二宮さんの海外歴と学校歴
0~5歳 | メキシコ生まれ メキシコ(メキシコシティー)在住 |
5~19歳 | アメリカ合衆国(カリフォルニア州・ニュージャージ州・ハワイ州) 在住 |
(小3~4年生) | 西大和学園 カルフォルニア校 |
14~15歳 | South Bay Junior Academy(米国・カリフォルニア州) |
15~17歳 | West Torrance High School(米国・カリフォルニア州) |
19~20歳 | 明治大学国際日本学部 中退 |
21歳~現在 | 早稲田大学政治経済学部 |
英語の所持資格
TOEIC 975 |
異文化を理解する難しさを学んだ
-海外ではどんなことで苦労しましたか?
一番海外で苦労したのは小学3年生の時にカルフォルニアの現地校から全日制の日本語学校に転入した時です。日本人としてのアイデンティティと日本語力を身に付けてもらいたいという親の一心で転入をすることになりました。しかし、当時家では日本語で過ごしていたものの、敬語もまともに話せず、漢字も1年生レベルのものしか書けないような状況でした。そのため転入当時は授業について行くのがやっとでした。
また、日本の学校特有の掃除の時間、学園祭、そして運動会など初めての経験が続き、右往左往をする毎日でした。しかし、それは同時に日本の文化を知る機会となり、その後の人生において異文化理解をする難しさ、そして重要さを学ぶ経験となりました。自国の文化を理解していない、教えることもできないのでは、他の国について理解するのは難しいと感じました。
自分が学びたいものを学べる環境があった
-アメリカの授業はどのような感じでしたか?
アメリカでの教育はとにかくリベラルで、生徒自身が何を学びたいかを学校側が尊重してくれます。中高ですでに自分で履修を組み、自分が受けたい授業を自由に選択できるという点で非常に素晴らしい教育システムです。例えば、高校時代にビジネスや経営学・商学に興味があったので、そういった授業を多く取ることができました。特に商学・プログラミングをどのようにビジネスに取り入れるかという授業は高度で興味深かったです。実際に企業に勤めている人が講師を務めていて、刺激を受けました。ITに関してとても触発されたので、大学でもソフトウェア学を副専攻中です。
また、成績や競争を重視するのではなく、個々の学生のペースや学習スタイルを尊重したカリキュラムが構成されています。アメリカでは日本で言う「ゆとり教育」のような教育システムが取られています。「ゆとり教育」は日本では何かと非難の対象になりがちですが、必ずしも負の側面だけではないと思います。自分のやりたいことを自分のペースで学ぶことができるのが、アメリカ教育のいいところだと思います。
小学生にして模擬裁判を行うアメリカの学校の面白さ
-どのような授業が面白かったですか?
アメリカの授業の面白さはその主体性だと思います。特にそれを感じたのが小学校1年生の時です。いたずらで椅子にペンキを塗ったクラスメイトに対して、自分たちで模擬裁判を行い、そのいたずらの処分を決めたのが印象的でした。先生が授業を全部キャンセルして、裁判を行うことを勧めてくれたのですが、判決は自分たちで理論的にしっかり組み立て、証人等も出して決めました。先生は口を出さず、ただその時間を設け、セッティングしてくれただけでした。生徒の主体性を大事に、裁判大国であるアメリカらしい現実的なものをやらせてくれる面白さはアメリカならではだと思います。
先生が生徒のビジネスを応援してくれるアメリカ的オープンなビジネスマインド
-高校ではビジネスをしていたそうですが、どのような感じでしたか?
アメリカはビジネスに対してオープンで高校生でもビジネスを自由に行えます。私自身、高校時代に個人で中古の携帯を買って、高校生に売る事業をやっていました。学校にも売買に関する校則はなく、先生も誉めてサポートしてくれていました。それによって企業家精神を養われたと思います。私はいきなり実践でビジネスをしていたので、理論をしっかり身につけられればさらにビジネスに役立てられると感じ、経済学を学ぶきっかけになりました。
英語は読書とディベートで身につけた
-二宮先生の英語力を飛躍させた勉強法とは?
英語力をより一層伸ばすのに大きく寄与したのが、読書とディベートでした。5歳でメキシコから渡米した時は英語が一切話せませんでしたが、英語しか使わないような環境にいたので、英語を使わざるを得ず、幼少だったということもあり、自然に身に付きました。しかし、その後の英語力を伸ばすきっかけになったのが、読書とディベートでした。学校で必ず毎日15分読書の時間があり、本にふれる機会を作ってくれていました。当時は教室にミニ図書館があり、私は表紙が面白そうなものを選び読んでいました。それでも、読書をするクセがつき、語彙力と読解力を身に付けることができました。
-ディベートをやって何がよかったですか?
アメリカの教育で非常に重要とされている「クリティカル・シンキング(Critical Thinking)」はディベートを学ぶことで習得することができました。アメリカでは中学1年生からディベートをすでに行い、クラスメイトと熱い議論を交わします。そのときに読書を通じて身に付けた語彙力を実践することができました。最初は感情的な議論が多かったのですが、先生のフォローもあり、論理的なディベートを展開するようになっていきました。その過程でクリティカル・シンキングを養えました。論理的思考力と何事に対しても建設的な懐疑を抱くことを重要視するクリティカル・シンキングは私の考え方・人格形成に大きな影響を与えました。
-どのようにしてクリティカル・シンキングを身につけたのですか?
クリティカル・シンキングはディベートで欠かせない能力であり、それを養うにはさまざまな立場でディベートを行う必要がありました。ディベートの授業では、賛成、反対に自分の意見は関係なく無作為に分けられ、ディベートを行いました。その後、途中で立場を入れ替え、逆の意見を主張することを行いました。相反することを論じて、打ち負かすには論理性が必要になってきます。自分で仮説を立てて、論じていかなければならないので、それは大学受験の際、小論文でとても役に立ちました。
また、面白かったのは、どんなに感情的になったり、論破することが授業中あっても、そのあとに引きずらないところです。根に持たず、切り替えがすぐできることやメリハリのつけ方は他の生徒に学ぶところが大きかったです。
自分の環境を変え、新しいことにチャレンジしたいから日本の大学へ進学
-どうして日本の大学への進学を決めたのですか?
地元の学校では高校時代と同じ環境で大きな成長は見込めないと感じ、高校卒業時に決めていた地元のコミュニティーカレッジへの進学をやめて、日本の大学への進学を決意しました。小学校の時に全日制の学校に行った時、初めは大変でしたが180度環境が変わったことで、時間が濃く感じ、色々な面で成長できたので、また環境を一変させることも成長するためには必要だと感じました。
そして、私は最初に明治大学に進学しましたが、大学在学中に高校の時から興味を持っていた政治学と経済学両方を学びたいと思い、両方を専門的に学べる早稲田大学へ再度進学しました。
自ら飛び込んで行動することで成長に繋げた
-行動力が功を奏したエピソードを教えてください。
自ら行動を起こすことで物事がうまくいくと初めて感じたのはメキシコからアメリカに来た時です。英語が話せず1人で遊んでいることが多かったのですが、このままでいいのかなと思い、自ら行動し友達を作ることができました。
次に大きかったのは、日本に来た時です。一時的な後悔はありましたが結果的には行動して良かったと思っています。後悔を感じたときは、もっと大きなゴールを思い浮かべて乗り越えてきました。また、後悔しても過去は変えられないのでここからどう良くしていくかという風に考えるようにしています。それが大きな成長に繋がったと思います。
バイリンガルでよかったと思えた瞬間とは?
もちろん世界中の人と友達になれるという魅力がありますが、それ以上に異なる考え方や価値観を交換し、視野を広げることができるという魅力があります。
維持だけではなく、英語力をさらに日本で発展させた方法とは?
日本で英語力を発展させたのは、自ら扉をたたき、行動することができたからです。初めは日本で英語力を維持するのは非常に難しかったです。英語を使う機会が少なく、日に日に英語力が落ちていくことが目に見えていました。この状況を是正するために私は帰国子女の友人や留学生の友人と積極的に英語でコミュニケーションを取り、できるだけ英語力を維持できるよう努めました。
しかし、これでは維持であって発展はないので、私はあえて100%英語の留学生しかいないゼミに入りました。自ら無理を言ってゼミに参加させてもらいましたが、それは、将来海外で仕事をしたいと思って、今学んでいる内容の英語での専門用語を知らず、それでは海外で自分の知識が使えないと思ったからでもあります。英語で学術的なディベートや研究を行うことで、日本にいながら英語力を維持するだけでなく、上達させることができました。
将来実現したい夢は?
非常に漠然とした夢なのですが、将来的にはビジネススクールに行き、MBAを取りたいと思っております。これは決して最終的なゴールではなく、通過点なのですが、自分が思い描いているビジョンに向けての非常に重要な過程だと思っています。
また、今は自分の能力が活かせる場所ならどこでも良いので、どういう分野だと自分の力を発揮できるかを見極めたいとも思っています。そして、将来的には人々が認め合えるような世界になることに自分も寄与したと思っています。
子どもの英語学習におすすめの洋書1冊
Lemony Snicket著 “A Series of Unfortunate Events – Bad Beginnings”
この著書は普段あまり使わないような単語や表現をとても分かりやすく使用しているので、読んでいると語彙力が上がります。また、とても読みやすく、サクサクと読み進められます。
ご自身のアイデンティティは?
これは非常に難しい質問ではあるのですが、どちらかというやはりアメリカに対して強いアイデンティティを感じます。それはやはり、幼少期から高校時代という人格形成に非常に大きな影響を与える時期をアメリカで過ごしたからです。リベラルで自由な考え方やクリティカル・シンキングを身につけられたという事も含め、アメリカで育ったことが私にとってかけがえのない財産であり、誇りに思っています。サッカーの試合で日米対決となると密かにアメリカを応援してしまっている自分もいます(笑)
また、バイリンガルの方でもよくいると思いますが、英語を話しているときと日本語を話しているときでは人格が変わっているように感じ、英語のほうが自分らしくいられると感じているのも関係していると思います。
実践あるのみ!
-現在、英語を学ばれている方へメッセージをお願いします。
英語を学習する上で単語の暗記や長文の読解は受験や試験には有効ですが、英語を習得する上ではそれに加えて「実践」が非常に重要となります。日本にいると実践をする機会は非常に限られてきます。だからこそ、4技能(リスニング・スピーキング・リーディング・ライティング)を実践することができるキャタルという環境は英語を学び、身に付ける上で大きく寄与します。
また、英語学習はできるだけ早くするのがいいと思います。だからと言ってもう遅いということはないです。思い立ったら行動をすることと、とにかく使って、使って、使い倒していくうちに自然と英語は身についていきます。初めて自転車を乗れるようになった時や泳げるようになった時を思い出してもらえるとその感覚がどのようなものなのかを想像できると思います。それは勉強だけでは補えないもので、実践あるのみ!なのです。とにかく【話す、聞く】を実践することで、力はついてきますよ。