秋田から世界へ 国際教養大学が牽引する21世紀の教育とは


 

授業は全て英語

―1・2年目で疑似留学、3年目で海外留学のダブルトラック構造

秋田市の南、豊かな森の中にある国際教養大学のキャンパス。敷地に入ると、すれ違うのは多くの外国人留学生。授業は全て英語で行われ、365日24時間開館の図書館やコンピュータールーム、学生寮では、日本全国・世界各国から集まった学生たちが「英語で」学び、日常生活を送っている。
今年開学13周年の新しい大学が実施している、21世紀のグローバルな人材を育む教育とはどんなものか、学長の鈴木 典比古(のりひこ)氏にお話を伺った。

大学院も含め約800名の学生のうち、約200名が外国人学生。これは、3年次で全員が必ず海外に留学をするため、交換留学生として迎え入れるからである。入学直後から学生たちは、外国人留学生とともに寮生活をし、英語で学び、友と語らい、多文化が共生する大学生活を送ることとなる。

「これは1年次から疑似留学体験をしていることになります」と鈴木学長はおっしゃる。3年次で本当の海外留学をする前に、国際的な生活環境に身を置き、英語を日常のツールとして生活する。その中で、英語で自己表現をすることや、責任感を持って自己管理する能力を身に付け、そして海外留学へ。この2段階の経験が、国際教養大学が掲げるAIUスピリット「向上心やチャレンジ精神に溢れたグローバルリーダーへ」と学生を育んでいく、理想的なカリキュラムと言えよう。

また、3年次での海外留学も、世界47カ国186大学と協定を結んでおり、学生はその中から第6志望までを提出する。これは、一つの大学に一名、という条件からであり、群れを作らず、一人で行って一人で生活を切り開いてほしい、という大学の方針だそうだ。

都会から離れたやや不便な立地についても、鈴木学長は「理想的な教育の現場」と胸を張る。同じようなリベラルアーツの大学は世界に500~600くらいあり、特にアメリカでは多くの場合はわざとそういう場所に作られているそうだ。自分を見つめて、学問に没頭してほしい、という学生への強い思いが込められている。


写真:国際教養大学ホームページ www.aiu.ac.jp より

 

リベラルアーツ

―異文化との交流を通じて自分という「個」を見つめる・探す

では、国際教養大学で学ぶ「リベラルアーツ」とは、いったいどんな教育なのだろうか。
言葉自体はアルテス(技芸・美術)リベラーレス(自由な)というラテン語から来ており、自由になるための技芸、という意味を持つ。戦後日本に入ってきて、国際キリスト教大学の教養教育や東京大学の教養学部で行われた教育とされている。

鈴木学長の前任で、初代学長である中島氏は「秋田の地に、日本にはない、21世紀に通じる大学を作る」という理念から、グローバル化時代の新たな教養教育を掲げた。後任に、国際キリスト教大学の学長であった鈴木氏が就くことによって、さらに真のリベラルアーツへと、第二段階を迎えている。

リベラルアーツは、自然科学・人文科学・社会科学という3つの分野をバランス良く統合した教育、と定義されている。国際教養大学では、それをカリキュラム的に「全て英語で行う」という国際性を加え、豊かな教養とグローバルな知識、外国語のコミュニケーション能力を備えた国際人を養成することを目指している。

しかしこの3つの分野を統合した教育を英語で受けることが、自分の将来とはあまり関係がない、と不安に感じる学生はいないのだろうか。在校生に尋ねたところ「リベラルアーツで学んでいるのは考え方なんです」という答えが返ってきた。
鈴木学長は学生がこのように答えたことに満足し、付け加えた。「就職して社会に直面した時に、自分は文系だから、理系だから、ということで、理系のことは、文系のことはわかりません、とは全く言えないですよね。21世紀以前の教育では、こういう学問を積んできたから、こういう就職をして、というように、キャリアが一直線になっていたと思います。21世紀以降は、もっと自分の適性、自分が変わっていく中で職業も考えていく必要があると思います」

では、長く日本で重視されてきた、専門性を学ぶ大学と、リベラルアーツ大学とはどう違うのか。科学が発達した昨今、一見時代に逆行しているように思えるリベラルアーツ教育が注目されるのはなぜか。鈴木学長は「これは逆行ではなく、科学が進展した結果なんです」と言い切る。
「サイエンスとテクノロジーは、進展すればするほど、新しい分野や細かい分野に広がっていく。細分化されていくと、どういう方向に行こうとしているのか、もう一度それを統合して全体を眺める必要がある。つまり、科学の発達によって、細分化、統合化、細分化、統合化という繰り返しが起きる。今はおそらく、統合化を意識せざるを得ないような、細分化の限界にまで来ているのだと思います」


写真:国際教養大学ホームページ www.aiu.ac.jp より

 

国際教養大学の学生たちはみな夢を持っている

―リベラルアーツ教育の特徴とは

「自分はどういう個なのか?過去の個はこうだ、現在の個はこうで、将来の個はどうなんだろう、と考えることにより、自分はこういう個でありたい、という目標が出てくる。自分の個を見つめる・探すというのは、将来の自分を探すということ、これは非常にきびしい自己に対する問いであり、その意味では、リベラルアーツというのは決して生易しい勉学ではない。しかし自分に対する責任と夢があるということは、なんとダイナミックで幸せなことか。
本学に入ってくる学生は、真っ白なキャンパスを与えられています。絵具も筆も与えられています。どういう絵を描くかは自由。だけど、描かなければいけない。自由と責任の両方を与えられているのです」

リベラルアーツを理解するうえで非常に興味深いのがこちらの入試問題である。90分の時間がありながら、設問はたったの1問、「300字でエッセーを書きなさい」とあり、水が売買されることもあるが、本来誰のものでもない水がビジネスにもなっていることをどう思うか、という要旨の英文が書かれている。この設問は受験生のどんな力を見ているのだろうか。

「もちろん英語の試験だから英語で答えなければならないのですが、問われているのは、地球の中で飲める水は限られており、しかも人間は水なしでは生きられない、限られたものを人類がどのように維持しながら、あるいはシェアしながら、生き延びていけるのかということです。今の人類社会、各国の民族社会を見ても、理想的な解決法はないのです。答えはひとつではない。これは知識を問うている問題ではなく、自分の考えをひねり出してもらうことを求めています。世の中を生きていくには、考えるという力が必要です。それは辛いことではあるんだけど、同時にすごくやりがいがあって、エキサイティングなことだということを理解してほしいのです」


写真:国際教養大学ホームページ www.aiu.ac.jp より

 

教育満足度99.9ポイントで1位

―さらに高いところを目指した教育へ

タイムズハイヤーエデュケイションという、世界で最も権威のある世界大学ランキングのひとつが、このたび日本だけのランキングを発表した。東京大学、東北大学、京都大学などと名だたる大学名が続き、国際教養大学は総合20位にランクインした。創立わずか13年の大学としては驚くべき評価だが、さらに驚愕の数字がある。評価には4種類の尺度があり、その中の「教育満足度」では、なんと99・9ポイントで第一位になったのだ。これについて鈴木学長は、教育満足度は最も重要な指針だと思っているので、学生が本校の教育に満足しているということは非常に嬉しい、と喜びながらも、襟を正した。
「開学をした時の人たちの情熱、理念、中島前学長のリーダーシップ、それらが脈々と続き、14年目に入る今、落ち着きを取り戻している。私たちはこれに安住することなく、あと一歩高みにのぼっていかなくてはならない。教員も職員も、我々が目指しているものは、まだ創り上げている途中にあるんだと思ってくれている」

最後に、鈴木学長に、もし時間や場所やお金の制限がないとしたらどんな授業をしたいか、夢の授業について伺ってみた。

「地球というのは限りがあります、全宇宙から見たらケシ粒くらいの大きさです、そこで我々は限りある人生を生きている、そういう絶対的な真理と矛盾の中で生きていかなければならない段階にきています。そんな中での教育は、自分を、人間を相対化しながらも真理を追い続け、そこに問いを求めていかなければならない。みんなで船に乗って、地球を航海して、なんと広い世界なんだろう、そしてそこから空を見上げれば、人間はなんと小さい存在なんだろうと、2つを同時に体験できるような授業がしたいですね。」

秋田から全世界へ。英語力だけではない、知識だけでもない。国際教養大学のリベラルアーツは、世界規模での個を確立できる力、自分で考える力、国際社会で活躍できる力が培われる、21世紀型の教育として、これからの時代を牽引していくだろう。

この記事は、2017年5月5日、ラジオ”In the Dreaming Class”の内容です。ラジオ全音声を聞かれたい方は→グローバル化時代の新たな大学へと進化(国際教養大学 鈴木理事長)


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