<学校の概要>
国際基督教大学高等学校(以下「同校」という)は、東京都小金井にあり、ICU高校とも呼ばれている。 1978年の開校以来、110ヶ国以上から合計約6500人の帰国生を受入れてきた。
約2/3が帰国生という多様な生徒が集まる学校で、帰国生と一般の入試は別に実施している。国際基督教大学(ICU)への推薦枠があり、難関私立大学への進学者を多く輩出している。
<基本情報>
★スーパーグローバルハイスクール(SGH)
★SGH研究構想名:帰国生と国内生の相互理解教育に基づくグローバルリーダー育成
学校属性:私立・普通科高校
校訓:新しい出会いと発見、世界平和への貢献、一人ひとりを大切にする教育
系列校:国際基督教大学
教育体制:一貫校ではない
生徒数:737名(2014年)
共学/別学:共学
学期:2学期制
学費:約117万円(2015年)
学生/教員比:15/1(常勤)
帰国子女の受入:有
国内大学進学実績:国際基督教大学、上智大学、早稲田大学、慶應義塾大学、明治大学、青山学院大学、法政大学、立教大学など(2014年)
海外大学進学実績:マウント・アリソン大など(2014年)
<学校の特徴>
英語の授業はレベル別、翻訳や論文のライティングも学ぶ
入学時にテストを受けて4つのレベルに分かれ、1クラスは25人程度である。レベル1~3の生徒は英文法のほか、英文学の授業を英語で実施し、評論の執筆や討論も行い、海外の大学に相当する語彙を習得することを目標としている。
そして、レベル4の生徒は英文法と読本に加え、ESLの授業を英語で実施し、読本の授業で翻訳能力を高め、ESLの授業では、初歩的な論文の書き方を学ぶ。さらに、ディスカッションなどを通じてスピーキング力を高めるほか、リスニングの訓練も行う。
1年生ではネイティブスピーカーの指導のもとに学習し、2年生からSATやTOEFLが入試で必要になる大学を目指す生徒のための選択科目もあり、3年生の選択科目も豊富である。そして、2018年度には、卒業時におけるCEFRのB1~B2レベルの生徒割合が60%に達することを目標としている。
ICU、上智、早稲田、慶應への進学が多い
同校は普通科の高校で(インターナショナルスクールではない)、外国語以外の授業は日本語で行っている。国際基督教大学への推薦入学枠は約80名で、その他70以上の大学への指定校推薦がある。
2014年の合格者は上智大学62名、早稲田大学51名、慶應義塾大学44名など、難関私立大学への進学者が多く、国公立大学へは毎年30名前後の合格者を輩出している。現役合格率は約9割で、進学できる学部は多様である。
約10名が海外の大学に進学し、外国人3名と日本人1名のアドバイザーが指導をしている。過去10年間の実績を見ると、オーストラリア国立大学、カリフォルニア大学ロサンゼルス校、スワースモア大学、デューク大学、ニューヨーク大学、ハーバード大学、ブリストル大学、プリンストン大学、ペンシルバニア大学、マサチューセッツ工科大学など、様々な有名大学に合格している。そして、2021年度には、文部科学省が支援する国際化に重点を置く大学 へ進学する生徒の割合が8割に至ることを目標としている。
国際基督教大学と連携するSGHプログラム
同校は、2014年度にスーパーグローバルハイスクール(SGH)に指定され、国際基督教大学と連携してリベラルアーツ教育を行い、同校のライティングセンターで論文作成を学ぶ。
また、グローバル企業、国際機関、卒業生などとネットワークを形成し、グローバルな体験学習を行う。さらに、海外大学のプログラム、模擬国連、英語のスピーチコンテスト・ディベート大会への参加も行う。
2018年度の目標は、TOFLE ibt79やELTS 6.5以上の生徒数は60人に達し、自主的に留学又は海外研修に行く生徒数が100人に至ることとしている。設備面では、IT環境を調え、図書館をバイリンガル体制へと整備している。
SGHの研究課題として多文化共生に取り組む
SGH課題研究として「アジア・アフリカ社会との共生」を取り上げ、国際基督教大学の教授がチームを組んで指導し、大学教員が人文科学、社会科学、自然科学、コミュニケーションの授業を行う。国際紛争解決、多民族統合、支援、教育などの課題を与え、多文化共生社会を目指す新しい社会貢献を提案する。
また、プレゼンテーション、ディベート、エッセイのスキルを学び、世界の若者とのディスカッションやフィールドワークも行うほか、1年次のアジア学院スタディツアーによりアジア・アフリカの人々と交流し、2年生で宿泊研修を実施する。
世界各国からの帰国生が集まる環境で、日常会話に英語も使う
現在も毎年約30ヶ国からの帰国生が入学し、全校に約50ヶ国からの帰国生がいて、外国語のほうが得意な生徒もいるため、生徒同士や先生と英語で話している光景も見られる。
さらに、同校のライティングセンターでは、大学生・大学院生との一対一のセッションを受けられるが、英語の作品を題材にでき、英語のセッションも行っている。
まとめ
帰国生が多く、国際感覚が身につく環境で、英語が日常のなかに溶け込んでいる。そして、英語の授業は高いレベルを目指し、大学や社会での活躍につながる実践的な学習も行っている。SGHとしては、国際基督教大学との連携が強く、卒業生とのネットワークも生かせるだろう。
自由な校風のなか、学生は自ら責任をもって学業に励んでいる。進路については、ICUや難関私立大学への進学が望める実績であり、グローバルリーダーを目指すのにふさわしい学校である。
コメントを残す