留学前に知っておきたい!アメリカの生活と教育制度 | バイリンガルへの道

留学前に知っておきたい!アメリカの生活と教育制度

留学前に知っておきたい!アメリカの生活と教育制度

「留学するならどこに行ったら良いか?」大抵の人は留学先でまず頭に浮かぶのがアメリカではないでしょうか?以前、失敗しない語学学校選びの6つのポイントでも述べたように、留学先の国や都市、学校選びが留学をする上ではとても大切です。今回は、留学大国アメリカでの生活や教育制度に触れていきます。

アメリカの留学生受入れの歴史

17世紀初頭、北部ニューイングランドに移住してきた清教徒の入植とともに始まったといわれているアメリカの教育。その後、1770年の独立革命を経て確立された「自由と平等」という民主主義の理念は、現在もアメリカの教育制度の中に生きています。その代表例が各州管轄の教育制度で、日本のように文部科学省管轄の全国統一というものがありません。各州各学校で、いかに独自性や個性を持った学校にするか積極的に取り組みが行われています。
また、留学生の受入れ体制が充実していて、「誰でも学びたい時に学べる」そんな自由な国アメリカを象徴したような教育理念が根底にあります。

アメリカの都市選び

気候&風土

国本の約25倍の国土面積を持つアメリカ。西部にロッキー山脈、東部にアパラチア山脈が走り、中央部には大平原が広がっています。気候は地域によって全く異なります。
ニューヨークを中心とした東海岸には四季があり、夏は高温多湿。ロサンゼルスを中心とした西海岸は1年を通して雨が少なく夏は乾燥し、冬も温暖で過ごしやすい地域です。同じ西海岸でも北部は冬の寒さが厳しくなり、シカゴを中心としたアメリカ北部も夏と冬との温度差は激しく、南部は高温多湿で夏は雨が多くなります。

生活習慣

さまざまな人種・民族が集まり、地域によってもさまざまな特色があります。たとえば、アメリカ人は一般に愛国心が強いのですが、移民の人たちは祖国の生活習慣や文化も大切にしています。特に大都市に住む人は、チャレンジ精神をもって常に上を目指すことに価値を置く傾向が強く、小さい町では家族の絆を大切にし、やや保守的な面もあります。
また、ルールに縛られるより自由を好み、古いものを残すより新しいものを築いていく志向があるといえるでしよう。

交通手段

都市によって市内の交通手段はさまざまです。ニューヨークは地下鉄とバスがあり、共に24時間運行で、地下鉄よりもバスのほうが安全と言われています。イエローキャブといわれる流しのタクシーもたくさん走っています。ロサンゼルスは基本的に車移動で市バスもあり、最近は地下鉄や中距離バスも作られています。小さな町では公共の交通機関はあまり発達していない所も多く、バスがあっても日本と同様に本数が少ないです。

物価

大都市の物価は世界屈指。滞在スタイルや遊び方などで生活費は大きく変わります。食品では肉、野菜、乳製品、ドリンク類は日本より安いので自炊派にはうれしい。店も大手スーパー、マーケット、個人商店など種類が多いです。

アメリカでの滞在

ホームステイ

多民族国家であるため、アジア系、ヒスパニック系、アフリカ系アメリカンなどホストの人種や民族も多様です。家族と同じように接してくれる家庭もあれば、ひとり暮らしのキャリアウーマンがホストという場合もあります。費用は1ケ月US$500〜1000。

アパート

大都市の家賃は全体的に高めですが、住む地区を選んだり郊外に行ったりすれば安く抑えらえます。ただし、家賃と治安は関係していることも多く、治安のいい地区にありセキュリテイがしっかりしている所ほど家賃が高いとも考えられます。日本のワンルームタイプの部屋の家賃は1ケ月US$900くらいからです。
アパートや一軒家を何人かでシェアする場合、家賃は1ケ月US$400ほど。本来の借り主が数ヶ月留守にする間だけ借りる、サブレットという賃貸スタイルもあります。

学生寮

大学の寮に滞在できる学校もあります。相部屋が基本ですが、生活設備や食事サービスはよく整っています。滞在費はホームステイと同じくらいです。

アメリカの教育制度

初等〜中等までの教育制度は、各州、自治体が決めるので、留学先により異なります。そのため、義務教育の年数も州によって異なり、大半の州では6歳〜16歳を義務教育としていますが、ワシントンDCやオレゴンでは18歳までと一部例外もあります。

初等教育

小学校への入学年齢は、6歳です。そこに6年間通うことになります。一部、4年間もしくは5年間で区切り、中等教育とするところもあります。

中等教育

中学校(Middle School, Junior High School)と高校(High School, Senior High School) とがあり、日本と同様に別々の中学・高校に各3年間ずつ、または中高一貫の学校に6年間通うケースとがあります。その他4年制の高校もあります。
学年数は、1st grader (小学校1年)〜12th grader (高校3年)まで、通しで表されるのが一般的で、この期間が義務教育にあたります。高校への進学に入学試験はなく、年齢に達すれば誰もが入学可能です。また私立校等の一部の進学校を除けば、原則的に落第もなく、多くの高校生はのびのびと学校生活を送っています。しかし、あまりに成績が悪い場合は、教育指導を受けることもあります。 高校の授業は単位制で必修科目の他、将来の方向性に応じて科目を自由に選択することができます。また、各学年において一定以上の単位を習得した学業優秀者は飛び級も可能です。卒業シーズンの6月末より始まるサマースクールで、学業の遅れを取り戻すチャンスもあります。
アメリカでは新学期は9月に始まり、翌年の6月に修了となります。そのため6月から渡米し、新学期が始まるまでの3ヶ月を英語習得、また環境に慣れるための準備期間に当てる留学生も多くいます。団体を通じての交換留学も、その多くは7月頃に出発し、現地で英語学習等のオリエンテーションを行っています。

アメリカの高等教育〜種類と特徴

2年制と4年制、あわせて4,000校以上もの大学があるアメリカ。大学の充実度は世界一です。ここでは、アメリカの高等教育の種類と特徴について紹介します。

2年制大学

アメリカの2年制大学(two-year college) は約1,800校。公立のコミュニティカレッジと私立の短大があり、短期のプログラムも充実しています。通常2年間の学部課程で準学士号を取得できます。

コミュニティカレッジ (公立の2年制大学)

公立の2年制大学はコミュニティカレッジ (community college)と呼ばれ、主に地域住民の税金で運営されています。広い分野にわたる技術・職業訓練を目的とした「職業教育コース」と、4年制大学に編入するための「進学コース」に分かれます。年令層が広く、生涯教育の場としても利用されています。また、州や地域によっては、高校中退者にも門戸を開放し、高校レベルの補習教育の後、正式にコミュニティカレッジのプログラムで学べるところもあります。授業料が安く、入学に必要な成績や英語力の基準が4年制大学より低いので留学生にも人気があり、手に職をつけたい人や、4年制大学へのステップアップを考える人に向いています。

ジュニアカレッジ (私立の2年制大学)

私立の2年制大学はジュニアカレッジと呼ばれ、宗教関係団体によって運営されているものと、独立した組織によって運営されているものとがあります。主に4年制大学への編入目的の一般教養コースを提供しており、中には編入率が高い大学もあります。授業料はコミュニティカレッジより高いものの、小規模で学生寮を備えた学校も数多く、アットホームでケアの行き届いた環境で学びたい人に向いています。

4年制大学

4年制大学は公立、私立合わせて約2,300校。総合大学、リベラルアーツカレッジ、単科大学の3つに大別され、学生数が1,000人以下の小さなものから、5万人位の大規模なものまで多様です。通常4年間で学士号を取得できますが、薬学・工学・建築学など学士課程の修了に5年かかる場合もあります。

総合大学

総合大学はユニバーシテイ (Universities)と呼ばれ、州が予算を出す公立大学と、学生の授業料や寄付で運営される私立大学があります。研究者養成を目的として設立され、多彩な専攻分野や学位プログラムを提供している点が特徴です。公立大は、学生数2万人以上の大規模校が多く、その敷地面積も広大です。州の住民に入学の優先権があるため、州外扱いとなる留学生は授業料が高く、入学審査基準もやや厳しいといえます。私立大は州の内外関係なく、授業料はやや高めです。大規模な大学 でも2万人以内で小規模の大学が多くあります。
アメリカの総合大学は専攻分野が細分化されており、日本で学べないものも数多くあります。卒業までに必要な取得単位は増えますが、途中で専攻分野を変えることはもちろん、関連分野で副専攻(minor)を持ったり、ダブルメジャー(double major)で同時に2つの分野を専攻することも可能です。また大学から大学への編入もできるので、「大学には進学したいが、まだやりたいことがはっきりしない」という人にはおすすめです。
参考:世界大学ランキング

リベラルアーツカレッジ

リベラルアーツカレッジは教養学部だけの大学。一般教養で学士号を取得することもでき、専門分野を学び、その専攻で学士号を取得することも可能です。多くは学生数1,000〜3,000人の小規模大学で、学生に対するケアが行き届いていることと、教授が研究より教えることに力を注いでいる点が特徴です。アッパーミドル以上の家庭からの子弟が多く、留学生にとっては高額な授業料がややネックといえます。田舎や郊外にキャンパスを構える大学が多く、寮や設備の面など申し分のない環境なので、静かに勉強に打ち込みたいという人に向いているでしょう。
参考:リベラルアーツの大学

単科大学

単科大学 (Specialized College) は、ビジネス、音楽・アート・ダンス等の芸術系、建築、エンジニアリング、看護学等の専門分野の教育を提供している大学。芸術・建築系の大学への入学には、英語力や成績の他に、個人の能力・技能を示す作品提出やオーディションが義務付けられる場合があります。学びたい専門分野がはっきりしている人向けの大学です。

日本とアメリカでは生活や教育の部分で大きな違いがあります。留学に行く前にその国のことを把握しておくと、留学のプランニングもより質の高ものになっていくと思います。