思考力と人間性を備えた、将来のリーダー教育(日比谷高校 竹内彰校長)



 

進学重点校としての取り組み

教育指針は「将来のリーダーを育てる」こと

2012年に日比谷高校の校長先生として着任されて以来、東京大学の合格率が伸び続けていますが、東大合格へ向ける何か意識的な変革はあったのでしょうか?

日比谷高校には、元々東大を志望する生徒がたくさんいますが、決して学校が東大合格という目標に向けて、それに特化した教育を行っているというわけではありません。
日比谷高校では、「将来のリーダーを育てる」ということを目標にしています。リーダーとは、0から1を生み出すことができる人、クリエイティブな思考力を持つ人のことを指します。

書くことで分かる、思考力のレベル

進学指導重点校(※1)の1つとして、日比谷高校の入試では従来の共通問題ではなく、自主制作
問題を導入していますが、その意図は何でしょうか?

自主制作問題を導入したことで、記述式の問題を多く取り入れることができるようになりました。記述式の問題は、思考力をはかる材料となります。むしろ、思考力がなければ書けない、と言う方が正しいでしょう。マークシート式の場合、ケアレスミスによって判断されることがありましたが、記述式という受験生の思考力を問う問題を扱うことで、本当の意味で高い学力があるかどうかをはかることができます。日比谷生が目指す難関国立大学の個別試験では、将来に繋がる思考力を持っているかどうかが問われており、その力を十分に持つ学生が求められています。そして、そこへ繋がる土台を持っているかどうかを、日比谷高校の学力検査問題では試させていただいています。
十分な思考力があれば、書くことができます。その力を備えた人が日比谷高校へ入り、その後難関大学へ行き、さらに将来も活躍していきます。学びは必ず、将来へ繋がっていると考えているのです。

(※1)進学指導重点校:東京都教育委員会指定により、進学指導の充実を図り、進学実績向上に重点をおいた都立高等学校。

実績を残す学校の取り組み

進学指導重点校としてのメリットは何でしょうか?また、教育の質を維持するための取り組みを教えてください。

先程お話ししました自主制作問題を導入することができるということと、東京都教育委員会の支援を受けていますので、公募制人事の配置が可能であったり、プラスαの予算をいただいたりすることができます。
教育の質を維持する上で、教員や生徒のモチベーションを高めることがとても大切であると考えています。日比谷高校には専任教員56名、非常勤講師を合わせると70名近くの教員がいますが、その全員に対して年2回の授業見学を数か月に渡って行います。見学後は副校長と共に面談を設け、良かった点や期待したい点などについて話し合います。優れた教員のノウハウは他の教員と共有するなど、教員一人一人の指導を伸ばす取り組みを行っています。

「新しい知識を学ぶことが面白い」と思える工夫のある授業

かなりの勉強量が生徒の目標となっていますが、自学自習を行う上で生徒のモチベーションを維持するためにどんな工夫をしていますか?

生徒のモチベーションを維持するために、教員が心掛けたいことの一つが、授業の中で一方通行な知識の伝達が行われるのではなく、生徒にきちんと考えさせる場面を作るということです。生徒がそれぞれの頭で考えたことを自分の言葉で表現し、また自分と異なる考えを聞くことで自身の思考を深めていくということが、集団で学ぶ面白さです。
実際の授業において、1クラス40人の一人一人の意見を聞いていくことはなかなか難しいことです。教員はあらかじめ発問を用意していく場合や、英語の授業であればペアワークやグループのディスカッションをする機会を作ることで、意見交換をスムーズに行える環境を用意する工夫をしています。
新しい知識を学ぶことが面白いと思えるきっかけが授業にあるべきであり、そのきっかけを多く持つことで、学校の外でも自分で学びを深めていくようになると考えています。自学自習の確立は、授業がきっかけになるということです。高校以降の学びは、与えられるものではなく、自ら学ぶ姿勢へ転換する時期です。その転換ができる生徒が、大学でも学問探求に目を向けていくことができるのです。

 

日比谷高等学校の英語教育

4技能を高める、オールイングリッシュの授業

日比谷高校で行われている英語教育の特徴を教えてください。

日比谷高校では、以前は日本語による英語の授業が行われていました。しかし3年前に、英語における4つの技能を高めるために、英語の授業は原則英語で教えるというスタイルへ転換しました。この最初の転換期に関わった生徒が、今年の春(2017年3月)に卒業しました。今はこのスタイルを継承しています。細かいところではまだまだ修正が必要ではありますが、世界へ出ていくための英語力を身に着ける準備・取り組みが、ちょうど確立したところです。

ALTと日本人教員の豊かなコミュニケーションが授業の質を上げる

オールイングリッシュの授業を行う上で、日比谷高校で勤務されている英語の先生やALTの方々の様子はどういったものでしょうか?

現在、日比谷高校で勤めている英語教員は全員、文科省が学校の教員に求めている英語力であるCEFRのB2(※2)以上のレベルをクリアしています。また、ジェットプログラム(※3)によって派遣されているネイティブスピーカーの教員が2名常駐しています。
日本人の英語教員がB2レベル以上の英語力を持つことで、ティームティーチングの授業を有効に機能させることができます。近年、学校の教員の英語力が低いことが話題になっていますが、授業の中で生徒が4技能を高められる仕掛けを作っていくことがより重要であり、そのために必要な英語力を教員は持つべきであると考えています。
ALTとのコミュニケーションは、授業内容を豊かにするために必要不可欠であり、教員同士のコミュニケーションが豊かであればあるほど、授業の質は磨かれ、それは生徒の英語力向上という結果に反映します。ALTもとても優秀で、日本人教員に教材を提案してくるといった様子もあり、今では相乗効果によって英語の授業がより良いものに作り上げられています。

※CEFR(セファール):語学のコミュニケーション能力別のレベルを示す国際標準規格。B2は英検準1級レベル相当。 
※ジェットプログラム:地方自治体が実施する「語学指導等を行う海外青年招致事業」の略称。

有名大への訪問や複数の交換留学先が選べる、充実した海外交流

生徒が海外へ行く機会はありますか?

夏休みを利用した海外派遣研修を2つ用意しています。1つはアメリカ西海岸へ行くコースであり、スタンフォード大学、シリコンバレーを訪れた後、ハワイ島へ飛んでフィールドワークをするというものです。もう1つは、ボストン・ニューヨークへ行くコースがあり、ボストンではマサチューセッツ工科大学、ハーバード大学を訪れ、ニューヨークではアスペン研究所を訪問後、専門家の前で食料問題に関するプレゼンテーションを行うといった内容です。どちらのプログラムも、生徒の多様性を深める充実したものとなっています。
また、今年度からニュージーランド、韓国の学校と姉妹校交流を行うので、短期の交換留学も可能となります。

 

多様性を深める全人教育

文武両道を貫く中で豊かな人間性を育む

生徒の多様性を深めるために、充実した海外研修が行われているということでしたが、普段の生活の中で多様性を深める工夫はありますか?

日比谷高校には、139年間変わらない校風があります。それは、学習とともに行事や部活動にも熱く取り組むという文武両道の姿勢です。現在、全校生徒の94.1%が部活に所属しています。各界で活躍する先輩方がたくさんいますが、全ては文武両道を貫く中で、平行して豊かな人間性を育んでいくという全人教育がベースとなっています。1年生の時から学習・生活・進路に対する意識をできるだけ高く持ってもらうために、担任は年4回、生徒と面談を行います。
また、日比谷高校では昔から、学年が上がってもクラスを文系・理系に分けることはしていません。選択科目の授業が行われる際に、それぞれ教室を移動して分かれるというだけです。文理に分けないことで、様々な知識や能力を持った生徒が1つのクラスに入り混じっており、それは生徒の多様性を深めることへ繋がります。
このような環境で精一杯努力してきた人達が、今の社会でも活躍しており、生徒達もこの姿勢を引き継いでいます。決して勉強だけの生活ではありません。

思考力を高め、将来のリーダーへ

2018年までに国際バカロレア認定校を200校まで増やすという政策がありますが、このような英語に特化する取り組みについてどう思いますか?

グローバル化が進む中で、英語教育の質を高め、さらに生徒の4技能習得率を高める上で優秀なプログラムは、いずれどの学校でも使われるといった方向になるかもしれません。しかし、まず母語である日本語において思考する授業がベースとなり、生徒の思考力を十分に高めていかない限りは、なかなか難しい話であるとも考えます。
将来のリーダーとして活躍するためには、まず十分な思考力を養う必要があります。生徒一人一人の多様性を深めることで、豊かな人間性を育み、それは世界へ大きく羽ばたく力へとなっていきます。

この記事は、2017年4月7日、ラジオ”In the Dreaming Class”の内容です。ラジオ全音声を聞かれたい方は→こちら


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