スワースモア大学(Swarthmore College)他のリベラル・アーツ校にはない工学の学位を出す【National Liberal Arts Colleges Rankings #3】 | バイリンガルへの道

スワースモア大学(Swarthmore College)他のリベラル・アーツ校にはない工学の学位を出す【National Liberal Arts Colleges Rankings #3】

スワースモア大学(Swarthmore College)他のリベラル・アーツ校にはない工学の学位を出す【National Liberal Arts Colleges Rankings #3】

スワースモア大学(Swarthmore College)の概要

スワースモア大学はペンシルベニア州スワースモアにあるリベラル・アーツの名門私立大学だ。1864年の創立で、アメリカ屈指の難関校である。学生数1,500人余りの小規模な大学ながら、5名のノーベル賞受賞者を出すなど、この大学の学問的水準は只ならぬものがある。卒業生がPhdを取得する率では、理系のカリフォルニア工科大学、ハーヴェイマッドカレッジに次いで全米第3位(2006年)だ。各種ランキングでも、スワースモア大学は常に上位を占めている(2014年のForbes大学総合部門で第3位、2012年の Best Collegeで全米第3位、同年US Newsで第3位、Princeton Reviewでは2009年から3年連続第1位)。学生たちは勉学の厳しさから自分たちのモットーを手造りした:「ほか(の学校)ならオールAだ!」(Anywhere else it would have been an A)

スワースモア大学(Swarthmore College)の基本情報

創立:1864年
校訓:The Mind The Light
大学属性:私立
学生数:約1,520人
共学/別学:共学
専攻: 1位 economics 2位 biology 3位 political science
ノーベル賞受賞者数:5
学期:セメスター制
学費:学費 約$46,000/年 寮費&食費 約$14,000/年
男女比:女子781 (50.9%) /男子753 (49.1%)
学生/教員比:1/8
必要なTOEFL点:
入学率:12.2%(2014-2015)
留学生の割合:8.3%

スワースモア大学(Swarthmore College)の特徴

スワースモア大学はフィラデルフィアの南西11マイル、425エーカーの樹木林がキャンパスだ。キリスト友会(クエーカー)が創設した大学だが、いまでは宗教的なつながりはない。学生もクエーカーは7%ほど、協議員も15%ほどだが、高等教育の有り様についてはクエーカー思想が滲んでいる。紛争や見解の相違は非暴力で解決し、他人へは奉仕の心で臨み、社会的、経済的正義を求め、日々の生活に親切心を忘れず、などの理念が生きている。

スワースモア大学はこのほど第15代新学長を迎える。ヴァレリー・スミス女史はアフリカ系アメリカ人で、現在プリンストン大学学部長である。専門はアフリカ系アメリカ文学と文化で、スワースモア大学初のアフリカ系アメリカ人学長になる。

三学コンソーシアム

スワースモア大学は、ブリンマー、ハバフォードと「三学コンソーシアム」を組んでおり、近接のペンシルバニア大学ともコースを取り合っている。学生の20%が博士課程を済ますというのは全米でも3番目に高率だ。スワースモア大学はほかのリベラル・アーツ校にはない工学の学位を出すことでも知られている。学生と教員の比率は8:1、74.9%のクラスが平均20人弱という少人数で、相互の関係はごく緊密だ。

Black Cultural Center(BCC)が生まれた理由

スワースモア大学に数ある施設の中から、Black Cultural Centerに注目しよう。BCCと愛称されるこの施設は、多様性を掲げるこの大学の教育理念に沿って、キャンパスに多文化的な生活・学習環境を醸成し、学内外の黒人社会に意味あるインパクトを与えるために、学生たちのリーダーシップを育て、キャンパスに活力ある、包含的な黒人コミュニティーを実現し、黒人の伝統と慣習、経験の広さと深さを認識しようという目的意識がある。

この施設が生まれたきっかけは、学生の抗議運動であった。1969〜70年、学内での黒人学生の文化的、社会的経験をより豊かにするために、また周辺の黒人社会と緊密かつ効果的な連携を図るために、黒人学生のために「学内の一般的な生活環境に沿いながら、かつ異なった生活の機会を与える」ことの必要性が叫ばれた。何段階かの交渉を経て、70年3月、時のクロス学長はセンターの設置と運営を決定した。今やこの施設は、“The House”と愛称されて、スワースモア大学の活力ある生産的なコミュニティーの”ハブ“になっている。

5名のノーベル賞受賞者

スワースモア大学からは5人ものノーベル賞受賞者を輩出している。卒業生には各界で活躍する著名人が多く、米国大統領候補のマイケル・デュカキス、ロバート・ゼーリック世界銀行総裁、宇宙飛行士でカリフォルニア大学教授のサンドラ・ファバー、米国で博士号を取得した初めての女性ヘレン・ホワイト、変わり種では小説家で哲学者ヘーゲルの曾々々孫のルーディ・ラッカーがいる。日本人では、元駐米大使で外務事務次官の佐々江賢一郎、外交評論家で首相補佐官、内閣官房参与の岡本行夫、儀典長の渡邉允などがいる。

まとめ

スワースモア大学は日本とは縁の深い大学だ。東京大学とは学術協定を結んでおり、交換留学が行われている。また、外務省は新人の外交官を英語研修のためにスワースモア大学に送っている。ちなみに、スワースモア大学図書館の一つFriends Historical Libraryはクエーカーに関するコレクションでは世界一だ。自身クエーカー派に帰依した新渡戸稲造博士の書簡、メアリー夫人の実家、エルキントン家からの寄贈も多い。Nitobe、Elkintonの名前がついたフォルダーボックスが多くある。

また、この大学には将棋クラブがある。Swarthmore Shogi Clubだ。フェイスブックのデータでは、日本から専門棋士を招いての研修もあり、写真の一枚になんと羽生善治名人とクラブの創設者アラン・ベーカー氏のツーショットを見て、この大学と日本の「距離」が一挙に縮まった感がした。