なニュアンスや言い回しが変わってしまい、作者が伝えようとしているメッセージが変わってしまうことがあるからです。
それと、世界中の人たちと交流できて、意見を交わせるので、人との出会いから自分を高めることができると思います。
-日本と海外の教育の違いは?
日本の教育標準は非常に高く、チームワークや協調性を学ぶことができ、全員が一定レベルまで均等に知識が得られる点が良いところだと思います。同時に、1人1人の個性が認められず、自分の才能や強みを伸ばしにくい点もあるかと思います。
一方で、海外の教育は個人により注力した教育になっていて、個性を伸ばし、1人1人のレベルに合わせた選択肢として、例えば、飛び級、ESL、特別支援教育が充実している点が良いと思います。海外の教育では、将来について小さい頃から考える機会がありました。
-将来の夢は?
今抱いている夢は、日本の教育をより良くすることです。特に、英語や異文化コミュニケーションを強化して、日本人がグローバルに活躍し、自分の夢に挑戦できる教育を、学校や、将来の自分の教室で作りたいです。そのために、現在も英語教師として経験を積んでいます。
-日本の英語教育の問題点と解決策は?
私が思うのは、子どもの英語に対する興味が低いことです。英語が自分の可能性を広げてくれるツールだという実感が薄いと、テストのためだけの勉強になってしまいます。
もっと身近な興味と英語をつなげて、「英語ができると世界を広がる!」という実感を得てもらいながら、英語の読み書き、文法を学んだ方がよいと思います。私がアメリカで学んだ学習法と、英語塾キャタルの学習法は非常に近いので、キャタルのやり方は良いと思います。
子どもが楽しく英語を学べる洋書は?
The Giver
高校の課題図書で読んだファンタジーです。学校の課題図書はなかなか面白いものがない中、この作品の世界観に引き込まれて、一気に読破しました。ぜひ読んでいただきたい1冊です。
英語を勉強している子どもたちにメッセージ
英語はただの勉強としての科目ではなく、自分の夢や可能性を広げてくれるツールの一つだと思っています。英語を興味とつなげながら、自分に合った目標を見つけて、英語を自分のために活かしてください!