英語学習における「読書」の有効性と効果的な学習法を紹介します! | バイリンガルへの道

英語学習における「読書」の有効性と効果的な学習法を紹介します!

英語学習における「読書」の有効性と効果的な学習法を紹介します!

海外に住んでいた、海外への留学経験がある人たちのことを「帰国子女」と私たちは呼んでいます。
帰国子女と聞くと、日本語も話せて英語も堪能な人を思い浮かべます。私はこの10年間1000人を超える帰国子女に会い、彼らがどのように英語を勉強していたのかを徹底的に調査してきました。
その結果、気付いたことが2点あります。それは帰国子女の英語力にも大きなレベルの差があること、そして帰国子女の英語力は滞在期間の長さではなく、その時点までの「読書量」が大きく関係しているということです。
今回は英語学習における読書の有効性について解説いたします。

英語力の高さは、読書量で変わる

私は小中高生向けの英語塾を経営しており、教師にはバイリンガルの学生を採用しています。その採用面接にきた学生のある場面での反応で、彼らの英語力を把握することができるようになりました。
例えば、面接にきた帰国子女に教材として使っている英語の本を見せると、反応が二つにわかれます。
「なつかしー!」 といい興奮しながらページをめくる読書量が多い人達と、有名な小説を差しながら 「これは高校の授業でやりました」 という薄い反応をする読書量の少ない人達です。そして彼らの英語力を測ってみると、見事に読書量の多い帰国子女の英語力は高く、読書量の少ない人は英語力も低いという結果になるのです。

読書でネイティブに負けない英語力を

イェール大学で学んでいる学生の例を見てみましょう。
彼女の海外滞在歴は5歳から8歳までと比較的短いのですが、アメリカのTOPスクールに合格しています。聞くと彼女は帰国した時から、お母様と英語の本の読書に取り組み、1 年間に自分の背の高さくらいになる位の英語の本を読んでいたそうです。
それを毎年10年間続けてきたわけですから、途方もない量のように感じます。しかし、本人は楽しみながら読んでいたので少しも苦にはならなかったそうです。この読書のお陰でネイティブに負けない英語力を身につけたと語っていました。英語力が高い人は、英語の本を読む楽しさを知っている人たちなのです。

どの本をどのような順番で読むか

読書を通じて英語力を上げることの大切さは、多くの方はすでに理解され、実際に取り組まれたことがある方もいらっしゃると思います。
その時に問題になるのは、どの本をどのような順番で読むかです。有名な 「ハリーポッター」 などを原書で読ませたいという親の気持ちが先行しても、子どもの英語力と興味がついてこなければ、読書に対してネガティブな感情を持つようになってしまいます。

読む本のレベルは決まっている

英語圏の本は日本語のそれと比べてはるかに体系的に整えられていて、どの本をどの順番で読めばいいのかを指導者はしっかりと理解しています。
本を読む楽しさを早期に教えるために文字のない絵本から、一冊読み終わるとある綴りと発音の関係がわかるものや一つの単語を覚えさせることを目的としたものなどもあります。読書量が増えていくに従ってレベルが上がっていくように設計されていて、徐々に絵の量が少なくなっていき、小説やノンフィクションに進んでいきます。

読書を通じて段階的に英語力を高める

英語圏の本はこんなによくできているわけですから日本の学習でも使わない手はありません。実際に英語力の高い帰国子女はこの順番をしっかりと守って読書経験をしている人が多いです。読書を通じて段階的に英語力を高め、その英語力がさらに強い読書力を作っていく。
このスパイラルを作ることができれば、英語学習において心配することはほとんどなくなります。

英語だけでなく文化も学べる

英語圏で育った子どもたちなら必ず知っている本や文学の中の名作を読むことで、英語だけでなく文化的な背景知識をネイティブたちと共有できるようになります。日本と英語圏との違いを読書を通じて学ぶことで、両者の文化や価値観を客観的に理解できるようになります。こうして、読書を通じて英語を学んだ子どもたちは、同じインプットからも多くを感じ、豊かに表現できる人へと成長していきます。
日本語と英語両方ができるだけでなく両者の文化を深く理解し、尊重できる人。海外の人の考えや感情を客観的に理解すると同時に、自分の考えをしっかりと表現できるような人のことをバイリンガルと呼ぶのでしょう。このような人材は読書を抜きにしては、日本はおろか英語圏においても育たないのです。

英語学習における「読書」のススメ

では読書を中心とした英語学習法において最適な方法は何でしょうか。多読、精読、音読など関わり方はさまざまですが、大きな特徴は「楽しみながら英語を学習できる上、多くの英語に触れることができる」という点だと思います。 以下では読書を通して英語を学習する方法についてお伝えしたいと思います。
英語の本を読む、と聞くと少し難しそうですが、2つのことを守れば全く問題はありません。ひとつは、自身の英語力にあった本を選ぶこと。もうひとつは一度に全てを理解しようとしないことです。
日本の学校では一つ一つの文を和訳して理解をすすめていきますが、これでは読むスピードが遅くなり、結果として絶対的なリーディングの量が足りないという問題がおきます。英文和訳のトレーニングは、文法や言葉の理解ができているかを確認できるというメリットはありますが、実は一つ一つを完全に理解しないと先に進めなかったり、知らない単語が出てくると思考停止してしまったりという悪い癖を作ってしまいます。

英語を英語のまま

英語の本を使って学習をするときは日本語を介さずに、英語を英語のまま理解できるようになることを目指して読み進めていきましょう。日本語でも新聞などを読んでいるときに知らない単語は出てきますが、流れの中で意味を考えればその言葉の意味が分からないままでも全体像はつかめます。これと同じように、自分の英語力に合った本を選べば、少しくらいわからない単語が出てきても、大枠の意味をつかむことはできますし、知らない単語も何度も出現してくるとぼんやりと意味が見えてきます。
ここで大切にしていただきたいのが、リスニングとリーディングを同時に行うことと、それを何度も繰り返すことです。英語圏には 「Bed Time Story」 という言葉があるほど、親による読み聞かせの習慣が大切にされています。読み聞かせでは、絵と文字を目で追いながら音が耳から入ってくるので、ストーリーを立体的にイメージして捉えることができます。
入ってくる情報を正しく捉えられるようになるには、はじめのうちは訓練が必要です。絵や音声は言わば自転車の補助輪のような役割で、それをつけて十分に練習をしておくと、次第に文字だけでも難解な文を立体的に理解できるようになります。また上手な人が読んだ音声なら、そこから感情も読み取ることができるようになるので、言葉と感情をつなげることができるようになります。

ただ本を聞くだけでは十分ではありません。これを何度も聞きながら、それを真似して口に出すことが大切です。英語、日本語に限らず言語は 基本的に真似をすることで習得していきます。日本には残念ながら子どもたちが真似をするお手本が足りませんでしたが、代わりにこれを担ってくれるのが音声CDです。
アメリカはオーディオCDと呼ばれる朗読CDの文化が浸透しているので、有名な児童書にはほとんど別売りのオーディオCDが販売されています。この音声CDを使って何度も黙読と音読を繰り返してから知らない単語を調べ、最後に更に音読をする方法で学習していきます。
このトレーニングにはたくさんのメリットがあります。音を聞くのでリスニング力と発音の強化ができますし、知らない単語が出てきても読み飛ばすことができるので読むスピードが早くなります。また何度も同じものを読むので必要なリーディング量も確保することができます。
そして最大のメリットは、何度も同じ英語を重ねて読むことで、英語を英語で理解する「英語脳」を鍛えることができることです。はじめの1、2回は頭の中に日本語を思い浮かべることもありますが、何度も読んでいると英語が英語のまま頭に入ってくるようになります。何度も同じ文を読むリーディングを中心に置くことで自然と楽しみながら英語が習得できるようになります。

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読み聞かせのおすすめ

子どもを勉強させたければ、まずは親から

お子さんがどうしたら英語を勉強するようになるかということを相談されることがあります。
目標を明確にする、海外に行って実際に英語の世界に触れてみるなど、その対応方法は様々ですが、私が是非一つ取り組んで欲しいもので、特に小さなお子さんには効果が高いのが、親御さんが英語を真剣に勉強する姿を見せるというものです。辞書を引く親に育てられた子どもはよく辞書を引きますし、よく読書をする親に育てられた子どもはよく読書をします。子どもの常識は、親の常識から生まれます。親が英語を勉強するのが当たり前の家では、お子さんも英語を勉強するのが当たり前になるでしょう。

車の中で英語を真剣に勉強する父の姿を見て

自分の話になって恐縮ですが、私が英語の世界を志すようになったのは父の影響を強く受けています。父は自動車産業に身を置いていたので、時にデトロイトなどアメリカに出張があって、英語学習には力を入れていました。どのような勉強法かと言うと、車の中ではいつも英会話のテープを聴いており、運転をしながらアメリカ人と思われる英語のマネをしていました。週に一度遠くまで塾に通わされていた私は、日曜日の朝は決まって父のこの英語の勉強に付き合わされていました。今考えてみると、それ程うまいとは言えなかったであろう父の英語を毎週聞き、私は英語と言うのは皆が必死に勉強しているものなんだと当たり前のように思っていました。

英語が苦手の親御さんでもできる英語環境の作り方

お子さんにだけはバイリンガルになって欲しいと願っている親御さんが多くいらっしゃいます。そんな方こそ是非お子さんの前で英語の勉強をしていただけないでしょうか。勉強の方法は簡単です、お子さんがレッスンで使っている CD をリビングでかけながら、声に出して本を読んでください。何度も同じ章を繰り返し、声に出して CD のマネをして頂くだけで、今までの勉強法とは違った感覚を得ることができると思います。声に出して繰り返し読んでいると、知らない単語もなんとなく意味が分かってきますし、全体として言いたいことを理解できるようになります。

「読み聞かせ」のススメ

「読み聞かせ」という言葉を最近非常によく耳にします。言葉からも想像できるように、親が子に本を読んで聞かせるというものです。読み聞かせにはたくさんのメリットがあります。言葉の勉強にもなることは当然のことながら、読書の習慣の基礎にもなります。
昔の紙芝居にも良く似ているのですが、絵を見ていない分、想像力の育成にもつながりますし、親の話を集中してして聞く訓練にもなるので、長期的に考えると言葉の勉強以上の価値があります。英語においても、この読み聞かせをしてあげることができれば、お子さんの英語力は飛躍的に伸びるでしょう。

英語が苦手な方でもできる「読み聞かせ」の方法

英語環境の作り方のところでもお伝えした要領で、CD を使えば英語が苦手な方でも英語の本を読み聞かせることができます。一日 15 分で結構ですので、読み聞かせの時間をとってください。読み聞かせは人の話を聞く訓練でもありますので、しっかりと読み聞かせの時間であることを双方が理解しそれ以外のことはしないことが必要です。日本語の読み聞かせは、お母さんやお父さんが読んであげますが、CD を使って英語の読み聞かせをする場合は、親御さんもお子さんと一緒に CD を聞くようにしましょう。日本語と違って、一度で意味を理解するのは難しいので、何度も繰り返すようにしてください。

親が正しい勉強法を理解していれば子どもの英語力は上がる

親子のコミュニケーションを向上させるために、親が子どものことを理解することが大切であることは言うまでもありません。そのような意味において、親御さんにはお子さんがどのように英語を勉強しているかを理解しいることで、お子さんの英語力は更に向上すると考えています。バイリンガルの英語の勉強法は、以前の英語教育の中で採用されてきたものとは異なる部分があります。英英辞典の引き方、ボキャブラリーカードの作り方と管理の仕方、CD を使っての本の読み方など学校の授業の中ではやらなかったことをバイリンガルの学習法では行っています。この方法でたくさんの生徒さんがバイリンガルになり、今現在の生徒さんたちもバイリンガルになろうとしています。これを親御さんたちが理解をしていれば、家庭の中でどのようにサポートをしていけばいいかも見えてくるでしょう。