創立わずか34年で東大合格者ランキング全国4位 渋谷教育学園中学校・高等学校


千葉市幕張にある渋幕から78名、渋谷区にある渋渋から25名、両校合わせて103名。これは渋谷教育学園中学高等学校の2017年の東大合格者の数である。さらに東大だけではなく、ハーバードやプリンストンなど米名門大学の合格者もトップクラス。田村哲夫校長は東大卒業後、銀行マンだった30代に、父親の経営する都内の女子高を引き継ぎ、当時は全国で最も若い校長先生として話題になった。その後、定時制の女子高をわずか30年余りで全国有数の進学校に飛躍させ、たくさんの優秀な人材を世界に輩出している。


*左が田村校長、渋谷校の8階にある図書室で収録が行われた。キャタル渋谷校とは道路を挟んだ並びにあり、番組内で田村校長にリクエストいただいた有名な曲「春の小川」はこの道路を流れていた小川のことを歌っているそうだ。

 

著書が東大の入試問題に ― 「校長講話」で自己の客体化を

田村校長が年に6回、1時間かけて行っている校長講話は、同校の大きな特徴の一つである。講話ではどのようなことを話しているのだろう。

「話す題材はシラバス(新学期の初めに配布する学習設計図)に載せています。毎回どのようなテーマで、どの教材を使うか、だから生徒たちはその日の講話の目的をわかっていて聞いています。ただ中1で入ってきた時は、正直難しくて何を話しているかよくわからないようです。でも高校生になると理解できるようになり、卒業生は社会に出て、ああ、あの時校長はこのために言っていたんだなってわかってくれるようですね。終わったら一人一人からメモが出てきます。中には批判する子もいるし、みな刺激を受けて、よく考えていますよ」
校長講話の目的は「自分自身を客体化して自分をみること」。これについて田村校長は「最近、メタ認識っていう言葉があり、それは人間が自分自身を認識するときに、自分の思考や行動を客観的に把握するっていうことなんですが、これは誰にも教えられないんですよ。あなたはこういう人間だ、なんて、他人は言えないですよね。だから自分でできるようになるためのお手伝いをしているんです」
田村校長の著書が、16年の東大の現代文の入試問題に採用された。「まさに自己の客体化の意識が成熟しているかどうかを量る出題でした。東大だと知識だけじゃなくてそういう力も見られているんです。生徒たちは問題用紙に僕の名前をみて喜んでいましたね」


*1000人以上収用可能の講堂。音響や照明が整っていて音楽や演劇など部活の発表場所としても使われている。(渋谷教育学園幕張中学校・高等学校HPより抜粋)

 

大学は議論をする場所 ― 大学入試にむけての取り組み

校長講話では進学についても取り上げるそうだ。「小中高と大学との決定的な違いは、大学は、入った生徒はまだ未熟であっても、教えている先生はノーベル賞をもらってたりする。でも、大学では全員平等、誰でも対等に議論していいんですよね。つまり議論できるかどうかが問題、それが大学入試です」
そのために必要な能力について、入試ではどのように量るのだろうか。「計算力とか記憶力とか正確さなどの、いわゆる技能や知識をチェックするのは全体の2~3割ですね。残りは技能ではない部分なんです。まずは論理的思考力、そしてもう一つは意欲とか目的意識といったその人の資質をチェックしているんですよね。だから知識を詰め込んでいけば入れるっていうことではないんです」
最近の大学受験の傾向として、考える力が重視される欧米化が進んできていると言われているが、同校ではこの能力を付けるために早くから取り組み、そのため生徒たちの意識も高いということが、東大進学者数に見られる強さの理由の一つであろう。

 

一般生でも海外大学へ ― TOEFL iBTで3ケタが目安

渋谷学園というと、東大だけではなく、欧米のトップ校にもたくさんの学生が進学していることで注目されているが、どのような取り組みをしているのだろうか。また、これは帰国子女生が多いことが影響しているのだろうか。

「海外大学への入学者数を増やすための手段は特に意識していないですよ。校長講話で、バカロレアだったり、ギャップターム(秋入学の大学では入学前と就職前に一定の空白期間があること)などの解説はするので、生徒たちはいろいろな選択肢を意識するようになります。実は、帰国子女でアメリカの大学に行く生徒は半分もいないですよ。むしろ一般生がおもしろそうだなって挑戦する。学校には専門の部局があるんです。アメリカのリサーチユニバーシティ(研究型大学)に行きたい人、リベラルアーツ(教養型大学)に行きたい人、希望によって伸ばしてくれる担当の先生がいます。対策は中3くらいから始めますよ、その頃からやらないと間に合わないから。目安としてはTOEFL iBTで3ケタですね、それだけ取れれば向こうの大学の授業を普通に聞けるということですので、そこだけクリアすれば一般生でも大丈夫、年に何回もチャレンジすればいいんです」

 

卒業生に聞く英語の授業 ― 教科横断型でさらに高いところへ

渋渋の卒業生である慶應大学生の鳴釜和佳子さんに、当時の英語の授業内容を伺った。

「私は帰国子女クラスの授業を受けていました。ネイティブの先生と20名くらいの生徒で、いろんなジャンルの本を題材にして授業を進めました。この本のレベルがとても高くて、中3の時にトモス・モアの「ユートピア」とか、そのあとはジャレド・ダイアモンドの「銃・病原菌・鉄」など、テーマが難しかったので最初は苦戦しました。クラスでのディスカッションを通して、クラスメイトのいろんな意見を聞いたり自分の意見を述べたりして、最後はタームペーパー(期末レポート)にして提出します。その過程で、しっかり理解を深めることや、論理的に考えるという力が身に付きました。タームペーパーは先生が良かった点悪かった点をフィードバックしてくださるので、それを次の課題図書に生かせるよう意識して、それを何冊か続けていくことによって自分の成長を実感することができました」

渋谷学園の英語教育の強さについて、田村校長はこう語った。

「それは担当している先生の能力と、受ける生徒の意欲ですね。ネイティブの優秀な先生を採用していますし、生徒もできる生徒しか入れていませんから。そうすると、在校している生徒の一割くらいは、英語を教える必要はないんですね。だから英語の時間を使って、教科横断型の授業ができるのです。普通は中高生の段階では、教科で独立した教材を使い教科ごとの勉強をしますが、本校では、英語という言葉の問題にプラスして、歴史的な考え方や地学的な知識など、英語であっても他の教科につながっていることを体験させることができる。この仕組みが生徒たちの英語への意欲を刺激しているのだと思います」


*情報の授業で使用するコンピューター室。昼休みや放課後にも開放されていて自由に使うことができる。ディスプレイが机に収納でき、動画編集やプログラミングができる高性能PCも設置されている。(渋谷教育学園幕張中学校・高等学校HPより抜粋)

 

修学旅行は現地集合現地解散 ― 「自調自考」という理念

同校のホームページを開くと「自調自考」という学校理念がまず目に入る。

「自らの手で調べ、自らの心で考える」という意味で、明治時代からある言葉だそうだ。渋谷学園では、修学旅行や宿泊研修、校外学習などほとんどの学校行事が現地集合現地解散とのこと。田村校長はこれについて「学校で全て用意してもらってやるのと、自分で用意してやるのとは全然違うんですよ。なんでも自分でやってみないと分からないし、気づかない。好きじゃないことだってやらなきゃいけないことはたくさんある。だからルールも生徒たちが決めますし、僕たちは口出ししません。自由の中にこそ、渋谷の強さがあると思っています」

最後に、田村校長が考える「夢の授業」とは、また教育という仕事について伺った。

「夢の授業っていうのは、決して教える側の価値観で100%生きてくるものではなく、教わる側と教える側がバランス良く拮抗した時に実現するものだと思います。人間と人間のぶつかり合いが教育っていう仕事なんですよね。私自身、教育に携わった人生でした。教育はとてもやりがいがあり、やってよかったと思える職業ですよ、こんな満足感を得られる仕事は他にないなって、それだけは若い人たちに言いたいですね。日本は、社会全体でもうちょっと意識を持ってもらって、優秀な人に教育に参加してもらいたいです」

 
この記事は、2017年4月28日、ラジオ”In the Dreaming Class”の内容です。ラジオ全音声を聞かれたい方は→こちらからどうぞ


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