【英語教育の未来:小学校編】これから小学校英語はどう変わるのか? 今から知っておきたい教育改革4つの流れ | バイリンガルへの道

【英語教育の未来:小学校編】これから小学校英語はどう変わるのか? 今から知っておきたい教育改革4つの流れ

【英語教育の未来:小学校編】これから小学校英語はどう変わるのか? 今から知っておきたい教育改革4つの流れ

2011年度から必修化された「外国語(英語)活動」。全国の公立小学校の5・6年生が、年間35単位時間の授業を受け始めて4年が経ちました。この記事では、小学校での英語学習の「早期化」と「教科化」がもたらす影響や、英語を「教科化」している実例校を元にした解説、英語を得意科目にするためのポイントなどをご紹介します。

なぜ小学校英語は変わろうとしているのか?

「外国語活動」と呼ばれる現行の小学校段階での英語学習は、あくまでも国際感覚を身に付ける「コミュニケーション能力の素地を養う」ための「活動」であり、「教科」ではありません。フォーカスは、コミュニケーションに必要な、「聞く力」と「話す力」を伸ばすことであり、文法やスペルを教えることもなく、記述等による評価はあっても、数字などによる評定は付きません。よって、テストもありません。
学習指導要領にうたわれている「外国語活動」の目標は、「英語の音声に慣れ親しむ」ことです。「英語を」学ぶのではなく、「英語で」学ぶ、すなわち、歌やゲーム、言葉遊びなど、様々な活動を通して、自然と英語に慣れ親しむようなリラックスモードの授業が行われています。
しかし、中学校に入ると一気に学習モードとなるため、小学校の「外国語活動」から、中学校の「教科としての英語」へのスムーズな移行が課題になるにつれ、政府の教育再生実行会議などで、小学校での「外国語活動」の「早期化」や「教科化」が検討され始めました。

グローバル化に対応した、新たな英語教育の在り方

文部科学省が2013年12月13日に公表した『グローバル化に対応した英語教育改革実施計画』では、「小・中・高を通じて一貫した学習到達目標を設定すること」により、「英語によるコミュニケーション能力を確実に養う」という目標のもと、東京オリンピック・パラリンピック開催を見据え、2020年までに小学3・4年生からの英語教育開始、小学5・6年生の英語学習の「教科化」などの方針が示されました。
具体的には、

小学3・4年生

週1~2コマ程度の学級担任主導による「活動型」

小学5・6年生

学級担任に加え専門教員の活用
「モジュール授業」も活用した週3コマ程度の「教科型」

が提言されました。

『グローバル化に対応した英語教育改革実施計画』から抜粋した下の図をご覧ください。小学5・6年生ならば、「教科」としての英語の授業(45分)を週に2コマ、加えて3回の「モジュール授業」(各15分)の実施というように、「通常授業」と「モジュール授業」を組み合わせた授業形態になると言われています。月曜から金曜日まで毎日英語と接する時間ができるのです。

参考)小学5・6年生におけるモジュール授業を用いた時間割の例

小学校英語はどうあるべき?

小学校の英語学習「前倒し」や「教科化」に関しては、専門家の間で賛否両論あったものの、保護者のみなさまにはおおむね好評のようです。

イーオンがイーオンキッズに通う小学生以下の子どもの保護者598名を対象に実施した「子どもの英語学習に関する意識調査2015」では、「9割以上が早期化に賛成」という結果が出ているというデータがあります。

賛成する理由としてトップに挙げられたのが「英語への抵抗を早くからなくすため(200名)」、以下、「世の中のグローバル化に対応するため(188名)」「現在の学校での英語学習時間が十分でないと考えているから(58名)」と続きました。
さらに、約6割の保護者が「小学5~6年生の英語教科化」に賛成した一方、1/4の保護者は今まで同様「英語活動」でよいと回答し、意見が割れる結果となりました。
賛成派からは、成績がつく「教科」にすることで「習得目標ができるため」「真剣に取り組むようになるから」などの声が、また、反対派からは「苦手意識をつけさせてしまう可能性があるから」「まずは英語に親しむことが大切」など、小学校での英語教育の本質はまず「英語に親しむこと」と考える意見が多く寄せられました。

「英語教育改革」の今後の動きをつかみ、早期対応を!

『グローバル化に対応した英語教育改革実施計画』によると、今後の改革実施スケジュールは以下の通りとなっています。

2014年度から2018年度にかけて

小学校英語教育推進リーダーの養成研修、専科教員の指導力向上、小学校学級担任の英語指導力向上といった指導体制の整備や、英語教育強化地域拠点事業・教育課程特例校による先取り実施の拡大

2018年度

中央教育審議会での検討を経て学習指導要領を改訂、段階的に、教育改革を先行実施

2020年度

東京オリンピック・パラリンピック開催に合わせ、教育改革の全面実施

「英語教科化」が子どもにもたらす3つの影響とは?

小学校での英語学習の「早期化」と「教科化」により、「小学校英語」は具体的にどう変わるのかを説明しました。 ここでは「英語教科化」による子ども達への影響を考えてみたいと思います。

指導教員の能力アップ=子供の英語力アップ

現在小学校での英語学習は、「学級担任」あるいは「担任+ALT(Assistant Language Teacher/外国語指導助手)」による指導が主となっています。
「英語学習の早期化」や「教科化」が実行されることで、指導時間が増え、指導内容も高度化されることになり、現場の教師の負担は増すばかりです。

そんな現状に対応するため、文部科学省は、2013年12月に公表した『グローバル化に対応した英語教育改革実施計画』の中で、指導体制の大幅な強化を提示しました。「英語教育推進リーダー」の養成、校内研修を担当する各校1名程度の「中核教員」の育成など、現教師の指導力向上へ向けてのバックアップ体制の充実を図るとともに、高度な英語指導力を備えた「専科教員」の確保の急務や、「外部人材」の積極的活用が謳われています。
国によるバックアップ体制の充実は、全体的な指導力の底上げにつながり、今後は「専科教員」「担任+ALT+外部人材」「担任+外部人材」などによる、より質の良い授業が期待できます。こうした指導力向上への取り組みが、子供達の英語力アップに貢献することは間違いないでしょう。
また、今まで実際おきていたような、英語ネイティブのALTと英語があまり話せない担任の先生が授業の打ち合わせをうまくできないといった事態も避けられるようになるでしょう。

ひとつだけ気になるのは地域格差の問題です。現在ALTなどの採用については、各地方自治体による自由裁量となっています。これが「教科化」後も継続すれば、地方自治体の予算の格差による英語教育の地域格差の問題も続いていくことになります。
例えば、2003年度に国から「英会話教育特区」の認定を受けた栃木県足利市では、全国に先駆けて小学校での英会話学習に取り組んできました。市内にある22校全ての公立小学校で学級担任と共に授業を担当するのは、第2外国語として英語を話す外国人も含まれる「英語活動協力員(EAA)」とネイティブスピーカーの(ALT)です。2013年度からは低学年を指導するEAAを10名から22名に増員し、各校専属の EAAを派遣しています。
一方、地域によっては、一人のALTが4・5校を掛け持ちして教えているところもあります。各自治体の予算格差は、そのまま英語教育の地域格差につながってしまうのです。

入試で高い英語力が求められる

入試への影響も見逃せません。小学校の「英語教科化」が実現すれば、英語が中学受験の入試科目になる可能性は大きいでしょう。そうなれば英語も関しても、他の受験科目と同様の「詰め込み学習」がなされるのではないかと危惧する声があります。

前出の『グローバル化に対応した英語教育改革実施計画』では、「高校卒業段階で英検2級から準1級、TOEFL iBT57点程度以上」の英語力を身に付けることや、大学入試においても4技能(読む・書く・聞く・話す)の測定を目指すことが掲げられています。今小学生のお子さんは、将来の大学入試にむけて「スピーキング力」向上を視野に入れた英語学習をされた方がいいかもしれませんね。

ところで、同実施計画に記載されている高校卒業時の目安TOEFL iBT 57点とはどの程度のレベルなのかご存知でしょうか?
下図をご覧下さい。TOEFL iBT(Internet-based test) は各スキル30点満点、総合120点満点、つまり57点というのは50%にも満たないレベルです。

<Skill Score Range>
[Reading 0–30]
・High (22–30)
・Intermediate (15–21)
・Low (0–14)

[Listening 0–30 ]
・High (22–30)
・Intermediate (15–21)
・Low (0–14)

[Speaking 0–30]
・Good (26–30)
・Fair (18–25)
・Limited (10–17)
・Weak (0–9)

[Writing 0–30]
・Good (24–30)
・Fair (17–23)
・Limited (1–16)

[Total Score 0–120]

(ETSサイトより抜粋)

ちなみに北米の公立大学進学には、学部レベルでも、最近はTOEFLiBTスコア90前後が必要です。こうしてみると、高校卒業時の目標レベルが低いのではないかと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、現状をみると、一概にそうとも言えないようです。

TOEFLiBT受験者の2013年のデータから作成したアジアの国別平均スコアランキングで、日本人になじみのある20か国を比較してみました。

総合点ランキング

総合順位 国名 Reading Listening Speaking Writing Total
1 Singapore 24 25 24 25 98
2 India 22 23 23 23 91
3 Pakistan 21 22 24 23 90
4 Malaysia 22 23 22 23 89
4 Philippines 21 22 24 23 89
6 South Korea 22 21 21 22 85
6 Sri Lanka 20 21 22 21 85
8 Bangladesh 20 21 21 22 84
9 Hong Kong 19 21 21 22 83
9 Nepal 20 20 21 21 83
11 Indonesia 20 21 20 21 82
12 North Korea 20 20 20 21 81
13 Taiwan 20 20 20 20 80
14 Bhutan 17 18 22 21 79
15 Vietnam 19 19 19 21 78
16 China 20 18 19 20 77
17 Thailand 18 19 19 20 76
18 Japan 18 17 17 18 70
18 Mongolia 16 18 19 18 70
20 Cambodia 15 16 19 19 69

 

スピーキングセクションランキング

総合順位 国名 Reading Listening Speaking Writing Total
1 Singapore 24 25 24 25 98
1 Pakistan 21 22 24 23 90
1 Philippines 21 22 24 23 90
4 India 21 23 23 23 91
5 Malaysia 22 23 22 23 89
5 Sri Lanka 20 21 22 21 85
5 Bhutan 17 18 22 21 79
8 South Korea 22 21 21 22 85
8 Bangladesh 20 21 21 22 84
8 Hong Kong 19 21 21 22 83
8 Nepal 20 20 21 21 82
12 Indonesia 20 21 20 21 82
12 North Korea 20 20 20 21 81
12 Taiwan 20 20 20 20 80
15 Vietnam 19 19 19 21 78
15 China 20 18 19 20 77
15 Thailand 18 19 19 20 76
15 Mongolia 16 18 19 18 70
15 Cambodia 15 16 19 19 69
20 Japan 18 17 17 18 70

 

20か国中、日本は総合点では18位、スピーキングセクションに限ってはなんと最下位、リスニングも下から2番目です。英語に興味があるであろうTOEFLを受けるような層でさえこうなのです。日本中の子供達全体の英語力を上げるのは、まさに国家を挙げての一大プロジェクトと言っても過言ではありません。

指導力の向上、人材の育成、過去の英語教育の問題点を徹底的に洗い出し、日本人の弱点でもある「リスニング・スピーキング」を強化する効果的、かつ実用的な教材作成など、問題は山積みですが、将来国際的な舞台で活躍できるような日本人を育てるための抜本的な教育改革が真摯に求められています。

国際人としての意識の高まり

文部科学省が基礎データとしてHPに掲載している情報によると、英語を使っている人口は5億人以上です。これは2005年のデータのため、現在そして未来はさらに英語を使う人口が増えていきます。英語はすでに、ある国の言語という存在を超えて、グローバルの共通言語になりつつあります。

小学校での英語学習の「早期化」と「教科化」も、その傾向を表しています。グローバル社会に生きる、これからの子供達は、日本語、そして日本の伝統的文化・慣習・価値観などを学ぶことはもちろん大切ですが、国際人として、外国人とも対等に渡り合えるコミュニケーションの道具として、英語を身につけていく必要があります。

英語を身につけることで、世界中の情報にアクセスできたり、直接、外国人とコミュニケーションが取れるようになることで、世界中の多種多様な文化や価値観を理解できるようになります。
小学校の英語教科化が進むことで、小さい頃から、日本という枠を超えて、世界を意識して学び、育つ子供が増えていく可能性があります。

「英語の教科化」実施例

小学校での英語学習の「早期化」と「教科化」がもたらす影響を説明しました。ここでは、小学校において、 「英語の早期学習」や、「英語の教科化」を実施している小学校や自治体を取り上げ、小学校での英語学習の「早期化」と「教科」を、子どもたち自身がどのように捉えているのかを検証します。

児童からも好評価を受けている、瑞穂市立生津小学校での英語学習

岐阜県瑞穂市立生津小学校は、英語教科化における先駆的な存在です。同校は、1994(平成6)年に文部省(当時)より「小学校における外国語学習に関する研究開発学校」に指定されて以来、英語教育に注力してきました。現在は、全学年において年間35時間の英語学習を実施。HRT(学級担任)、ALT(外国人指導助手)、JTE(日本人英語担当教員)によるチーム体制で指導に当たっています。同校の英語指導で特徴的な点は、児童に対する各教員ごとの評価領域を明確に区分していること。HRTは授業へ取り組む姿勢、ALTは発音、JTEは応答時の工夫などを、それぞれ分担して評価しています。また、中学校入学後の英語授業も見据えて、”filler”を身につけさせることにも注力しています。Fillerとは、「I mean/you know/really?/」といった、つなぎ言葉のこと。中学校において、英語授業のすべてが英語のみで展開されることも念頭に、より実践的な英語力を養成していると言えます。また、同校による6年次児童に対する調査では、9割以上が「英語活動の時間は楽しい」という前向きな回答をしています。

”多読”を中心に授業を展開する、府中市立府中第一小学校

公立小学校における英語活動といえば、英会話が中心となるケースがほとんど。しかし、東京都府中市立府中第一小学校は、”多読”に重きを置くという独特な方針で注目を集めている小学校です。同校において、全学年で英語活動での英文多読が開始されたのは、2014(平成26)年。同校校長である小島茂氏と、同じく東京都府中市にある私立校、明星中学高等学校教諭の鬼丸晴美氏の主導で導入されました。しかし、多読とはいえ、児童がただ黙々と英文を読み進めるような授業ではなく、先生と対話をしながら英文を読み進めることが中心。中学年では、シャドーイングも行いつつ、授業時間の半分程度は、児童一人ひとりが英文を読み進めるような授業構成になります。そして、高学年ではさらに児童自身が英文を読み進める時間が長くなる一方で、ALTも授業を担当するようになります。同校の取り組みは、開始されてからまだ1年ほどしか経過していませんが、すでに高学年を中心に、英検5級や4級に合格する児童も多くなりつつあります。
中学以降の英語学習では、どうしてもリーディングが中心となり、学校の成績評価や、高校入試、大学入試においてもリーディングの評価比重が高くなります。したがって、低学年から中学年にかけては英語に親しんでもらうことを優先し、高学年からは”多読”を重視する同行の方針は、小学校における英語教科化の価値あるモデルケースと言えるのではないでしょうか?

大阪府による「使える英語プロジェクト」事業から見る、英語教科化の課題

大阪府教育委員会は、2011(平成23)年度より「使える英語プロジェクト」を始動させました。同プロジェクトは3か年計画となっており、小・中・高等学校を対象に、子どもたちの英語力を育成し、教員の指導力向上を目的としたものでした。大阪府の取り組みにおけるポイントは、プロジェクト名にもある通り、「使える英語」に特化したこと。英語によるインタビュー、スキット、ALTとの英語によるコミュニケーションなど、より実践的なカリキュラムが特徴的でした。
本プロジェクトに関して2011年から2012年に行われた調査では、小学校での英語活動が楽しいと答えた児童が7割を超えている一方で、「中学校で英語の勉強をすることが楽しみ」と答えた児童は、5割ほどにとどまっています。また、授業をよりよく理解するために「先生にたずねる」という質問項目についても、肯定的な回答をした小学生は、4割台となっています。

大阪府におけるプロジェクトに関する調査結果からも、より学習内容が高度化する中学入学以後に備えて、小学校における英語教育では、英語学習に対する児童の関心をこれまでよりも高め、児童自身が自発的に学習できるような環境を整える必要があると言えます。そういった意味では、今このタイミングで小学校における英語教育を見直し、小学校での英語学習を教科化することで、従来よりも密度の濃い学習環境の構築を目指すことは、意味ある試みであると思われます。

一方で、英語教科化を実行した後においても、その効果や子どもたちに与えている影響を、しっかりと検証できる体制づくりを進めることも欠かせません。小学校教育の与える影響は、長期的な視点で調査をしなければ、正確な効果は検証できないはずです。その上で、英語教科化を開始して以降の数年は、生津小学校や府中第一小学校で導入されているような事例を参考に、各小学校が地域制や自校に通う児童の特性を加味した上で、最適な指導方法を展開できるような柔軟性を保つことが重要であると感じます。

英語を得意科目とするためのコツ

全国的な英語教科化に先駆けて、英語教科化に取り組んでいる小学校をご紹介しました。今回は、来るべき小学校における英語教科化に向けて、英語を得意科目とするためのコツをご説明致します。

「これは英語で言える!」というものをひとつずつ増やしていくことから

小学生への英語教育の初期段階では、語彙力の強化に重点をおく必要があります。日本に生まれた赤ん坊は、まずは単語レベルから、日本語を理解していきます。それと同様に、低学年の児童に対して英語教育を行う場合には、まずは意味を理解している単語の数をひとつずつ増やしていけるようなアプローチが必要です。

耳と口で、英単語を理解する

低学年の児童に単語を記憶させるには、書き取りによるよりも、「聞き取りと発声」という音声による学習の方が大切です。「臨界期説」という言葉をご存知でしょうか?臨界期説とは、第二言語を習得する場合、臨界期とされる年齢を超えてしまうと言語習得が不可能となってしまうという仮説です。臨界期の年齢は研究者の間でも意見がわかれていますが、概ね9~15歳ごろとされています。臨界期説そのものも生物学的に解明されたものではなく、仮説の域を出ていないとも言えます。しかしながら、特に音声面においては、臨界期説に賛同する意見も多く、小学校における英語教科化と早期教育化にも影響を及ぼしていると考えられます。そういった意味でも、特に英語を学び始めたばかりの低学年児童に対しては、音声から英単語を記憶することができるような教育を行うべきであると考えられます。

米国の小学生は、知っている発音に綴りを重ねるトレーニングを「フォニックス」で行う

英語というのは、単語のスペルが非常に不規則で、スペルと発音が一致しない言語です。そのため、たとえ英語圏に生まれた子どもであっても、幼児期においてはスペルと発音を脳内で組み合わせることに苦労します。そこで、特に米国内では小学1~4年の子どもたちに対して、「フォニックス」と呼ばれる発音指導を行っています。フォニックスによる指導では、それぞれの文字をアルファベット読みとは異なる読み方で指導していきます。この「フォニックス読み」については、(資料1)をご覧ください。加えて、スペルと発音との関係性に一定の規則性を見出しまとめた「フォニックスルール」というものも教えていきます。フォニックスルールには、たとえば「サイレントe」と呼ばれるルールがあります。これは、単語の最後にeがつくと、そのeは発音せず、かつ手前にある母音の文字をアルファベット読みするという規則です。たとえば、”cake”は、最後のeを発音せず、手前にある母音字aをアルファベット読みするので、「ク・エィ・クッ」というようになります。米国の小学生は初期の段階で、このようなフォニックスに基づく指導を受けることで、英単語の発音を身につけていきます。

フォニックスは、語彙力の飛躍的な向上にもつながる

フォニックスに基づく指導の利点は、未知の単語に出会った場合であっても、単語のスペルから発音を類推することが出来るようになるところです。スペルと発音を体系化したフォニックスルールを身につけることで、発音を習っていない単語であっても、スペルにルールを当てはめることで、発音を予想することができるからです。多くの子どもたちが、文字と発音が結びつかないことで、ボキャブラリーを増やす過程で躓いてしまいます。そのため、フォニックスルールを理解し発音を類推できることは、語彙力を強化するスピードを飛躍的に向上させることにもつながるのです。

フォニックスルールは、”使ってこそ”身につくもの

前述した通り、英語学習の初期段階にある児童に対しては、音声による英語学習に重点を置くべきです。そのため、書き取り面については、単語のスペルなどはあまり細かく指導しない方が良いと言えます。小学1~4年の児童に対しては、とにかく英語に親しみ、多くの言葉に触れる機会を提供することに注力すべきです。先ほど取り上げたフォニックスルールを理解するのにも、一定数の単語に触れておく必要があります。数学の公式を理解し使いこなせるようになるのには、公式をただ眺めているだけでは不十分で、実際の問題に公式を当てはめて答えを導いていく過程によって理解できるのと同様です。

小学5年生からは、書き取りと文法にも力を入れる

一方で、小学校5年生以降については、徐々に書き取り面にも比重をかけていく必要があります。これは、中学入学以降を見据えた英語学習へと段階的に移行していくためです。。多くの中学校では、生徒の到達度をはかる手段が、依然として書き取り重視であることは明らかです。そのため、中学入学後に英語を得意科目とし、その先の高校入試や大学入試へと対応するためには、書き取り能力も重要となります。同様に、小学5年からは、文法面の正確性も高めていきましょう。ただし、文法面での学習を行う際には、品詞の名称や時制の名称と言った文法用語は極力使わないように注意する必要があります。たとえば、過去形を学ぶのであれば、過去形を用いた英文を数多く暗誦して、英文という”音”で覚えられるようなアプローチが大切です。基本的な文法をおさえるには、英文で簡単な日記を書いてもらうことも良い手段です。

英語教科化に当たっては、「かえって英語嫌いの子どもを増やしてしまう」、「できる子とできない子の二極化を招いてしまう」という声も根強くあります。英語に興味を持ってもらい、得意科目としていくには、日本の小学校においてもフォニックスのような音声指導法に基づいた教育を行い、たとえ単語レベルであっても”英語を話せる喜び”を、子どもたちに実感してもらう必要があると感じます。また、家庭での英語学習でも、音声CDやDVDなどを活用しながら、まずは耳と口で英語を学べる環境を整えることが大切です。

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