時代の変化がもたらす、これからの教育の形(英語塾キャタル三石郷史) | バイリンガルへの道

時代の変化がもたらす、これからの教育の形(英語塾キャタル三石郷史)

時代の変化がもたらす、これからの教育の形(英語塾キャタル三石郷史)


この記事は、2015年6月30日、ラジオ”In the Dreaming Class”の内容です。ラジオ全音声を聞かれたい方は→こちら
これからの時代に対応した教育を行う上で、社会や保護者が子ども達のためにできることとは一体何か?

1.社会の変化に伴う、教育の変化

教育は、時代の流れに合わせて変わっていかなければならない

ラジオが始まって以来、これまでに25名のゲストの方々から教育についてお話を伺ってきましたが、皆さんのお話を聞いてどのように感じましたか?

ゲストの方々から様々なお話を聞く中で、教育というものが昔と比べ、非常に変わってきているということを実感しました。そしてその変化は、時代の流れに合わせて起こっているものであり、時代の変化が教育の変化をもたらしているということに気が付きました。

時代の変化とは、具体的にどのような時代の流れが、教育に影響を及ぼしてきたのでしょうか?

教育に影響を及ぼしてきた時代の流れは3つあります。1つ目は産業構造が大きく変化したことです。大量生産・大量消費の時代は、答えがあるものに対し、より速く、より多くのものを処理する能力が重宝されていました。しかし、コンピュータが出現したことで、このような能力が必要な作業はコンピュータが代わりに行ってくれるようになりました。そうなると、これからの時代に人間が求められる能力は変化し、新しい能力を養うために教育も変わっていかなければいけません。
2つ目は、多様性が進化したことです。現在の日本社会は非常に多様化しており、様々な人々が社会の中で活躍しています。多様化する社会の中で生きていくためには、自らが多様性を受け入れる必要があり、そのために教育においても多様化が求められるようになりました。
そして3つ目は、グローバル化が進んだことです。世界のあらゆる人々と関わりを持つ機会が増え、さらにインターネットの普及により、海外に住む人々との交流が容易にできる時代となりました。異なる社会や文化を持つ人々を理解し、共に生きていく力を育むために、教育も変化する必要が出てきました。

これらの3つの時代の流れに伴い、教育が変化しなくてはならないということですが、これからの時代を生きる人々はどのような力を身に付ける必要があるのでしょうか?

まず、これからの社会で人間が求められる力とは、正解のないものに対し答えを出すということです。コンピュータは、正解のあるものに対し、速く正確に処理することは可能ですが、正解のないものに対し答えを導き出す力や、新しいものを創造する力は持っていません。コンピュータが持っておらず、人間にのみ備わっている力を磨くことが、これからの時代に必要な能力を養うことへ繋がります。
また、多様性を磨くということも重要なことです。多様性とは、まず自分がどういう人間であるかということを理解した上で、世の中には自分とは異なる様々な人が存在するということを知ることから磨かれていきます。近年、大学のキャンパスをグローバル化させる動きがありますが、これは様々な国から多種多様な人々が訪れることで、異なる者同士が関わり合い、その中で新たな学びを創造し、共に多様性を養うことを可能にする取り組みです。世界中から様々な考えを持つ人々が集まってくるという「開かれたキャンパス」を作ることは、大学生の多様性を磨く手助けとなり、大学がこのように多様化することで、その変化は小・中・高等学校の教育の多様化へ影響を与えます。

2.これからの教育における試験と、教育現場の変化

思考力を養うことが、これからの教育現場の目標となる

これからの時代では、実際の教育現場においてどのような変化が求められるようになるのでしょうか?

これからの教育では、受け身な学びではなく、自分から主体的に学ぶというアクティブラーニングの姿勢が重要となります。このアクティブラーニングを可能とする授業を行うことで、「考える」という行為は楽しいことであると感じ、自ら学びたいという気持ちを育むことができます。これは学校だけではなく、家庭や塾においても同じであり、学び=楽しいという内的な動機付けを確立することが、これからの教育に求められるものです。

「考える」という行為に重視した教育を行う場合、その力を試験ではどのようにはかることができるのでしょうか?

試験では、「書く」という行為を通して、思考力をはかるようになっていきます。思考とは言語で出来ているものなので、書くことでその人の語彙力や論理的思考をはかることができます。英語の試験に関しましては、これまではリスニングとリーディングの2技能における試験が実施されていましたが、今後はスピーキングとライティングが追加された4技能の試験が行われるようになります。これは、試験を4技能化することによって、考えられる人を育てるということが目的となっています。つまり、スピーキングとライティングの試験によって、思考力をはかるということなのです。

3.多様な学びの場と、親に求められるもの

これからは多様な機関が教育と関わることで、教育の多様化を実現する

思考力を養う上でフィードバックが大切であるということですが、学校の先生方のみがすべての指導を行うということは難しいのではないでしょうか?

フィードバックを生徒一人一人に対して行うことは、学校の先生方にとって大変な苦労になるかと思います。ただ、学校のみがそのような指導を行わなければならないというわけではありません。これからは、社会全体で教育に責任を持つことが必要なのです。
今の社会は、あらゆる境界線がなくなりつつあります。学校と塾、小・中・高の各学校間、高等学校と大学、さらには学校と職場といった様々な境界線が薄くなったことにより、学ぶ内容や場所がこれまで定められていたカテゴリー内で収まらず、多様化するようになりました。このことにより、学校だけではなく、あらゆる機関が教育に対し様々な形でサポートを行うようになり、この流れこそが学校という1つの場所だけに頼るのではなく、社会全体でもって教育を推進することを可能にしたと考えます。

社会全体で教育を推進していくことが、多様化が進む社会に必要な教育を行うことへ繋がるということでしょうか?

その通りです。多様化する社会では、教育も多様化する必要があり、より多くの機関が教育に関わることで、教育の多様化を実現させることができます。昭和の時代から続く単一化した教育の形を続けていては、これからの時代に必要な力を養うことは難しいのです。教育というのは、コカ・コーラのような1つのビッグネームが君臨するようなことはあり得ません。様々な人の考えがあり、その一つ一つを上手く統合し、協働することによって、これからの教育はますます磨かれていきます。

様々な機関が教育に携わることで、今後の社会はますます多様化が進むかと思うのですが、そんな社会で育つ子ども達のために、親ができることとは何なのでしょうか?

保護者の方々にとって大切なことは、子どもの考えや気持ちを受け入れる力を備えるということです。これだけ多様化した社会の中で育つ子ども達は、今まで大人が考えもしなかったような夢を見つけ出すかもしれません。新しいものを創り出そうとする気持ちをつぶしてしまうのではなく、むしろたくさんのことを経験させ、そのような気持ちを育むサポートをしてあげることが大切です。夢は無理やり見つけるものではないので、自分がやりたいと思うことがすぐに見つかる子どももいれば、長い時間をかけてゆっくり考えていく子どももいるかと思います。そのような違いも全て個性であり、子どもが本当にやりたいと思うことを見つけた時には、その気持ちを受け入れ、一番に応援してあげることこそが、保護者の方々に求められるものであり、また保護者にしかできないことなのです。
この記事は、2015年6月30日、ラジオ”In the Dreaming Class”の内容です。