海外大への進学率が高いISAK、社会に変革を起こすチェンジメーカーの育成法とは?入試内容と求められる資質とは? | バイリンガルへの道

海外大への進学率が高いISAK、社会に変革を起こすチェンジメーカーの育成法とは?入試内容と求められる資質とは?

社会に変革を起こすチェンジメーカーの育成法とは?入試内容と求められる資質とは?

2014年に日本で初めての全寮制国際高校として開校したインターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢(ISAK)。2017年には世界的国際教育機関であるユナイテッド・ワールド・カレッジ(UWC)の加盟校に認定されています。授業は全て英語、世界中から集まる生徒、社会に変革を起こすチェンジメーカーとして育て上げる仕組みなど、これまでに前例のない仕組みを作ったISAKの魅力と、入試についてご紹介します。

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インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢(ISAK)の概要

ユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパンは、2014年にインターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢(ISAK)として設立されました。ISAKが位置するのは避暑地として名高い長野県軽井沢町。豊かな自然と文化が息づく環境のもと、日本で初めての全寮制国際高校として、さまざまな背景を持つ生徒たちが共同生活を送りながら共に学んでいます。2017年に世界的国際教育機関であるユナイテッド・ワールド・カレッジ(UWC)の加盟校に認定され、現在の名称になりました。

授業は全て英語で行われ、世界中から集まる好奇心旺盛で創造力豊かな生徒たちに異文化への共感力を身につけさせ、社会に変革を起こすチェンジメーカーとして育て上げることを目指しています。入学試験(高校1年次枠、Grade 10)での募集人数は40名(スケジュールA,B合計)です。

ISAKの基本情報

学校属性:私立インターナショナルスクール(1条校)
建学の精神:私たちは、自ら成長し続け、 新たなフロンティアに挑み、 共に時代を創っていく チェンジメーカーを育みます。
生徒数:200名(2019年7月時点)
教員数:40名(2019年7月時点)
共学/別学:男女共学
学校年度:8月開始、翌年6月上旬終了
学費および諸費用:およそ603万2,000円(入学時)(2020年度)
奨学金制度:有
国内大学進学実績:大阪大学、早稲田大学、慶應大学、ICUなど
海外大学進学実績:イェール大学、ブラウン大学、ペンシルバニア大学、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス、アムステルダム大学ほか

ISAKの特徴

日本初の全寮制国際高校として ~多様性への寛容さを身につける

ISAKは日本で初めて認可された全寮制国際高校です。教師の9割が外国人、生徒の約7割が海外からの留学生という環境で、国際バカロレア・ディプロマ・プログラムをオールイングリッシュの授業で履修していき、社会に変革を起こすチェンジメーカーたる資質の習得が目指されます。

チェンジメーカーたる資質の1つが他者を理解する能力であり、その基盤となるのが多様性への寛容さであるとISAKでは考えます。寮生活で寝食を共にする中で、さまざまなバックグラウンド・宗教観の違いからくる日常的な意見の衝突を通して異なる価値観を知り、いかに関係を構築していくかを学んでいきます。寮生活は、授業での議論による意見のぶつけ合いでは難しい、多様性への寛容さを身につけるための格好の経験の場になっています。

潤沢な奨学金を用意 ~教育格差の解消に向けて

奨学金制度の充実もISAKの大きな特徴です。ISAKでは寮費を含めて500万円を超える費用がかかります。潤沢な奨学金を用意することで、質の高い教育を受ける機会を社会的・経済的に恵まれない家庭の生徒にも提供しています。

過去にはUWCデイビス奨学金からの1億円の寄付があり、現在も軽井沢町のふるさと納税による寄付金などにより、約7割の生徒に奨学金を給付しており、対象生徒のバックグラウンドも内戦状態が続くリビアやインドのアウトカーストなど、国籍はもちろん家庭環境もさまざまです。奨学金制度の充実により、わが国でも議論を呼んでいる子供の教育格差問題の解消に積極的に関わっていこうという強い志がここに見てとれます。

リーダーとしての資質を重視した入学試験 ~英語力よりチャレンジ精神

ISAKの入学試験では、現在の学力以上にリーダーとしての資質を重視します。これは、受験時である中学3年生にもなれば、将来リーダーの地位に就く人材の萌芽が現れていておかしくないと考えているからです。

第1次試験、そして第2次試験の面接を通じて、ISAKの理念を体現する人物像の「固定した価値観に縛られずに社会問題を捉えることができ、将来の世界のリーダーを目指してリスクをとって挑戦できる気概とたくましい精神力を備えている」生徒であるかが審査されます。合格するためには、自ら積極的に社会に関わった経験をもとに、自分がいかにISAKで学ぶにふさわしい人間であるかをアピールすることが必要です。

受験時の英語力の高低はさほど問題ではなく、自発性とチャレンジ精神が重視される人物重視の入学試験となっています。

チェンジメーカーの育成 ~変革は多様性から生まれる

ISAKは、社会に変革を起こすチェンジメーカーの育成を建学の精神として掲げています。「リーダー」ではなくあえて「チェンジメーカー」としているのは、これからの社会を変えていくプロジェクトのコア人材に求められる資質が、これまでとは大きく変わってきていることへの強い問題意識の顕れです。これまでのような先導型の統率能力ではなく、皆と一緒になって刺激し合いながら新しい動きを創り出していける能力、「コレクティブインパクト」を備えた人材がチェンジメーカーとして想定されています。

ISAKでは、社会をより良くしていく変革は多様性から生まれると捉え、多様性を生かしつつ、問題設定を行い、リスクをとって困難に挑んでいくという3つの資質を身につけさせることで、生徒をチェンジメーカーに育て上げたいと考えています。

国際バカロレア・ディプロマ・プログラムの履修 ~平和と持続可能な未来に貢献するために

ISAKが加盟するUWCでは、平和と持続可能な未来への貢献を教育理念としています。そのためのカリキュラムが国際バカロレア・ディプロマ・プログラム(IB DP)です。140ヶ国以上の国々で大学入学資格として認定され国際的な評価の高い2年間のプログラムでは、人格形成と思考力・表現力を重視した高い知的水準の達成を目指します。ISAKでは、このIB DPと独自のリーダー養成プログラムを組み合わせることで教育効果の向上を図っています。

1年次は、ディスカッション主体の少人数制授業で、グローバル人材に求められる批判的思考(critical thinking)やコミュニケーション能力の育成を行います。また、グループワークではチームワークやリーダーシップを磨くことができます。

2年次からはIB DPの本格的な履修が始まります。アドバイザーのサポートの下、標準と上級の2つのレベルで構成されるプログラムより教科を選択する形で履修が進められ、3年次の終了間近にはIB試験が実施されます。

生徒1人ひとりの個性と可能性を考慮した進路指導 ~世界へ羽ばたくサポートを

ISAKでは生徒1人ひとりの個性を尊重し、その可能性に見合った進路を見つけられるよう専任の進路相談員 (カレッジカウンセラー) をキャンパスに常駐させています。カレッジカウンセラーは進路選択過程の全てに関わり、幅広い情報網を活用しながら生徒と保護者をサポートしていきます
。また、毎年春と秋に世界から集まる大学入試関係者と生徒たちとの面会やカレッジフェア(大学進学説明会)など、多くの選択肢の中から各自にとって最適な学校を見つけるための機会を設けています。

生徒たちはこうしたサポートを活かしながら、自ら進路を決め世界へ羽ばたいていきます。ほとんどの生徒は欧米の大学へ進学し、米国のアイビーリーグなど世界トップレベルの教育機関に進む者もいます。一方では、欧米の学生の間ではおなじみの制度ですが、進学前にワーキング・ホリデーやボランティア活動に参加して社会的見聞を広めるための猶予期間、「ギャップイヤー」をとる生徒も1割位います。

ISAKに入学するには?

ISAKは、国際色豊かな学校

ISAKは、生徒たちの豊かな可能性を拓き、これからの社会を変えていくことができる人材の育成を目指している国際色溢れる学校です。では、ISAKに入学するにはどうすればよいのでしょうか。ここでは、試験概要や試験内容、そして求められる能力について解説します。

ISAKの試験概要

ISAKでは、高校1年次に入学し、ISAKで3年間学ぶことを希望する受験生にのみ選抜試験を実施しています(年度途中の編入は行っていない)。ISAK入学時までに中学校3年生(US Grade 9)を卒業見込みであることなどが出願資格の基本条件です。

入学試験(高校1年次枠、Grade 10)での募集人数は40名です。試験は2つのスケジュールで実施され、併願ができるように出願・合格発表の時期をずらす配慮がなされています。

・スケジュールA
日本国内の学校(1条校)に通っている生徒 [日本以外の国籍を含む] か、日本国籍を有する海外在住生徒を対象とする(40名のうちの約30%が該当)。

・スケジュールB
スケジュールAに該当しない生徒(日本にあるインターナショナルスクールや海外の学校などに在籍する生徒)を対象とする(40名のうちの約70%が該当)。

なお、高校2年入学(Grade 11)を希望する者には、国内のUWC委員会(UWC National Committee)への出願(現在選考は行っていない)と、国際選考プログラム(UWC Global Selection Programme)への出願(ウェブサイトより出願、試験内容は非公開)の2種類の選択肢が用意されています。

ISAKの授業は、日本語・外国語の授業を除き全て英語で行われます。したがって、英語が母国語であることが絶対条件ではありませんが、中級以上の英語力(「読む」「書く」「聞く」「話す」)をマスターしていることは必要です。また、日常的に英語を使うという環境に順応しようとする意欲を持っている生徒が求められています。

試験内容

入学試験は、一次選考と二次選考に分かれます。

・一次選考
提出書類:過去2年分の成績表、推薦状、願書、TOEFLやIELTS、英検などの英語力の証明書類(任意)
なお、願書は、「Short answer questions」という、自分自身に関するいくつかの質問に英語で答える形式をとります。また、任意提出である英語力の証明書類の点数については、これまで育ってきた環境を考慮して合否の判定材料にしています。たとえば、日本育ちの日本人の受験者が、帰国子女や海外の生徒に比べて多少英語力が低くても問題ないということです。

・二次選考
面接試験:一次選考を通過した者に課されます(軽井沢のISAKキャンパスにて実施されるが、遠方の生徒については、スカイプを通しての面接も認められる)。
面接の内容は非公開ですが、ISAK関係者の話では、ISAKジャパンの生徒としてふさわしい資質を持っているかどうかが審査されるということです。

・入試倍率
毎年変動はあるものの平均して5倍程度です。ただし、日本人に限って言えばもう少し高い倍率になります。また、ISAK実施のサマースクールへの参加の有無が合否に影響を与えることはありません。

求められる能力

ISAKは、入学すると英語を日常的に使う環境に置かれますから、ある程度の英語力とオールイングリッシュ環境に順応しようとする意欲は当然必要です。

ただ、一次選考・二次選考を通してそのこと以上に重視されるのは、「リスクをとって挑戦する力を育てる」というISAKの理念に適う人物であるか、ということです。漠然と「英語がうまくなりたい」「海外の大学に進学したい」と願うのではなく、多様性に関心を持ち、自分で変革を起こしたいという意欲の高さを備えている生徒が求められています。

そして、意欲の高さだけでなく、実践する力や精神力があるかどうかも審査されます。たとえば「自分が先頭に立って、それまで学校になかったクラブを新たに創った」といった中学3年生なりの経験で構わないので、変革の志をリーダーとして実行に移し、やり遂げる能力を示すことが強く期待されています。また、多彩な生徒が世界から集まる全寮制の環境に自らの意思で飛び込んでくるチャレンジ精神や、つらいことがあっても這い上がってくるたくましさ・精神力があるかどうかも見られます。

 ISAKのまとめ

ISAKは、充実した奨学金制度に支えられた日本で初めての全寮制国際高校として、多様性への寛容さをもとに社会を変革していくチェンジメーカーの育成を掲げています。日本の学校制度の中にありながら、これまでに前例のない仕組みを作り、わが国の教育の選択肢を拡げることに意欲的な学校です。

生徒たちは、オールイングリッシュの環境の下、日々異なる価値観と出会いながら異文化への共感力を身につけていきます。そして、IB DPと独自のリーダー養成プログラムを組み合わせたカリキュラムによって、社会を変革していくチェンジメーカーとして、世界の平和と持続可能な未来に貢献する人材の素養を磨くことができます。