田中さんの海外歴と学校歴
0歳7ヶ月〜5歳 | アメリカ合衆国コネチカット州 |
5歳〜13歳 | 洗足学園 |
13歳〜17歳 | アメリカ合衆国カリフォルニア州 San Marino High School |
17歳 | 洗足学園 |
18歳〜 | 慶應義塾大学法学部政治学科 |
英語の所持資格
英検1級 ・ TOEFL 108点 ・ TOEIC 940点 ・ SAT 1940点 |
13歳でいきなりアメリカの現地校へ。
-13歳でアメリカに渡り、 現地でどんな苦労がありましたか?
現地で苦労したことは、やはり英語の習得です。
住んでいた地域が特殊だったこともあり、ELD(English Language Development) のクラスは私以外の生徒は皆中国語で会話をしていて、自分だけコミュニケーションを取れなくて、当初なかなか友達を作れませんでした。
学校へ最初に行った日にパソコンの授業があったのですが、7年生(13歳)の終わりから編入したので、全くパソコンにも英語にもついていけない状態でした。何をすればいいか分からないし、他の人に聞くのも恥ずかしいし、難しいし、すごく困ってしまいました。「英語が話せないのは嫌!」っていう恥ずかしさを痛感しましたね。
逆に、疎外感を感じたからこそ、英語を頑張ってしゃべれるようになりたいと思うようになりました。
-7年生(13歳)でいきなり現地校に行くのは大変でしたね。
そうですね。でも両親は最初から現地校に入れると決めていたので、選択の余地なく現地校に入りました。現地校には日本人がほとんどいなくて、1人仲良くなった日本人の女の子がいたのですが、その子も1年後でボストンに引っ越してしまって。日本語が使えず、英語を使わなきゃいけない環境にいましたね。
-アジア系が多い中で、学校の中ではみんな英語を使いますか?
人によるのですが、中国系アメリカ人の子は英語で、逆に中国語はちょっと喋れるレベルでした。
中国本土、台湾から来る子もいたので、アジアからきた子達は最初固まったりしていますね。英語と中国語をMIXで話している感じが多かったです。
-田中先生も中国語が話せたりするのですか?
カリフォルニアの最後の1年間、高校で中国語を受けていました。それで中国語に興味を持って、今は慶應義塾大学でインテンシブのコースを取っています。今度、中国語検定を受けるのですが、まだ勉強中です。
今度、所属している国際問題啓発団体のサークルとして、中国へ行って、国際問題に関するディベートをする予定です。
周りの意見も聞きながらも、自分の意見をしっかり伝える
-アメリカで受けた英語の授業で印象的なものはありますか?
具体的にどの授業が、というわけではありませんが、日本の授業とは違って、プレゼンテーションやディスカッションなどを重要視する教育方針にはとてもカルチャーショックを受けました。日本の詰め込み教育とは違って、アメリカは自分の意見を述べる能力を育てることに力を入れているなと思いました。
-具体的にどんな時にプレゼンやディスカッションの教育が役立っていますか?
私は、渡米した時は人前でしゃべるのが苦手で、実際今でも苦手意識はあります。あまり自分の意見を言えなかったのですが、海外では自分の意見を伝えたいと周りに理解してもらえません。
実際、アメリカでそういった教育を受けたおかげで、国際問題啓発団体のサークルなどで、自分の意見を伝えることを大切にしています。今度行く中国でも、みんなで「向こうで何をしよう?」「どうすればこれが良くなるんだろう?」という話をする際には、自分で思いついたらすぐにそれを伝えて、共有することが出来るようになりました。
-集団の中で、自分の意見を言う時に意識していることはありますか?
自分の意見を押し付けるだけではダメだと思うので、周りの意見を聞いて、それを踏まえた上で自分の意見を言うようにしています。
「さっき○○ちゃんも言っていたけど、コレとコレを合わせたら良いんじゃないかな」みたいな形です。周りの意見も尊重しながら自分の意見も言って、それでより良くなることを目指しています。
-価値観の違う相手とのコミュニケーションで大切にしていることがあれば教えてください。
以前日本に住んでいた時には偏見が結構あって、例えば「中国人」だったら「声が大きい」とか、悪いイメージを持っていたのですが、実際に交流をすると、それにも理由があると気付きました。その国独自の文化の中で行動や性格が形成されることを実感したので、相手の言い方や見た目をそのまま受け取るのではなく、背景の文化を理解することで、「あ、こういう理由でこうなんだ」っていうことを感じるようにしています。
帰国後、忘れないために英語は話せる機会があれば日本人にでも話す
-日本に帰国後、英語力は落ちませんでしたか?
両親から聞いた話では、姉や兄とも英語で喧嘩をするくらい、日本語より英語の方が自然に出てくる子どもだったそうです。
5歳で日本に帰国した時は、英会話クラスに少し行っていたのですが、大人数のクラスでフォローをしてくれないアメリカ人の先生が合わなくてやめてしまい、以来全然英語を使わなくなってしまいました。
2度目に渡米した際に英語を忘れてしまったことをとても悔やんだので、帰国後は英語を忘れないように英語と関わるように意識しています。英語塾キャタルで、英語教師に応募したのもそういった理由がありました。英語が人の役に立つということもすごく嬉しいです。
-どのように英語を維持されていますか?
帰国後、再編入した洗足学園は帰国生が多い学校なので、帰国生の友達とは英語で喋っていました。今通っている慶應義塾大学の法学部も帰国生がわりと多く、帰国生の友達が作りやすいので、相手が日本人でも、英語を使うように意識しています。それから、映画が好きなので、字幕なしで観るようにしていますね。勉強というよりは、日常に英語を取り入れています。
東アジアの問題に興味を持ち、慶應義塾大学法学部政治学科に進学
-なぜ東アジアの問題に興味を持ったのですか?
日本にいた時は、メディアの情報でしか外国人を知ることができず、少なからず偏見があったかもしれません。しかし、実際にアメリカでアジア人の友達ができて、価値観の違いはあったとしても、すごく仲良くなれました。
すごく仲良くなった中国人の女の子がいたのですが、一緒にいた時にたまたま尖閣諸島のTVをみて気まずくなって、日本にいたらどこか他人事に思えてしまう日中関係のことを、身近に感じたので勉強したいと思いました。
私は中国人の仲良くなった友達がいっぱいいて、今回中国に行く時も助けてもらったりしているのですが、実際、個人としての付き合いでは仲良くなれるのに、国家同士だと、なぜこんなに諍い(いさかい)が起きてしまうのだろうかと、関心を持つようになりました。
そこで、東アジアの分野に力を入れている慶應義塾大学法学部政治学科がとても魅力的に感じたので第一志望校として受験しました。
-実際に慶應に入学してみていかがですか?
慶應義塾大学の法学部は、語学に力を入れています。私がインテンシブコースに入っていることもありますが、週4回は中国語のクラスがあります。4人いる先生の中で、3人は中国人の先生なので、語学だけでなく、中国のことについて実際の話が聞けています。
それとは別に「地域文化論」という、地域別の文化を学べる一般教養の授業があるので、そこでも東アジアについて学びました。
英語習得のコツは、単語カードの繰り返しと文法の学び方
-英語を極めるためにどんな工夫をしましたか?
カルフォルニアに渡米した直後に、私には英語と日本語が話せる家庭教師がいたのですが、その先生とは徹底的に英語で話すようにしました。また、単語カードをたくさん作り、3回テストをしてもらって語彙を増やすようにしていました。
英語塾キャタルで行っている方法に近いのですが、英語の本を見て、英語で意味を答えます。もし単語で答えられなければ、なんとか別の英語表現で「こういう感じの時に使う」とか言っていました。それは英語学習に役に立ったと思います。
あと、文法の学び方ですね。日本の授業だと、「過去分詞」とか複雑な区切りで学習していくので、正直分かりにくいのですが、先生は、例えば文章を書いてみて「これはこういう時に使うんだよ」と実際の例で教えてくれました。過去完了も文に線を書いて、「ここまでだったらこれを使う」とか、「今、だからこれを使う」とか、絵を使って教えてくれたので、すごくわかりやすかったです。
バイリンガルでよかったと思えた瞬間とは?
日本語が通じない人々と交流するときに、自分の言いたいこと、または相手の伝えたいことを理解できるので、交流の幅がぐっと広がります。その結果、多様な価値観を持つ世界中の人々から刺激を受けることができて、バイリンガルでよかったなと思います。
映画などを見るときも、字幕ではわからない、英語独自の面白さが分かる時、少し得した気分になりますね。
子どもの英語学習におすすめの洋書
Charlotte’s Web (シャーロットのおくりもの)
洗足学園で中1の時にリーディングの授業があってCDを聞きながら読みました。
文法も分からない中で読んだのですが、生きることの大切さを教えてくれて、ほのぼのしました。アメリカに行くことが決まっていて、姉に教わりながら、自分でも何度も繰り返し読んで、頑張って勉強して読んだ本です。
英語を学ばれている方へのアドバイスをお願いします
英語は、勉強するものだと思って学ぶと、とても疲れてしまいますよね。英語は、自分とは違う考え方をする人とのコミュニケーションツール、もっとお話ができるようになる道具と考えて、たとえ少し間違っていても積極的に使うようにすれば、徐々にいろんな人とおしゃべりをすることができる楽しさを見出せると思います。ぜひ英語を使って、世界を広げていください。