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米英の大学に通ってわかった違い。英シェフィールド大のスチューデンツユニオンとは


キャタルには、多種多様な経験を生かして、生徒の進路に迷う気持ちに寄り添い、アドバイスをしたり、背中を押してくれる教師が多く在籍しています。
その一人、魚谷采耶さんは、日本の高校を卒業後、アメリカのフォーダム大学に進学、2年間在籍した後にイギリスのシェフィールド大学へ転校、という珍しい経歴をお持ちです。

 

アメリカの大学からイギリスの大学へ

アメリカのフォーダム大学に進学し、刺激的なニューヨークでの大学生活を楽しんでいた魚谷さんですが、ある時、問題が発生しました。

「フォーダム大学で選んだプログラムは「ニューメディアアンドデジタルデザイン」という、コンピューターサイエンスとコミュニケーション文学とビジネスをひとつにまとめようとする学問でした。前衛的でとても面白そうだったのですが、新しい分野すぎて先生たちも把握できていないようで、必須科目がとても多くて、途中で「4年間では終わらないと思う」と言われてしまいました。私は奨学金で通っていたので、どうしても4年間しか時間がなくて、他を探さなければいけなくなったんです。

当時、とてもいい先生との出会いがありました。その先生はキューバ出身で、ニューヨークタイムズのライターでもあり、フィリピン革命の時にフィリピンへ足を運んだそうです。その先生に「あなたはニューメディアの学部にいるけれど、ジャーナリズムに移るべき。ジャーナリズムをやるなら他の大学に行った方がいいよ」と言われました。
自分の夢は物心ついた時から物書きで、ジャーナリストになりたいと強く思っていましたから、ここで原点に戻ってリサーチをして、シェフィールド大学に移ることを決めたのです。」

ニューヨークにあるフォーダム大学(ウエブサイトhttps://www.fordham.edu/より

 

ステューデンツユニオンの存在

イギリスのシェフィールド大学に転校した魚谷さんが感じた、アメリカの大学との違いは、ステューデンツユニオンの存在だそうです。

「イギリスの大学には、ステューデンツユニオンという、学生が運営している組織があり、大学生活向上のために学生が主体で活動しています。
海外から来ている学生や、50歳の学生も在学していますから、学生の環境によってニーズが全く違うため、それぞれのニーズに応えられるようなサポートをしています。そのオフィサーは毎年、学生による投票によって選出されます。
私の通っていたシェフィールド大学のステューデンツユニオンは、満足度調査で全国ナンバーワンになりましたので、それが目当てでこの大学を選ぶ人もいます。

日本の大学ではあまり馴染みがないかもしれませんが、ステューデンツユニオンの存在はとても大きいです。例えば、校舎の建て替えや、道の敷きなおしでお金がかかる場合に、私たちの学費がどのように使われるのか、気になるところですよね。さまざまな事案の透明性を上げるために、まず学校側からインフォメーションがあって、学生たちはそれに対して意見を提出することができます。歴史的に見てもイギリスはワークユニオンが強いところですので、学生にも力があるというのは、イギリスの国民性を表していると思います。

イギリスの大学のいいところは、入学当時の学費がそのまま3年間保証されているということです。インフレーションに左右されずに3年間変わらないという決まりがあるので、安心ですし予算も立てやすいです。
アメリカの場合は毎年ちょっとずつ上がったりして、それもすでに決定したものが案内されるだけなので、びっくりすることもありました。ステューデンツユニオンがないので、情報はほとんど入ってきませんでした。」

シェフィールド大学(ウエブサイト https://www.sheffield.ac.uk/ より)

 

自分に合った大学を選ぶには

「高校を卒業してアメリカの大学に進む際に、アメリカに行ったこともほとんどない中で、情報収集し大学を決めましたが、今思うとやはりリサーチ不足でした。
18歳で、さまざまな選択肢の中から自分に合う学校を選ぶということはとても難しく、先入観で選んでしまった部分が大きかったと思います。全ての大学を見て回ることはできませんから、実態がどうなのかわからないのに、写真写りがいいといい学校に見えてしまうこともありました。
実際は、同じ名前の学部であっても、学校によって学ぶ内容や授業構成も全く違います。実践的なレッスンがない学校があったり、反対に実践的なレッスンばかりの学校があったり、国の認定を受けているプログラムと受けていないプログラムがあったり、これは調べてみないとわかりません。またその大学のある土地や環境が自分に合っているかも、生活していくうえで重要な要素になるでしょう。

フォーダム大学から転校先をシェフィールド大学に決める時は、ちゃんとリサーチをして「私はこういう場所でこういうことを学びたい」としっかり納得することができました。シェフィールドという場所はロンドンから北へ電車で2時間くらいの場所なのですが、人々がとてもフレンドリーで、そんなに都会でもなく、私にはとても居心地のいいところです。」

左が魚谷采耶さん。将来は世界で活躍するジャーナリストになって、女性の地位向上や、世界のさまざまな文化との分かち合いを深めるたいと語ってくれました。

 

夢の授業「世界中に平和学習を」

最後に、お金や場所の制限がないとしたら、どんな人たちにどんな授業をしたいか、魚谷采耶さんにとっての夢の授業についてお伺いしました。

「私は、日本で生まれて、4歳から11歳まではロンドンの現地校に通い、日本に戻って中高生を渋谷学園渋谷高校の帰国子女プログラムに在籍しました。渋渋では、平和教育をしっかり受けました。広島の原爆ドームを訪れたり、特攻隊が出た島へ行ったり、二度と繰り返してはいけないことを学んだ貴重な経験でした。夏休みの課題の読書感想文で「黒い雨」という本を読みました。悲しくて辛いけれど、向き合わなければならない歴史ですよね。
世界に出てみると、平和学習が日本ならではの教育であることを感じました。ドイツではやっているのでしょうけど、アメリカやイギリスの人たちと話していると、戦争に対して懸念を抱いていないことや、正当化している部分があり、愛国心が勝っていて国を守るためなら戦争はやってもいいという意見を聞きます。私はそれがすごく怖いなと感じます。
ですから、年齢や国籍を問わず、世界に日本の平和学習を広めたいです。世界各国の負の遺産を周り、話を聞き、映像を観ることで、学びを深めたいです。過去があるからこそ今がある、今後するべきこととしてはいけないこと、どちらもディスカッションして、世界中の人と平和な未来について考えていきたいです。」

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田邊紗耶香

田邊紗耶香

国際社会コミュニケーション学科卒。高校時代に1年間留学し、大学時代に世界一周をした経験を活かし、英語塾キャタルで広報、デジタル・マーケティング、コンテンツ企画、販促企画などを担当。自らもシングルマザーとして我が子の学習に悩む保護者の気持ちに寄り添いながら、日本の英語教育に対する洞察を深めている。

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