海外大学への進学の突破口となる国際バカロレア


単刀直入に言おう。子供を海外の大学へ進学させたいのなら、一流の社会人に育てたいのなら、国際バカロレアを受けさせるべきだ。

国際バカロレアでは6つの科目群と3つの必修要件を用いて成績が評価される

 上の大胆とも思われるコメントにはれっきとした根拠がある。それは、国際バカロレアが価値を置いている10個の人間性というものが、一流の社会人に必要となる素質と同じであるからだ。言い換えれば、国際バカロレアを修了することでこれらの素質が身につくようにカリキュラムを組んでいるので、一流の社会人を育成する準備段階として国際バカロレアの価値があると言える。具体的に国際バカロレアが価値を置く人間性とは以下の10項目である。

  • 学習し続ける人
  • 知識のある人
  • 考える人
  • コミュニケーションができる人
  • 信念を持つ人
  • 様々な価値観を受け止められる人
  • 思いやりのある人
  • 挑戦する人
  • 人生のバランスが取れている人
  • 振り返りができる人

これらは世界どこへ行っても通用する素質であり、そのことを理解して50年前から理想像として掲げてきた国際バカロレアは素晴らしいディプロマだと言わざるを得ない。

筆者も、イギリスに住んでいた時国際バカロレアに出会い、国際的なディプロマであるから、海外の大学への進学にも役立つとのことで、履修を決めた。その選択は自信を持って正解だったと言えるし、他人にも自信を持って受けることを勧める。また、読者の中には、子供を海外の大学へ進学させたいと考えている親もいるであろう。そういった方のために、国際バカロレアについて紹介していこう。

歴史と概要

国際バカロレア(International Baccalaureate、通称IB)は1968年、スイスのジュネーブにおいて設立されたIB機構が提供する国際的なプログラムであり、当初はスイスのインターナショナル・スクールにおいてのみ導入されていた。文部科学省によると、「チャレンジに満ちた総合的な教育プログラムとして、世界の複雑さを理解して、そのことに対処できる生徒を育成し、生徒に対し、未来へ責任ある行動をとるための態度とスキルを身に付けさせるとともに、国際的に通用する大学入学資格(国際バカロレア資格)を与え、大学進学へのルートを確保することを目的」としている。現在、世界の4500校以上でディプロマプログラムが実施され、1800以上の大学でIBを使用した入学審査システムが導入されており、今後も導入校は増える傾向にある。(IBを審査システムに取り入れている海外の大学リスト http://www.ibo.org/university-admission/recognition-of-the-ib-diploma-by-countries-and-universities/)

さらに、取得が難儀とされていることもあり、ディプロマ取得者は海外でも上位の大学に進学する傾向がある。例えば、2014年度の国際バカロレア日本アドバイザリー委員会報告書によると、イギリスでは通常カリキュラムであるA level取得者に比べてIB取得者が国内トップ20校に進学する割合が多くなっている。また、米国学生2000人をサンプルとした調査では、IB取得者のSATスコアの平均点は米国学生全体の平均点を約500点ほど上回り、米国主要大学への合格率も最大で43%高くなっている。このように、海外の大学、特に主要校への進学を考える際にはIBを取得することが大きな近道になるのである。(2014年度国際バカロレア日本アドバイザリー報告書 参考資料http://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/ib/__icsFiles/afieldfile/2014/04/15/1326221_06_1_1.pdf)

さて、日本でのIBの導入状況はどうなっているのだろうか。2018年までには認定校を200校に増やすことが2013年に発表されたのは記憶に新しいが、2018年4月の時点で日本の導入校は57校に留まっている。導入が難しい要因の一つとして授業、試験が全て英語、スペイン語またはフランス語で行われるという点があるが、その難易度を緩和するため、一部の授業を除き多くの授業を日本語で行う日本語DPという特別プログラムが2015年から発足している。このように、日本政府もIBプログラムの普及と推進を行っており、今後IBを用いて海外の大学へ進学する学生も増えていくと考えられる。(Find an IB World School, http://www.ibo.org/programmes/find-an-ib-school/)

科目と採点方法

IBディプロマは45点満点で採点されるが、その内訳として7点満点の教科が6科目(標準レベル(SL)と上級レベル (HL)を3科目ずつ)と、カリキュラムの中核となる3つの必修要件を並行して履修することになる。以下は、文部科学省のウェブサイトから抜粋した履修プログラムの概要を記した表である。

表1 国際バカロレア履修科目リスト

グループ名 科目例
1.言語と文学(母国語) 言語 A:文学、言語と文化、文学と演劇
2.言語習得(外国語) 言語B、初級語学
3.個人と社会 ビジネス、経済、チリ、グローバル政治、歴史、心理学、哲学、社会・文化人類学、宗教学
4.理科 生物、化学、物理、デザインテクノロジー、コンピュータ化学、スポーツ・運動・健康化学
5.数学 数学スタディーズ、数学SL,数学HL
6.芸術※ 音楽、美術、ダンス、フィルム

※ただし、6.芸術の科目は他グループの科目に置き換えることができる。

 

必修要件:

  • 課題論文(EE: Extended Essay)

履修科目に関連した研究分野について個人研究に取り組み、研究成果を4000語の論文にまとめる。

  • 知の理論 (TOK: Theory of Knowledge)

「知識の本質」について考え、「知識に関する主張」を分析し、知識の構築に関する問いを探求するとともに、批判的思考を培う。

  • 創造性・活動・奉仕(CAS: Creativity/Action/Service)

創造的思考を伴う芸術などの活動、身体的活動、無報酬での自発的な交流活動といった体験的な学習に取り組む。

文部科学省 国際バカロレアのプログラム より抜粋

 

必修要件に関して、CASは評価項目に含まず、TOKとEEの評価結果の組み合わせで最大3点が付与される。これらの科目を全て落第せずに履修し、合格することで初めてIBディプロマが与えられるのである。今回は、IBの概要、歴史と簡単な科目紹介を行った。次回は上述した科目群の注目すべき点、授業の進め方、日本の高校カリキュラムとの差異などについて述べていこう。

次記事→国際バカロレアの授業の特徴とはー分析とディスカッションー 


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