大学でぶつかった壁、乗り越えて得られた自信。英語で開いた可能性で飼沼さんが次に目指す舞台は、国連。 | バイリンガルへの道

大学でぶつかった壁、乗り越えて得られた自信。英語で開いた可能性で飼沼さんが次に目指す舞台は、国連。

大学でぶつかった壁、乗り越えて得られた自信。英語で開いた可能性で飼沼さんが次に目指す舞台は、国連。

現在、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校に通う飼沼さん。
日本とアメリカで過ごしてきた中で、ご自身が認識するアイデンティティに変化が生まれてきたといいます。また、イリノイ大学に進学できた要因でもある、持ち前の向上心や目標に向かって突き進む力はどうやって培われてきたのでしょうか。大学生活や、これまでの学習スタイル、そして将来の夢についてお聞きしました!

飼沼さんの海外歴と学校歴

中学校 東京女学館
高校 東京女学館
大学 アメリカ イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校(University of Illinois)

英語の所持資格

TOEFL 108点      SAT 1980点

英語のことだけ考えて過ごした高校時代

朝5時からエッセイ、お風呂では単語の勉強

中高は日本の学校で過ごし、大学からアメリカに留学を果たした飼沼さん。
もともとあった強い向上心や、自身のアイデンティティの元となる体験を経て、英語に対して並々ならぬ努力を続けてきました。
猛勉強を続けて成長を実感できたことの楽しさや、自分が勉強を頑張ることで周囲が喜んでくれた体験も原動力となり、飼沼さんはその英語力をどんどん伸ばしていきました。その積み重ねから、見事アメリカ イリノイ大学への入学を実現しました。
※最新の世界大学ランキング2018で、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校は37位、東京大学は46位

英語に本気で向き合うために課したストイックな勉強法

日本では、英語をどのように身につけたのですか?
母がアメリカ人なのもあり、小さい頃から家では英語で会話をしていました。しかし会話レベルの英語をしゃべることとリスニングする事しか出来なかったので高校でやっと英語を勉強するようになりました。
女学館では国際学級に入っていたため、ネイティブの先生に英語を教わる事が出来たのは大きかったと思います。アメリカの大学に入学したいと決めた高2の頃からは本気で勉強するようになり、色々な方法で朝から晩まで英語能力を延ばそうと努力しました。

飼沼さんが実践していた超ストイックな勉強法!

– 毎朝TOEFLかSATのエッセイを一つ書き、母に添削してもらう。

– 楽しんで読める本、速読の為に読む本、知識を広げるために読む本の、3種類の読み物をする。

– 読むスピードを速めるためにタイマーを使ってNational Geographicの世界史の記事を毎日読む。
(学校の世界史の授業で習っている範囲を読むことで、中間と期末試験対策も兼ねる)

– 難しい読み物に慣れるためにTIMES誌、National Geographic、Japan Times新聞などを読んで幅広いトピックの難しい単語を調べる。

– SATの単語帳を毎日10単語ずつ覚える。
青ペンで書いたり、prefixesやsuffixes(※)を意識したり、一日の中で会話で必ず一回は使うなどして覚える。
(※)prefixes…接頭辞。unluckyの「un」など。 suffixes…接尾辞。kindessの「ness」など。

– エッセイを書くときのアイディアを豊富にするために歴史上の人物の英語版Wikipediaと、クラシック(To Kill a Mockingbird, The Color Purple, The Catcher in the Rye, etc.)の書籍を英語で読む。

日本に帰国後、英語力維持の方法があれば教えてください
実家での母との会話以外にキャタルで教えている事で常に英語に触れ合っていられるなと実感しています。特に『Reading for the Real World』というテキストを読んでいる生徒さんを教えている時は、私も勉強させていただいている事が度々あります。
また、読書が好きなので常に何冊か英語と日本語の本を平行して読んでいます。

子どもの英語学習にお勧めの洋書1冊

From the Mixed-Up Files of Mrs. Basil E. Frankweiler


小さい頃は英語での読書が苦手でしたが、この本は面白かった印象が強いです。
ニューヨークに住んでいる女の子が弟を連れて家出するお話ですが、後半はミステリーを解決していく設定です。是非読んでみてほしい一冊です。

努力の積み重ねが実を結び、手に入れた憧れの大学への進学

なぜ今の大学に進学を決意したのですか?
小さい頃からアメリカの大学に行きたいと思っていました。
アメリカ人と日本人のハーフとして日本で育ちましたが、大学を機にもう一つのアイデンティティであるアメリカとつながりたいなと思いました。
家族が日本に住んでいるので、高校までは日本だというのは決まっていましたが、大学からはアメリカに行って良いと言われていました。
イリノイに決めたのは母の実家がシカゴ近郊だという事と、いとこがイリノイ大学にいたからというのが大きいですが、大きなキャンパスに惹かれたというのもあります。


the University of Illinois at Urbana-Champaign Official Instagramより構内の風景

色々な人と会う機会、そして色々な事に挑戦する機会を与えてくれるキャンパスなので、イリノイ大学に決めて良かったなと思っています。
また、イリノイ大学はソロリティやフラタニティ(※)という文化がとても特徴的なところです。卒業生も含めた先輩後輩の関係性が非常に強く、そこで様々な活動も行われています。就職に役に立つこともあれば、親が入っていたソロリティ・フラタニティを希望して大学に入学する生徒もいます。

(※)ソロリティ・フラタニティ(Wikipediaより抜粋)
アメリカ合衆国やカナダなど北米において、フラタニティとソロリティは大学・大学院など高等教育の男子寮、女子寮あるいは学生のための社交団体を表す用語として最もよく知られている。

環境の違いに戸惑いながらも、持ち前の向上心と行動で取り戻していった自信

海外で苦労したことやそのエピソードはありますか?
社交面では、日本生まれ日本育ちだったので、他の生徒が小さい頃に触れてきた文化など、アメリカ育ちのみんなが共通して持っている体験に付いていけないときに、常識がないと思われてしまうのが嫌でした。
家では普段から母と英語で色々な会話をしていたこともあり、他の生徒からは、留学生だと思われていなかったようです。

大学では模擬国連に入ったのですが、私よりよっぽど世界情勢を知っている理系の学部生がディベートをしている様子を見て、自信を無くす日が続きました。
日本では「英語が出来る」分類に入るけど、英語が出来て当たり前な環境に自分を置いてしまった以上、誰も同情してくれないんだなと感じました。
周囲の学生のレベルも高く、日本の生活での「英語が出来る」だけでは、授業も通用しなくなりました。
そんな環境の中で、自分には何が出来るのかを考えるようになりました。


模擬国連の会議に参加した仲間と。生徒同士でのグループワークで、横のつながりも強くなるそう。

学業面では苦労した事も多々ありますが、それが逆に自信につながったと思います。
私はPolitical Science(政治学)学部なので、ペーパーの課題が非常に多いです。高校までSATやTOEFL用の20分で書くエッセイしか主に書いた事がなかったので、10ページの課題などは苦労しました。
しかし自信があまりなかった分、怠慢にならず頑張れたのもあり、締め切り一週間前には一回書き上げて周りの人たちにフィードバックをもらう習慣がつきました。
また、日本の高校で文法をしっかり学んできたおかげで、アメリカ人の生徒が分からないことを、自分が知っていることもありました。文法やスペルが意外と適当な生徒もいて…。
自分が積み重ねてきた勉強が活かされたことで、自信にもつながりました。

大学では、どのように授業が行われているのですか?
イリノイ大学では多様性を尊重し、色々な面から政治学や心理学を学ぶ事が出来ます。また、生徒同士の意見の交換やグループワークが多いように思います。
私のキャンパスは大きい分(生徒約4万人)、教授と関われる時間が限られており、モチベーションが高い生徒やよく発言する生徒でないと教授に認識されない事が多いです。
その分オフィスアワーという時間が設けられていて、教授と個人的にお話しできる機会が週に1〜2時間ほどあるので、積極的に学びたい姿勢があれば教授に手伝っていただいたり、コネクションを広げたりする事も出来ます。
本当に自分の努力次第で大学での経験が形作られるのだなと実感しました。


アジア系の留学生も数多く在籍。前列一番右が飼沼さん