単語の暗記だけではダメ!英会話が上達する勉強法 慶應大 杉本さん | バイリンガルへの道

単語の暗記だけではダメ!英会話が上達する勉強法 慶應大 杉本さん

単語の暗記だけではダメ!英会話が上達する勉強法 慶應大 杉本さん

杉本さんの海外歴と学校歴

0-9才 日本
6-9才 新座小学校
9-11歳 Point Vicente Elementary School(アメリカ・ロサンゼルス)
12-14歳 Palos Verdes Intermediate School(アメリカ・ロサンゼルス)
15歳 西大和学園カリフォルニア校
15-18歳 慶應義塾志木高等学校
18歳〜 慶應義塾大学 経済学部

英語の所持資格

英検1級、TOEFL 116点

 

ある勉強法のおかげで英会話に困らなくなった

—渡米した時の英語力は?

渡米した時は、ほぼ英語がわからない状況で現地校に入りました。日本では英語の勉強をしたことがなかったので、最初の1年間は学校に行っても日本語が話せる2人としか会話することができず、苦労しました。そこで私の英語を変えたのは、家庭教師に教わったある勉強法です。それは、用意された英単語を使って自分で文章を作り、書く練習を重ねることでした。
例えば、英単語をそのまま覚えただけでは実際のコミュニケーションで応用できませんが、自分で文章を作る練習をしておけば会話でもとっさに自分の伝えたい表現が出てきます。
そのため、家庭教師とは英会話の練習は行いませんでした。会話の練習をするよりもまず、英語の表現を覚えることの方が重要だからです。英語表現が乏しいと、同じ言い方しかできなかったり、自分の考えていることを伝えようにも稚拙な表現しかできません。

また、家の外に出れば全て英会話の練習になるので、家庭教師とは、ひたすら書いて文法や単語、表現を増やして英語の使い方を学びました。文章を書く練習を重ねたことで伝えたいことを自分の言葉で表現できるようになりました。その結果、1年位で会話には困らないようになりました。
最初はアルファベットから始めた勉強も、3年ほど取り組んでいると現地の学校で行うライティングにも取り組み始めることができるようになりました。

自分の意見をうまく伝えるテクニックはエッセイライティングで学んだ

小6になると、与えられた単語で文章を作ることはできるようになってきたので、今後現地の学校で取り組むことになるエッセイライティングに早めに挑戦し始めようということになりました。
エッセイライティングは小論文と同じで、自分の意見を論理的に述べる文章を書くことです。エッセイは書き方の型が決まっていて、イントロ・理由・結論、という順序で書いていきます。また、書き始める前の準備として、別の紙にまず最初にテーマを書き、なぜ、どこで、などの質問を書き出し、エッセイを書く材料を揃えます。この、エッセイライティングの書き方を徹底的に学んだことでスピーチやプレゼンでも自分の意見をうまく伝えられるようになりました。
エッセイをうまく書けるようになると、論理的思考力(ロジカルシンキング)や批判的思考力(クリティカルシンキング)が身につくため、スピーチやプレゼンで自分の意見を相手に伝わるように、上手くできるようになりました。

—具体的に、どんな風に役立ったのでしょうか?

エッセイの評価基準は論理構築ができていることであり、事実らしいことが評価されるわけではありません。そのため、自分の意見をうまく伝える力は非常に鍛えられたと感じており、特に学校のプレゼンでは自分の意見を上手く伝えることができたと思っています。一例ですが、9.11の事件はテロリストによるものと報道されているがそれ以外の説を主張する、というプレゼンを行いました。そのような答えがないテーマに対して文献で裏付けを集め、どれだけ沢山の人から賛同を得られるかが問われました。
また、自分の意見をうまく伝えることができると、自分より知識がある人と口論になった時でも優位に立つことがでるという利点もあります。私はエッセイの書き方を学んでいたおかげで姉と口論した時にも、ほとんど負けたことはありません(笑)

日本語力を上げることが英語力を上げる手がかりになった

同じく小6の時に、英語はわかるようになってきたけれど読解問題が解けない、という時期がありました。その時私は日本語を忘れかけていたのですが、親が日本の塾に入れてくれて、国語(日本語)に取り組んだことで文章を読み理解する力を身につけることができました。読解力とは、イメージの中から要点を見つける力だと思います。塾で日本語の文章でしたが、要点を見つける力を付けられたことが、英語の読解に役立ったのでした。このように、取り組み方を変えると、それが英語力を伸ばすヒントになることもあります。
ちなみに、TOEFLは読解力が問われるテストなので、文章を理解する力を身に着けているとTOEFLにも有利です。

好きなことを自ら学びにいく、アメリカの教育

アメリカの学校は、自分の学びたいことをどんどん学べる仕組みになっていました。 日本のように教室で待っていたら先生が来て教えてくれる形式ではなく、大学での講義のように先生が待っている部屋に生徒が授業を聞きに行くというシステムで、形からも自分から学びに行くという姿勢が作られていたように思います。また、科目のみ飛び級できるようになっていて私は数学が得意だったので飛び級して学んでいました。小5の時には親に車で送ってもらい、学校をまたいで中学に数学の授業を受けに行っていました。
それだけ通学に時間をかけても、自分の興味があること、得意なことはどんどん学ぶことができるので、勉強の好奇心は満たされていました。

自由な校風で慶應大学へも進学できる慶應志木高校

—アメリカには中3までいましたね。帰国後に進学した慶應志木高校は、どのような高校でしたか?

中2の時、バレーボール部の仲間と。後列中央が杉本さん

中2の時、バレーボール部の仲間と。後列中央が杉本さん

慶應志木の魅力には3つあります。自由な校風であること、部活動が充実していること、また卒業すれば慶應大学へいけることです。
まず、自由な校風が魅力的でした。高校は、何を選択しどのように行動するかは生徒自信に委ねられていました。以前、生徒自身が自分たちの考えを学校側に伝えたことでそれ以降私服登校が可能になったということがありました。そのように、何を着用して通学するかということも自由に生徒自身が決めることもできましたが、同時に責任も伴うため、高校生活で自律した考えを持つことができるようになりました。
また、部活動も大変充実していて良かったです。私はボート部を選びました。アメリカでは空手や陸上といった個人競技に取り組んでいたため、チームで行うスポーツに挑戦してみたかったからです。成績は全国大会3回とインターハイ2回、国体選抜にも選ばれ、充実した高校生活に一役買っていました。
さらに、受験勉強の時間を部活動に充てられたことでこのような結果にも繋がったと思います。

読書とエッセイライティングで英語力を維持した

—帰国後、英語はどのように維持しましたか?

読書を通じてインプットを続けることと、エッセイライティングでアウトプットを続けることが、帰国後に英語力を維持・向上する方法でした。
まず、帰国後も毎日英語に触れてインプットし続ける方が良いと思ったので、興味があることは英語の本を探して英語で読むようにしていました。本を通じてプロの正しい文章に触れ続けることができるので、自分が忘れかけている表現や単語を思い出すことが出来ますし、新しく学ぶこともできます。

—どのような本を読みましたか?

私は神話が好きなので、英語で神話を読みました。神様の名前は日本語のカタカナで表記されているより英語の方がしっくりくるので日本語で読むより楽しめたというメリットもありました。

子どもの英語学習におすすめの洋書は?

Percy Jackson シリーズ
ギリシャ神話の神様のお話しです。
一つの本で完結するストーリーですが、1冊読むと面白いのでもっともっと、と10冊くらい読みたくなる本です。
勉強は楽しくないと続かず、続かないと意味がないと思うので楽しんで沢山読めるこのシリーズをお勧めします。

英語ができると、全員と一体感を得られる

—バイリンガルでよかったと思えた瞬間とは?

英語が話せることで学問の幅や、趣味の楽しさの幅が広がったと感じています。
大学ではアートとファッションについて勉強しているのですが、調べ物をしていると日本語の文献は限られており、英語の文献が読めることで最新の情報を得ることができますし、幅広い文献を読むことができています。
また、英語を話せることでその場にいる全員と一体感を得られるので英語が話せて良かったと感じています。私は大学でダンス部に所属していますが、毎月表参道である音楽とダンスのイベントでは、英語が母国語ではない人も皆英語で話しています。ダンスや音楽は、一人で楽しむより大勢で共有した方が楽しさが広がるものです。そして、英語ができたら、より多くの人とつながることができます。
このように、学問でも趣味でも、英語ができることによってより深く学ぶことができたりより多くの人と楽しさを共有することができています。

英語ともう一本の柱を持つことが、伸び悩みを解決してくれた

—最後に、英語を勉強している方々へメッセージを!

英語力を伸ばしたい、伸ばしたいとそれだけになってしまうと、必ずある壁にぶち当たった時に辛くて心が折れてしまうと思います。ただ、その時に他にも好きなことや自信をもって取り組めるもう一本の柱を持っていると、自信を取り戻して英語も上手くいった、ということがありました。
私は、自分の強みだと思っていた英語が自分よりできる日本人が沢山いることに自信を無くしてしまったことがありました。その時に一旦英語のことは忘れて部活に熱中し部活で結果が出たことで、それが自分の心の拠り所になり自信を取戻し、英語を磨くことへも前向きになれました。
また、英語ができるようになると楽しいことが増えていくので、つまらない時、なかなか上達しない時でもあきらめず取り組み方を変えて学習し続けてください。