ミドルベリ大学(Middlebury College)独特な教育方針と多様なカリキュラムがある【National Liberal Arts Colleges Rankings #7】 | バイリンガルへの道

ミドルベリ大学(Middlebury College)独特な教育方針と多様なカリキュラムがある【National Liberal Arts Colleges Rankings #7】

ミドルベリ大学(Middlebury College)独特な教育方針と多様なカリキュラムがある【National Liberal Arts Colleges Rankings #7】

ミドルベリ大学(Middlebury College)の概要

アメリカには一握りの超難関のリベラル・アーツ・カレッジがあるが、その一角にミドルベリ大学がある。バーモント州、ミドルベリにあるこの大学は二世紀以上の歴史があり、古典的なリベラル・アーツ校ながら多くの特化したプログラムを世界に提供してきたユニークな大学だ。本来のリベラル・アーツ教育を施しながら、程よく横道に逸れる独特な教育方針とそれを肉付ける学科とで、熟考と討論の大切さを教え、教官と学生が身近に相互交流することで、勉学の実を挙げることを主眼としている。充実した施設、恵まれた環境、カリキュラムの多様性がその方針を助けて余りある。

ミドルベリ大学(Middlebury College)の基本情報

創立:1800年
校訓:Scientia et Virtus (Knowledge and Virtue)
大学属性: 私立
学生数:約2,490人
共学/別学:共学
専攻: 経済学、政治科学、環境問題関連
ノーベル賞受賞者数:0
学期:4-1-4制(セメスター+1月のインターターム)
学費:$61,160
男女比:1,219 (48.9%/1,276 (51.1%)
学生/教員比:9/1
必要なTOEFL点数:
合格率:18%
留学生の割合:10.1% (74ヶ国から)

ミドルベリ大学(Middlebury College)の特徴

ミドルベリ大学は、学問は教室の内と外にあると考える。1800年の創設以来、勉学の意欲をそそる環境作りと多様性を育む雰囲気作りに専念してきた。いま、ミドルベリ大学は多様かつ崇敬に価するコミュニティーの造成に努力している。東にグリーン山脈、西にアディロンダックス山脈を仰ぐバーモントのチャンプレイン・バレーは、ミドルベリ大学には欠かせぬ財産で、そこから受ける清新の気と霊感ばかりでなく、研究のための自然の「実験室」にもなっている。

ミドルベリ大学の「境界線」はバーモントのアディソン郡(ミドルベリの町はその一部だ)の遥か彼方に広がっている。ミドルベリ大学が得意とする夏期の語学プログラムは遠く1915年に始まっており、現在10の外国語を教えている。C.V. Starr-Middlebury Schools Abroadというプログラムで、アルゼンチン、ブラジル、中国、カメルーン、チリ、エジプト、フランス、ドイツ、インド、イタリア、イスラエル、日本、ジョルダン、メキシコ、ロシア、スペイン、そしてウルグアイに38 の学校を開いている。

ミドルベリ大学の日本語学校は今年40周年を迎え、現在の校長は日本人(畑佐一味氏、パデュー大学言語文化学科教授)だ。同氏の働きで、今やその枝葉は遠く日本にも及んでいるのだ。
ミドルベリ大学には現在国際基督教大学内に日本校を置いており、現在17名の学生がそのキャンパスで日本語・日本文化を学んでいる。ちなみに、前述の畑氏が東京の下町育ちで落語が好きだったことが発端で、ミドルベリ大学ではバーモントまで本職の落語家を招いて、日本語学習の一環に「小噺(こばなし)」などを聞き、学び、なお語っているという。多様性もここまでくると脱帽である。

ここで、ミドルベリ大学の沿革に触れておこう。創設時は会衆派教会との関わりがあったが、宗教的な関わりと云うよりは会ミドルベリの町造りの先棒を担いだようなもので、大学を創設するにも「町の大学」を、という姿勢だったという。

ミドルベリ大学にはいくつかの「初もの」がある。1823年にアレギザンダー・トワイライトという学生が卒業した。彼はアメリカ初の黒人卒業生だった。トワイライトは後に(1836年)バーモント州議会議員に選出された。さらに、第二回の卒業式でレミュエル・ヘインズは名誉修士を授けられた。高位の学位を授けられた初めてのアフリカ系アメリカ人だった。そして1883年、ミドルベリ大学は初めて女子を学生に迎えた。男子校だったリベラル・アーツ大学が共学となったのは、ミドルベリ大学を嚆矢とする。さらに、初めての女子卒業生を輩出したのもミドルベリ大学なのだ。1886年、メイ・ベル・チェリスという女子学生が晴れて卒業したのである。初もの食い、というが、これほどの初ものを揃えるミドルベリ大学は、やはり異色である。

2013年、U.S. News & World Report誌はミドルベリ大学をリベラル・アーツ・カレッジで全米第4位にランクし、難関校とのラベルを貼っている。同誌はまたミドルベリ大学は「卒業生に愛される大学」の第7位に選んでいる。つまり、卒業生からの寄付の多さで全米7位(2012年)だということだ。2014年のPrinceton Reviewでは「もっとも勉強をする学生」がいる大学としてミドルベリ大学を第5位に選び、「科学実験室の充実」ぶりで第6位、「教授陣の得点の高さ」で第10位、「教室での最高の経験」では第11位、「充実した図書館」で第13位、「最高のQOL(quality of life)」で第20位とした。この大学のポルフィールだ。

さて、これを書きながら筆者はミドルベリ大学のHPに今日、7月1日付で新学長が就任するニュースを読んだ。同学初の女性学長だ。Laurie L. Patton学長は就任の辞として、「この晴れたバーモントの夏の素晴らしさ、これが私の新学長としての率直な気持ちです」と語り、「この学園で過ごせるこれからの日々を思い、胸がふくらみます」と結んだ。

まとめ

2010年7月に、モンテレーのMiddlebury Institute of International Studiesがミドルベリ大学の大学院になった。国際政策、マネジメント、翻訳、通訳、語学学習など、英語を肇外国語の学習に広範なオプションを提供しようというものだ。これを通してミドルベリ大学の学生は海外での経験を積む機会が増えることになる。アメリカのリベラル・アーツ大学の懐の広さを感じる。