英語が上達する2つのコツは積極性とアウトプット 慶大 名倉さん | バイリンガルへの道

英語が上達する2つのコツは積極性とアウトプット 慶大 名倉さん

英語が上達する2つのコツは積極性とアウトプット 慶大 名倉さん

名倉さんの海外歴と学校歴

3歳〜8歳 アメリカ・オハイオ州
Grade 1~Grade3:New Albany Elementary School
8歳~13歳 日本
小3~小6:朝霞第5小学校
中1~中2:芝浦工業大学中学高等学校
13歳~18歳 アメリカ・インディアナ州
Grade8: Carmel Middle School
Grade9~Grade12: Carmel High School
18歳〜現在 慶應義塾大学経済学部

英語の所持資格

TOEFL iBT 108   TOEIC 975   SAT 1920

人種差別の中でも逃げなかった

海外で苦労したことは何ですか?

3歳で渡米した地域はアジア人すら珍しいところで、人種差別がありました。両親がせっかく海外に住んでいるのだから日本人ばかりと接しているのはもったいないといい、日本語学校とは別に現地校に通っていました。アジア人を見たことがない現地の人たちにとって私たちは宇宙人のような存在だったと後から先生に聞きました。
お弁当におにぎりを持っていき、からかわれたこともありました。そのような状況を相談した時、先生から転校の提案もありましたが、ここで転校したら逃げたことになるとも言われ、自分でもその通りだと思い、転校せずに過ごすうちに少しずつ周りに馴染むことが出来るようになりました。


小学1年生の授業の様子。真ん中オレンジの服の子が名倉さん。

英語でも苦労したことはありますか?

2度目の渡米時には、英語力で苦労しました。前に5年間もアメリカに住んでいたということもあって、自分は英語が話せると思っていました。発音も残っていたため、周りの人にもすぐに馴染めると言われていました。しかし、英語のレベル分けのテストを受けてみると、レベル1でESLに入ることになりました。加えて、思っていた以上に英語を忘れてしまって、思うように英語が出てこなくて、自信を失ってしまいました。しばらくは、英語を話さなければ英語が話せないことがバレないと思い、黙り込む日々が続いていました。このままではアメリカに来た意味がないと思い、周りの友達が使っている”Hey dude!”などの生きた英語を覚えて使うようにし、学校内外でさまざまなスポーツに参加することにしました。失敗を気にせずにどんどん英語を口にするようになり、次第に英語力が戻ってくるようになりました。

双方向の授業と褒める教育

海外での教育はどんな感じでしたか?

海外での教育の特徴は双方向の教育と、とにかく褒められることです。日本では、先生が一方的に話して、それを生徒が聞くというのが普通のスタイルだと思います。しかし、アメリカでは、生徒たちの発言回数が非常に多いです。単純に生徒たちが座っていればいいという授業は少ないのです。
また、日本との大きな違いは、プレゼンテーションやワークを通して、生徒たちが人前で発表する機会も非常に多いことです。この点はアメリカの教育において非常に良い点だと思います。以前自分自身、受け身で人前に出るのが苦手でした。しかし、自分の気持ちをプレゼンする仕方を教わり、単純にそのような機会を小さい頃から与えられていることで、自分の意見をしっかり持つことにもなり、さまざまな場で発言することができるようになりました。

褒められたことが自分の成長に役立ったと感じますか?

よく言われることではありますが、アメリカはたくさん褒めます。少し出来るだけで、大げさなほど褒めてくれます。日本では出来ないことに対しては「もっと頑張ろうね」というスタンスで接することが多いと思いますが、アメリカはしつこいほど褒めてくれるので、私はそれで自信がつき、伸び伸びと出来ました。

キャタルの授業でも生徒に対してよく出来たことはたくさん褒めるようにしています。私は以前、よく出来たと思っていても褒めてもらえなかったため、自分が成長しているのかわからなかったことがありました。教師が褒めることで、生徒が自分で見えない成長に気づくことができると思っています。そして、成長がわかることがモチベーションにもつながると思います。

使えそうなフレーズはすぐに使ってみる

英語をどのように身につけたのですか?

最初に渡米した時は、好きだったディズニーの動画を頻繁に見ていました。幼かったためあまり覚えていませんが、セリフを暗記するほどかじるように見入っていたようです。そこから、使えそうなフレーズなどを覚えました。
また、子どもだったため失敗を気にせずに飛び込んでいけて、色々なことに挑戦していたようです。英語がわからないにも関わらず、すぐに幼稚園に通い始め、空手やサッカー、バスケなどさまざまなスポーツを通して、話す機会を意識的に増やしていました。自分が英語を使わざるを得ない環境においたおかげですんなりと覚えられたのだと思います。

振り出しに戻った英語を回復させた方法とは?

2回目の渡米では、一から英語を覚える必要がありました。しばらくは、閉じこもって人との会話も避けていたため一向に英語力が上がりませんでした。4ヶ月ほどはそのような状態が続きましたが、野球を始めた頃はコミュニケーションをとったほうが良いと感じはじめ、気持ちを切り替えて、人と話す量を増やすことにしました。
自分なりに日々どれぐらい英語を話すという目標を決めて、自分から話を振ったり、意識して話しかけに行くようにし、徐々に英語を使う機会を増やしていきました。また、友達が使うスラングのようなフレーズをよく真似て、生きた英語を身に着けていきました。思ったよりも通じると感じ始めるとそこまで気にしなくても良いと思い、より積極的になり、英語力を取り戻すことができました。


小学1年生のクリスマスイベントでの発表会。右から2番目が名倉さん。

頭の中で訳さずに自分の気持ちを100%伝えられる

バイリンガルでよかったと思えた瞬間とは?

バイリンガルでよかったと思えたことは、自分の言いたいことを100%そのまま伝えられることと、現地の人と同じタイミングでジョークが笑えることです。自分の気持ちをしっかりと伝えたい時に一旦日本語を英語に訳して話すことと、英語で考えて英語で話せることでは雲泥の差が生まれると思います。会話するテンポも考える時間があるので遅くなりますし、日本語から訳して書く文章はバイリンガルが書くものとはニュアンスの違いが出てきてしまいます。バイリンガルであることで、どちらの言語でも自分の気持ちをしっかりと伝えられることが非常に大きな利点であると思います。

好きなものを英語で積極的に使う

日本に帰国後、英語力維持の方法とは?

一度日本に帰国した際に英会話教室も途中でやめてしまい、英語を使う機会がめっきりなくなりました。著しく英語力が衰えてしまったので、今は出来るだけ英語を使うように心がけています。
具体的には、海外サッカーが好きなので、試合観戦の時に英語で観たり、関連ニュースを英語で読むようにしています。また、英語を使う機会を増やすために、キャタルで英語教師をしています。大学では経済の授業を英語で行うプログラムに参加し、英語を学びたい人と英語で話すようにしています。さらに、日本にいてもなるべく英語で考えるようにしています。なので、時々独り言で英語が出てしまう時があります。

今後の社会を担う仕事を次世代のために

将来実現したい夢は?

将来は、環境保全につながるビジネスを行っている企業で働きたいと思っています。高校の頃から環境問題に興味があり、サークルなどに参加し、リサイクルや再生可能エネルギーの勉強をしてきました。現状の経済の発展の仕方では必ず限界があると考えています。自分の生きている間は問題なかったとしても将来に環境汚染などの「負の遺産」を残さないために必要なことだと思っています。持続的な発展が社会で行われるようになるためにも、私はそれに関わる仕事が出来たらいいなと考えています。

ビギナーにオススメ!英語の本

子どもの英語学習におすすめの洋書1冊
Magic Tree House Series

英語を覚えて、小学校に入った時に読んでいました。内容も特別難しくなく、それでいてストーリー性があるため楽しみながら読むことが出来ると思います。

大きなくくりではなく、個人としての自分

ご自身のアイデンティティは?

アイデンティティがないことがアイデンティティだと考えています。私は日本人としても、アメリカ人としても中途半端だと思います。日本にいれば、日本人っぽくない考え方や言動を取ると、帰国子女だからねと言われます。でも、アメリカにいれば、謙遜をしてしまうなどどこか自分の中に日本人っぽさを感じることがあります。なので、自分は日本人でもなければ、アメリカ人でもないと思っています。
そういう帰属意識を持つことに特に意味はないというのが私の意見です。基本的に、国などで人を一括りすることが乱暴であると思うからです。大きなくくりでくくらずに私は私として見てほしいです。


小学校1年生時のハロウィンパーティーの写真。こっちを向いている青い服の子が名倉さん。

失敗を恐れずに使うことが成長の近道

現在、英語を学ばれている方へのメッセージ

失敗を恐れずに、英語をとりあえず使ってみることです。母国語が日本語である我々日本人が、英語が出来ないことは当たり前です。なので、失敗してもしょうがないと割り切っていいと思います。失敗を恐れて、英語を話すことに億劫になってしまうよりは、間違っていても何食わぬ顔で英語を使う機会を増やすことが成長への近道だと思います。

英語を話すことの重要性の比喩として、スポーツを考えてもらいたいと思います。例えば、野球をやっていて、バッティングを上手くなりたいと思っている人が単純にイチローなどのプロ選手のプレーを見るだけで上手くなれると思う人はいません。当然、素振りをしたり、出来るだけ打席に立って練習をします。英語を上手くなりたければ、バッティングの練習をするようにインプットするだけでなくアウトプットをたくさん繰り返すことで、初めて上手くなります。英語をとにかく沢山使うことで英語力は伸びます!